眼を覚ましてよ
「さぁ、いざめくりめくる快楽の日々へと旅立たん!!」
「甘い、必殺役立たず出演少なし友シールド!!」
いつもどおりに、突撃を仕掛けてくる悪魔。
その攻撃に幾分慣れてきた今日この頃。
そんなわけで、とりあえず、すぐそばにいた役立たずの友人をにえにする。
とはいえ、ものの役に立たない友だ。
あっさり、やられるだろう。
「邪魔!!ていうか、あたしの都君のそばに寄らないでって言うか、消えちゃって!!」
ほら、やっぱり。
思いっきり、顔面に拳を打ち込まれているし。
というか、あのいいかたはかなりひどいと思うけど。
いくら、我が友が役立たずで、出演が少なくても、存在価値ぐらいはあるはずだ。
まぁ、だからと言って、助けてやる価値があるとは思えないけど。
今近寄れば、確実にあの悪魔が襲ってくるだろうし。
なので、窓の外へと捨てられているが、助けられない。
とりあえず、頑張って生きてくれ。
お前の犠牲は無駄にしない。
僕は、心で泣きながら、教室から飛び出す。
後ろから、慌てて追いかけてくる彼女の姿がある。
とりあえず、なんとしてでも、まかないと。
僕はいっきにギアチェンジして、さらに距離を広げる。
何が何でも安全圏を確保しないと。
すばやく、階段を駆け下りると、外へと飛び出し、木々の間に姿を隠しつつ、逃げる。
そして、周りを見回す。
そこには、あの悪魔の姿はない。
とりあえず、どうにかまけるにはまけたらしい。
ほっと一息をつく。
「うぅ、都……」
けれど、不意に声がした。
慌ててさらに周りを見回す。
だけど、そこには誰の姿もない。
どうやら、空耳……
「……下だ」
では、ないらしい。
とりあえず、声の通りに下を見る。
すると、なんと、僕の足元には友が転がっていた。
どうやら、落とされた後、ここまでなんとか張ってきたのだろう。
「悪い悪い」
僕は、彼の上から降りる。
とりあえず、可哀想だし。
「……お前絶対わざと――」
偶然とはいえ、落ちた後に踏み潰されるなんて、可哀想過ぎるよね。
ぐりぐり
「……ぐぁぁぁぁぁ!!」
「お、おい、大丈夫か!!」
しかし、なんと不運が続くのだろう。
いきなり、彼は思いっきり叫びだした。
「……大丈夫なわけないだろう」
けれど、僕の願いは虚しく砕け散り、彼は静かにそう言うと眠る。
彼の身体にはもう力が入っていない。
だらりと、崩れ去る。
「……そ、そんな……冗談だろう?おい、起きろよ。起きろよ!!」
だけど、僕にはそんなこと認められない。
死ぬなんて嫌だ。
嫌なんだ!!
「死ぬなぁぁぁぁぁぁ!!」
そして、僕はそう叫んだ。