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このくらい常識でしょう?

まぶしい光で、僕は目を覚ました。


時計を見ると、時刻は昼過ぎ。


どうやら、休みだからと言って、かなり寝すぎていたみたいだ。


まぁ、日ごろ追いかけまわされているため、かなり疲れているんだろう。


それを考えるとこれは当然なのかもしれない。


僕はため息を吐きつつ、布団から起きると、下に降りる。


一応、何か腹に入れて置かないと、もたない。


とりあえず、適当に何か作ろう。


キッチンに立って、適当に食材を選び、手際よく切り刻んでいく。


とりあえず、それなりに料理は出来る。


それこそ、自炊できる程度には。


ただ、どっかの主夫なハーフエンジェル君には及ばないけど。


あの子は、ダメだ。


とりあえず、レベルが違う。


というか、キャラが違う。


「ねぇ、あたしは、何をすればいいの?」


と、不意に横から声が聞こえた。


どうやら、手伝ってくれるらしい。


なんと、心優しい人だろう。


「んじゃ、とりあえず、冷蔵庫に昨日の残り物があったから、それをレンジで暖めといて」


その優しさはしっかりと受け取って置くべきだろう。


僕は、その声の主に、指示を出しすと、ささっといためる。


まぁ、とりあえず、食べれればそれでいい。


晩になれば、母上がきっと美味しい物を作ってくれる。


―――ん、ちょっと待て。


そういや、この家に誰かいたか?


とりあえず、家族は全員外出。


僕だけしかいないはず。


んじゃあ、さっきのは誰?


いや、こんな状況で出てくるのはきっと、あれだろう。


うん、お約束って奴だ。


そろりそろりと、振り向く。


そこには、ご機嫌に準備している悪魔の姿。


ジーザス!!


とりあえず、ムンクの叫び風の顔をする。


やはり、どこまでも、これはお約束らしい。


そもそも、どうやって、ここに入って……


て、どうせ、あれだろう。


残酷な家族のせいだろう。


なので、気にしたところで、無意味だ。


とりあえず、作った料理を全部並べると、席に座って、食べる。


「なんだか、こうしてると新婚さんみたいだね」


脳が沸いたような事を言っているけど、それも無視。


「都君のパジャマ姿って可愛いなぁ……じゅるぅ」


ひっ!?


そんな中、もくもくと食べていたら、そんな事を言い出した。


思わず声が出そうになったけど、それもこらえて無視。


とりあえず、一瞬貞操の危機を感じたけど、無視。


無視と言ったら、無視。


「ごちそう様でした」


「はい、お粗末さまでした」


あわただしく食事を終えて、さっさと食器を片付ける。


その際に、余計な言葉を聞いたような気がする。


でも、とりあえず、それも無視だ。


水道の蛇口をひねって、水を出す。


一応、使った食器を洗っておく。


じゃないと、帰った時に、母上が小うるさい事間違いない。


けれど、このまま洗い物をすると、汚れる可能性がある。


なので、エプロンをかける。


しゃかしゃかとスポンジで磨いて、水洗いする。


そして、全部終わり、いざ逃げようそう思ったところで


「都君のエプロン姿萌え……はぁはぁ」


「ひぃ!?」


後ろから抱きしめられた。


しかも、吐息を首筋に吐きかけられる。


ただ、言っている事は、完全に変態おやぢのそれと変わりない。


「もう、我慢できない」


挙句の果てには、そう言い出すと、僕のパジャマのシャツをめくると、素肌に撫でてくる。


「ちょ、ちょっと!!キッチンで何をするつもりさ!!」


もうここまで来たら無視なんかしてられない。


とりあえず、何が何でも貞操を守りきらないと。


「そんなの決まってるじゃない。愛を確かめ合うの」


けれど、彼女はがっちりと僕を抱きしめると、撫でまわす。


その触り方に悪寒が走って、今すぐにでも、振りほどきたいのに力が入らない。


その触り方が気持ち悪すぎるせいだろう。


「こ、こんなところで、やる人がいるか!?」


それでも、なんとか反論する。


とりあえず、こんなところで、悪魔とそんな関係になるなんて、死んでもごめんだ。


「大丈夫。こんなの常識よ、常識。あたしの友達だって、前されたって言ってたし」


だけど、そんな事で止まるような悪魔ではない。


撫でまわす手がせわしくなる。


それにあわせて、息使いもどんどん荒くなる。


もう、完璧に変態だ。


性犯罪者だ。


僕は、力の入らない身体で、なんとか、彼女の手を取る。


とりあえず、この場合は背に腹変えられない。


「あのね、僕、初めては、自分の部屋だって決めてるんだ。」


とりあえず、ちょっぴり甘え声で、そう言ってみる。


もし、彼女が僕の事を好きだと言うのなら、この言葉を聞いてくれるはず……


「そんな事言って、逃げるつもりでしょ?それに、あたし、もう我慢できないから、やだ」


だけど、そんな僕の願いは、無情にも、却下される。


というか、なんと言う女だろう。


ここまでも、欲望に忠実と言うか……


羞恥心のなさは。


とりあえず、ここはしかたがない。


最終手段だ。


彼女の腕を再度取り、関節を極める。


非力な僕に唯一できる芸当。


そして、それで彼女が一瞬ひるんだのを確認すると、勢いよくその場から逃げ出した。

とりあえず、主夫なハーフエンジェル君とは別の小説に出てくる子です。


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