今時デジタルじゃないなんて
大佐、ただいま本官は、危機に面しております!!
とりあえず、無事生き残れるかどうか分からない。
そんな瀬戸際におります!!
なので、とりあえず、至急増援を求む!!
「今日はね、とりあえず、二人きりだから、何でもし放題なの。それこそ・・・もう言葉では言い表せないほどの事だって……じゅるぅ」
けれど、その思いもあっさりと崩れ去る。
とりあえず、誰も居ない。
と言う事は、この彼女の暴走を止める事は誰にも出来ない。
そういう事なのだろう。
おまけに、なんていう事だろうか。
携帯電話の電波は繋がらない。
とりあえず、元電●公社発の携帯さんは、圏外を示している。
いや、単にこの家が圏外圏にいるだけなのだろう。
なのだろう……
まぁ、でかいし。
無駄にでかいし。
塀の端と端が見えないほどだし。
どっかのお城みたいな家だし。
だから、圏外になったってしかたない。
仕方ないんだ。
たぶん、何かの妨害電波が出てるわけじゃない。
目の前にある電話だって、なぜかプッシュ式じゃないし。
とりあえずダイヤル式みたいだし。
きっと、この家全体がアナログなんだ。
とりあえず、この時代にデジタルじゃないなんてありえないけど、きっとそうなんだ。
ここのご主人はきっと古きよき時代を愛しちゃっている人なんだ。
玄関に年季を感じさせる大きな置き時計があったし。
というか、むしろそうであれ。
じゃないと、許さない。
「んじゃ、さっそく、手を縛って……」
現に、彼女だってアナログ的に、普通の麻縄で後ろ手を縛って居るじゃないか。
て、ちょと、待てぇ!!
「やめんかぁ!!」
とりあえず、そんなプレイはお断り。
「えー、でも、そうしないと、嫌がるじゃない。だから、ほら、必要でしょ?」
けれど、それでも諦めない彼女は、更に縛ろうとする。
しかし、なんとしても、僕としては貞操は守りたい。
もうここまで来ると意地だ。
何が何でも彼女の好きになんてさせない。
とりあえず、麻縄を奪い取ると、彼女の手を縛り、あまった部分でベッドに縛り付ける。
「いやん、実は、都君てこういうプレイが好きなの?うん、別にあたしはそれでもいいよ。愛があれば」
途端に、顔を赤らめ、さらには身体全体をもじもじとさせる。
とりあえず、その姿はかなりおぞましい。
見なかった事にしたい。
というよりも、はっきり言わせて貰えば、僕にそんな趣味はない。
ただ、言った所で無意味だろうから、無視。
さっさと、済ませてしまうのがいいだろう。
とりあえず、彼女のたんすの中をあさる。
「も、もしかして、あたしの下着を見るの!?そっちの方に興味が!?そ、それなら、いつだって見せてあげるし、なんなら、脱ぎたてを……むがっ!?」
けれど、その際とりあえず、放送禁止すれすれの言葉連発のため、黙らせる。
まぁ、目的の物が見つかったから、というのもあるが。
その目的の物と言うのが、タオル。
とりあえず、煩いので、猿ぐつわと目隠しの変わりにしておく。
その途端に
「ふがふがふがふがふがぁぁぁぁ!!」
また、何か言い出したが、どうせ……
『都君てかなりのどSなのね。でも、あたし、そんな荒々しいのって大好き!!』
とか言っているんだろう。
ホントに、最近とみに思うが、これが大和撫子と言っていいのだろうか?
とりあえず、ただの変態としか思えない。
まぁ、見目だけはやたらといいが。
と、それはいいとして、さっさと退散しておこう。
一応、ダイヤルを回して、内線で連絡をしておく。
まぁ、死なれたら困るし。
とりあえず、執事とやらがいるだろう。
これだけ、でかい家なら。