好きじゃない。嫌いじゃ、ないけど
「なぁ、お前、結局のところ、竹原の事をどう思ってるんだ?」
不意にいきなり何の脈絡もなく馬鹿みたいに唐突に我が盟友が問いかけてきた。
「いや、そこまで、けなさなくてもいいんじゃないのか?」
そんなこと思っていると、内心を読んだのだろう、寂しげにそう続ける。
まぁ、あれだ、可哀想な人だ。
「うっさいわ!!とりあえず、俺の問いに答えろ!!」
おまけに逆ギレだし。
ホント可哀想な人だ。
とりあえず、今度誰かを紹介してあげるのもいいだろう。
「別に興味ないですよ」
それはいいとして、さっさと答えてあげる。
いつまでも、からかっているのも可哀想だし。
「興味ないって、お前なぁ」
そんな僕の答えを聞いて彼は呆れ顔になる。
けれど、こちらとしてもしかたがない。
あんな変態に興味なんてもてない。
まぁ、どういう構造になっているのか知りたいというのはあるにはあるが、わが身を犠牲にまではしたくない。
「んじゃ、嫌いなのか?」
だけど、それを嫌っていると取ったらしく、そう尋ねる。
確かに興味はない。
でも、だからと言って。
「別に嫌いじゃないですよ。好きでもないですけど」
そういうわけではない。
どっちでもないという事。
つまるところ、どうでもいい人って感じなのだろうか。
「そんなものかねぇ」
それを聞いた彼は、再度呆れ顔で頷く。
まぁ、その気持ちも分からないでもない。
見た目は極上なのだ。
そんな思いになっても仕方ない。
でも、別に僕の中ではさほど見た目は重要じゃない。
まぁ、好きになるのに、容姿は十分必要になるが、やはり性格が合わないと。
とりあえず、あの壊れた変態は嫌だし。
「そんなもんですよ」
彼のつぶやきに、頷き、僕は、窓の外に広がる夕焼け空をぼんやりと眺めた。