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未完成なイデア  作者: 綴 朔哉


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僕の在り方の原点。 桜side



「まだ親と寝てるの?  子どもじゃん」

 僕がまだ、小学生の頃。休み時間に教室で本を読んでいたら、別の子が言われたそんな言葉。

 あの時、一瞬だけ……胸がざわついたことを、今でもふと思い出すことがある。


「ち、ちがうし……」

 そう言ってその子は顔を真っ赤にして、最後には泣いてしまった。


 ――別に……変じゃない。


 僕は会話にこそ加わらなかったが、もやもやする感情が収まらなくて。


 その日の夜。いつもと同じように、綴の隣へと潜り込んだ。電気は消され、部屋の中は真っ暗。


 綴は優しく僕のお腹の辺りをとんとん、と叩いてくれるそこから温かい体温が、じんわりと伝わってくる。

 そんな時、ふと……昼間にあったことを思い出した。


「……ねぇ」

 寝返りを打って、布団の中で綴の方を見る。

 

「ん? どうしたの、眠れない?」

 大好きな優しい声で、すぐに返事がくる。暗くて顔はよく見えないけれど、それだけで不思議とすごく安心できた。


 僕はしばらく迷ってから、小さな声で聞く。

  

「……ぼくが、つづりといっしょに寝るのって……」

 言葉が喉のところで、少し詰まってしまう。

 

「……こども?」

 僅かな沈黙が、流れたあと。

 

「それは、誰かに言われたの?」

「……ちがう」

 僕は、首を振る。

 

「……クラスの子が……言われてた」

「そっか」

 綴の手がそっと僕の頭に触れて、そのまま優しく撫でてくれる。

 

「桜は俺と一緒に寝るのは、嫌?」

「いやじゃない……」

 

 ――全然いやなんかじゃないのに……あの子があんなこと言うから……本当にちょっとだけ……気になっちゃう。


「ふふ。そっかぁ……俺もね、桜と一緒に寝るとよく眠れるんだよ」


 ――つづりも、ぼくといっしょだったら……よく眠れるんだ……。

 

「それにね。俺は別に、一緒に寝てるのは子供じゃないと思うよ」

 それはとても静かで、穏やかな声。

 

「安心できる場所があるのは、いいことだからね」

 魔法みたいな綴の言葉で、胸のもやもやが嘘みたいになくなっていく。

 

「……ほんと?」

 思わず、きゅっと抱きついた。

 

「ほんとだよ」

 くすっと柔らかく笑う気配がして。それから、ふわっと抱きしめられる。

 

「桜は、桜らしくいればいいんだよ。甘えたい時にたくさん周りに甘えて、ゆっくり大人になればいいの」

 綴は僕の背中をとんとんしながら、秘密のお話をするみたいに耳元で話してくれた。

 あったかい体温と規則正しいリズムに、段々と眠気が近付いてきて、瞼が重くなる。


「ふふ。おやすみ、桜」

「おや、すみ……」

 周りが言う「恥ずかしい」って思う感覚より、僕自身が「どうしたいのか」が大切なんだって、綴が教えてくれた。


 今の僕の考え方の根幹は、綴の影響が大きいと思う。



 

「おはよう、桜。良く眠れた?」

 寝起きのままリビングへと降りると、綴がマグカップ片手に朝の情報番組を見ていた。


「おはよ……うん、良く眠れたよ」

「そっか、よかった」

 にこりと笑う綴の笑顔は、昔から変わらない。隣に腰を下ろすと、寝癖を軽く抑えるようにして、頭を撫でられる。


「ふふ、今日も相変わらず芸術的な寝癖だねぇ」

 綴の手は自然な仕草で、後頭部の跳ねた部分を包む。


「もぉ……子供扱いしないでよ……」

 口ではそう言いつつも、嬉しくて自然と上がってしまう口角は誤魔化せない。 

 ふわふわした所謂、猫っ毛と呼ばれる僕の髪は昔から寝癖がつきやすい。

 小さい頃は毎朝、綴が直してくれていた。


「桜、おいで」

 そう言われてそばへ行くと、綴はまるで壊れものでも扱うみたいに……優しく丁寧に、梳かすようにゆっくりと整えてくれる。

 その時間が、僕は大好きだった。起きるのが辛くて苦手な朝が、ちょっとだけそうじゃなくなる。

 

 小さい頃はいつも、綴がそばにいるのが僕にとっての当たり前。

 眠るときも、抱きしめてもらうのが普通で。


 僕が中学生に上がるくらいまで、綴は極力泊まりの必要がある任務は受けなかったらしい。

 大人になってから、燎がこっそり教えてくれたことによって僕はその事実を知った。


 思い返せば確かに、調や燎に比べると少なかったような気はする。


 でもどうしても綴じゃないと駄目な任務のときなんかもあって、その時は頑張ってひとりで眠らないとだめだった。

 そんな中でも綴は夜中に帰ってきてくれて、僕が朝起きたら必ずと言っていいほどそばにいてくれたのを、覚えている。


 遠方の任務でどうしてもそれが難しいときは、和が一緒に寝てくれることもあったけど、それは小学生低学年くらいまで。

 実は結構厳しいところのある和は、僕が中学年くらいになった頃には、殆ど一緒に寝てくれなくなった。

   

 それ以降どうしても綴がいなくて寂しい時は、調や燎の布団に潜り込んだことも何回かある。


 調は意外と何も言わず布団に入れてくれたし、燎も顔をくしゃっとさせるあの特徴的な笑い方で、迎え入れてくれた。

 

 でも一番は、やっぱり綴で。僕が腕の中に潜り込むと、そっと抱きしめてくれる。それが、どんなものよりも安心できたんだ――。

 


 ◆


 弥がリヒトへ保護された前日。


「今日は任務だから、桜がお家帰ってきた時に俺いないんだ……ごめんね」

 学校へ行くとき見送ってくれた綴に、そう言われた。


「……わかった。任務、がんばってね」

 帰ってきて綴がいないのは嫌だけど……お仕事の邪魔はしちゃいけないし、困っている人を助ける綴はかっこいい。

 だから本当は寂しくてたまらないけど、朝になれば……と思って我慢できた。

 調や燎のところにもいかず、ひとりで眠ったのに次の日の朝――。目が覚めても、綴はいなくて。

 

 起きて僕の部屋にいたのは湊で、ベットの下のラグの上で大きめの毛布に包まり、猫ちゃんのように丸まって眠っていた。


「……つづり、いない」

 言葉にするともっと駄目で、視界が涙でぼやけてくる。

 ベットから足を下ろすと、少しひやりとする冷たいラグ。

 慣れない感覚にいつもは綴が、朝に弱い僕の事を抱っこしてくれるからだと気付く。

 思い出してこぼれそうになる涙を手のひらで雑に拭って、立ち上がる。


 湊を起こしてしまわないようにそっと部屋を出て、綴を探す。

 部屋の外は静かで朝ごはんの匂いも、作ってる音もしない。


 ――きっとまだ、だれもおきてない。


 廊下の一番奥の部屋の扉が少し開いていて、僕はそこへ吸い寄せられるように近づき、そっと部屋の中を覗くと、後ろ姿の和と綴の姿。


 ――つづり、ちゃんとかえってきてた。

 

 会いたかった綴がそこにいて、いつものように手をのばそうとした時――。


 綴の腕の中に男の子がいるのが見えて、喉の奥がきゅうっと詰まる感覚。

 呼ぼうとした名前は、声にならなかった。

 

 優しく抱きしめられているその子が、綴の服をぎゅっと掴んだのが見えた瞬間――。


 胸の奥が、ちくりと痛んだ。これ以上、見たくなかった。これ以上、知りたくなかった。


 気付かれないように静かに後ずさって、急いで自分の部屋へと戻る。


 扉を閉めて、布団に潜り込む。まぶたの裏が熱くなって、ぽたぽたと目から涙が溢れてくる。


 ――なんで……あれは、だれ……? ぼくのこと……は?


 そんな言葉が頭の中をぐるぐるして、苦しくて。部屋の静けさが、今の僕には痛かった。

 段々と心が黒いものに包まれていって、僕は知らない間に眠ってしまったみたい。


 

 ◆

 


 ガチャ――。

 

 扉の開く音が聞こえて、目を開ける。まだ少し、ぼんやりとする意識の中。

 

 ――つづり……?


 布団から起き上がって扉の方を見ると、そこにいたのは綴じゃなくて、調だった。


 ――なんで、つづりじゃないの……?


 また喉の奥がきゅうっと締まって、見ていた世界がじわりと滲んだ。


 呼びたかった名前は声にならなくて、代わりに涙だけがこぼれていく。

 声を出したらもっと悲しくなってしまいそうで、僕はただ泣くしかできない。


「……桜」

 いつもはよく怒られるからちょっと怖い調だけどそっと近づいてきて、優しく抱き上げてくれる。


 調の腕の中は、あたたかい。


 ――でも、ちがう……。つづりじゃない。


 わかっているのに考えれば考えるほどに、寂しさが溢れて止まらない。


「……やだ、つづりが……いいの」

「……つづり……」

 掠れた声で小さく呟いて少し暴れたのに、調は何も言わずに抱っこしてくれて、抱き寄せられた肩の辺りの服が僕の涙で色を変えていく。


「……なんで、つづり……きてくれな、いの」

 なのにゆっくりと背中を撫でてくれて、そんなことなんて一切気にせず、僕が落ち着くまで待ってくれているみたいだった。

 

「……あのこは……だれ?」

「……弥っていうんだって。俺も、まだそれだけしか聞けてない」

 調はそう話す間も、手を止めることはなかった。だけど涙は全然止まってくれなくて、どれくらい泣いてるのかもう、わからない。

 目の奥が熱くて頭が、がんがんしてるのに泣くのをやめられなかった。


「……あたま……いたい……」

 調の腕の中で何度もしゃくりあげながら、やっとの思いで調に伝えると、体を横向きに変えられてその手がそっと僕の目元を覆ってくれる。

 

 調の手はひやりと冷たくて、気持ちいい。綴よりも大きな手のひらが熱を吸収してくれて、痛みが少し和らいだような気がした。

 

「……冷たいの、嫌じゃない?」

 調の声はいつもよりもっと静かで、優しい。


「……うん……きもち、いい」

 僕がそう言うと、調が少しだけ微笑んでくれたような息づかいが聞こえた。


 だけど涙は簡単に止まらなくて、ぽろぽろと頬を伝って落ちていく。


「……ねぇ、しらべ……つづり、は……」

 喉が詰まってしまって、うまく話せない。それでも僕は、どうしても聞きたかった。


「……桜、ゆっくりでいい」

 調は空いてる方の手でゆっくりとお腹の辺りとんとんして、落ち着かせようとしてくれる。

 

「……つ、づりは……ぼくのこと、もう……いらない……?」

 言葉にした瞬間――。自分で聞いたのにすごく怖くなってしまって、泣きながらすがるように僕は調の服をぎゅうっと掴む。


 調は僕の目元からそっと手を離すと、今度は僕の目の下を親指で優しく拭ってくれる。

 少し驚いて思わず見上げると、調は静かに言葉を落とした。


「桜。綴はね、桜のこといらないなんて絶対に思ってないよ」

「……でも、……」

「今はリヒトに来たばっかりで、不安な弥のそばにいてあげなきゃいけないだけで、桜のこともちゃんと大事に思ってる。だけど、今の綴には時間と体力が足りないんだ」


「……じかん……たいりょく?」

「そう。桜も燎と湊に稽古つけてもらった時、色々な練習してたら時間がすぐ過ぎちゃうでしょ?」

「……うん」

「それにいっぱい頑張ったら、疲れてお昼寝したくならない?」

「……したくなる」


「綴は桜が稽古した日にお昼寝から起きたら、いつもなんて言ってくれる?」


「……おつかれさまって、今日もがんばったねって……」

「桜はそれを聞いて、どう思う?」

「……うれしい」


「そうだね。じゃあ次は、桜の番。綴は任務でいっぱい頑張ったから、桜も綴がお昼寝から起きたらお疲れさまを言ってあげてほしいんだ」

 調はそう言って、優しく笑う。

 

「どう? できそう?」って聞かれたけど、僕はすぐにできるとは言えなかった。


 ――がんばりたいけど……やっぱりさみしい気持ちが前にでてしまう。


 ――調が言っていることは、わかる。


 ――だけど、どうしても心の中では「ぼくのことだけみてほしい」って思っちゃう……。

 

 もしその気持ちを言えば、綴を困らせてしまうかもしれない。

 僕が泣いてわがままを言えば、もっと疲れさせちゃうかもしれない。


「……しらべ、ぼく……がんばれない……」

「桜なら、頑張れるよ。大丈夫。それに頑張って言えたらきっと、綴はすごく喜ぶよ」

 喜ぶ綴を、桜は見たくないの? なんて僕の頭に顎をのせて言う調。


 その言葉で心の奥がぎゅってなって、壊れちゃったみたいに涙が溢れて止まらない。

 

「……みた、い……っ」

 べしゃべしゃな顔で、言うと調が優しく微笑んでくれる。


「じゃあ桜が頑張るために、お昼ご飯はなんでも好きなもの作ってあげるよ」

「……なんでも?」

「うん、なんでもいいよ。何がいい?」

 調は僕の涙を、優しく拭ってくれる。


 ――ごはん……なにがいいかな。

 

「……オムライス」

「そうか。じゃあ今日だけは特別に、桜の嫌いな野菜入れずに作ろうかな」


 ――きらいな野菜、入ってないのはうれしい……だけど……。


「……しらべ、野菜たべないと、つづり……ほめてくれない?」

 僕がそう聞くと、調は少し考えてから優しく微笑んだ。

 

「うーん……じゃあ今日は特別に、綴には秘密にしようか」

「ひみつ?」

 その言葉に思わず聞き返したら、調が目を細めてうなずく。

 

「そう、俺と桜だけの秘密」

 調はそう言って、僕の方に小指を差し出してくる。その言い方がなんだかうれしくて、少しくすぐったくて。

 僕もその指に小指を絡めると、調はにっこりと笑ってくれた。

 

「……ふふ、ひみつ」

「じゃあ、行こうか」


 ――いま、だっこっていったら、あまえすぎって思われちゃうかな。


 胸の奥がそわそわしちゃって、手が勝手にのびちゃいそうになるのを、ぎゅっとにぎりしめる。


「……ねぇ、しらべ」

 綴以外に甘えるのは、少し緊張してしまう。だけど、やっぱりだっこしてほしくて。

 

「ん?」

「……だっこ」


「いいよ、おいで」

 調は優しく笑った後に、ゆっくりと僕を抱き上げた。

 大きな手のひらが背中にあたって、綴とは違う安心感で満たされる。

 首のところに手を回してぎゅっと抱きついたら、調の匂いがして、今よりもっと小さい頃のことをふと思い出す。


 確かあの時も綴が任務で何日もいなくて、綴の代わりに調がいっぱい甘やかしてくれたんだった。

 

「行こ、お腹すいたでしょ?」

「……うん」

 調に抱っこされたまま、リビングへ向かう。歩くたびにゆらゆらと揺れて、まるで小さい頃に戻ったみたい。

 調の優しさにほんの少しだけ、寂しい気持ちがやわらいでいく。


 その後、調は本当に僕の苦手な野菜を入れずに、オムライスを作ってくれた。


「……いただきます」

 スプーンでオムライスをすくって、口に運ぶ。


「……おいしい」

 ふわふわの卵とほんのり甘いケチャップごはん。いつも調が作ってくれる、優しい味。

 なのに……隣に綴がいない。


「上手に食べられたね、桜」

「おいしいねぇ」

 いつもなら隣に綴がいて大好きな声が聞こえるのに、今日はその声がどこにもない。


 ――おいしいのに、なんでこんなにさみしいんだろう。


 ぽたっ――。

 

 お皿の上に、涙がおちていった。隣りに座ってくれた調が、そっと目元を拭ってくれる。

 

「大丈夫だよ、桜」

「……でも、いないの……」

「今だけだよ。綴は、ちゃんと戻ってくるから」

 調の言葉に「うん」って小さく頷いたけど、やっぱり胸の奥のさみしさは消えなくて。


 僕は結局、最後まで泣きながらオムライスを食べた。

 

「桜、綴のところ行く?」

 ごちそうさまをした後、調にそう聞かれる。


 僕は調が作ってくれた温かいココアを持ったまま、少しだけ顔をあげた。

 本当はすぐにでも行きたい。だけど喉の奥がきゅってなって、すぐに声が出ない。


「……ぼく、いってもいいの?」

 いつもみたいに、行く! って言えなくて。


「ちょっとくらいなら、大丈夫なんじゃない?」

 そんな僕に調は少し考えるようにしてから、そう言った。


 僕はうなずいて、調と一緒に弥の部屋までの廊下を歩く。


 朝に覗いた一番奥の部屋の扉に、調が手をかけた瞬間――。


 朝の光景が、頭の中によみがえってくる。


 もしまた綴が、弥を抱っこしてたらどうしよう。そんな考えたくないことが、いっぱい浮かんできて。


 ――つづりに会いたいのに、見たくない。


 僕がそんなことを考えている間にも、ゆっくりと扉は開く。見るのが怖くて、調の後ろからそっと覗いた。


 扉の先に見えたのは、弥のベッドに突っ伏して眠る綴の背中。

 いつも僕を優しく撫でてくれる綴の手は、弥の手をそっと包んでいて、心臓をきゅっと掴まれたような気がした。


 ――抱っこしてるわけじゃなくて、綴の手が弥の手を覆ってるだけなのに、どうしてこんなに嫌な気持ちになっちゃうんだろう。


 ――ぼくはもう、つづりにあまえちゃだめなのかな。

 

 ――あまねしか、つづりにやさしくしてもらえない?

 

 そんな考えが頭に浮かんで、苦しくて涙がぶわっとあふれてしまいそうになる。


「……しらべ、……ぼく、おへや……もどる」

 これ以上ここにいたくなくて、僕は反対を向く。歩き出したけど足元はふらふらして、自分の影まで泣いちゃいそうに見えた。


 ――なんで……。あまね、ばっかり……。


 そんな気持ちがあふれてきて、泣かないって決めてたのに、体は勝手に涙をつくっちゃう。


 お部屋まで、ちゃんともどれる気がしなくて。それでも歩こうと必死だった。


「……桜」

 僕の名前が聞こえた瞬間――。体がふわっと浮き上がって、調に抱っこされたのだと気づく。


 びっくりしたけど、どこか安心して、だけど情けなくて。

 色んな感情が僕の中で、ぐるぐるとまわる。


 僕は涙を我慢できなくて、勝手に溢れてとまらない。だけど声をだしたらもっと悲しくなっちゃうような気がして、それだけは必死にこらえた。


 とめどなく溢れてしまう涙が、調の肩のところに落ちて染みになって広がっていく。

 ふれたところから伝わる体温が、少しだけ苦しいのをなくしてくれる。


 調は部屋までだっこしてくれて、いっぱい泣いちゃう僕の背中をとんとんしてくれた。


 朝からずっと泣いてるから鼻もつんとして、目のまわりも熱くて、痛い。


 涙が流れた跡が、ぱりぱりしてる。


「桜、少し外に出てみる?」

「……そと?」

「買い出し。無理にとは言わないけど、一緒に行ってくれると嬉しい」


「……ぼく、いっていいの?」

 調のお手伝いはいつも悠がしていて、僕が行ったら悠から調を取っちゃうことになるかもしれない。


 ――僕が悠の立場だったら、すごくやだ。


「……? うん、いいよ?」

 調は不思議そうに、首を傾げている。


「……でも、はるかが……」


「悠……? あぁ、今は燎と一緒におでかけしてるからいないよ? 今日はもともと和と行く予定だったんだ」

 

「……なごみ?」

「そう。和も今日、時間が空いてるらしいからお願いしてたんだ。買わないといけないもの多くて、荷物いっぱいになりそうだったからね」

 それを聞いて心の中に浮かんだもやもやは、少しずつ溶けていくような感じがした――。


 

 ◆

 

 その後、僕は着替えてから二人と一緒にスーパーへ向かった。

 その中で迷子にならないように、和と手を繋いで調の後をついていく。


「桜。和と一緒に、お菓子えらんでおいで」

 こちらを振り返った調に、そう言われる。

 

「……うん」

 頷くと、頭を撫でられた。

  

「そうだ、二つ選んでいいからね」

「え……ほんとに、ふたつえらんでいいの?」

「うん。今日だけ特別」

 そう言って、調は優しく笑う。


「和もお菓子、選んでいいよ」

「え、僕もいいの? 子ども扱いしすぎじゃない?」

「たまには、ね。それにいつも、桜と一緒に食べてるでしょ?」

「……まぁ、そうだけど」

 そんな二人のやり取りに、和が小さい子みたいに見えて、僕はちょっと笑ってしまった。


 そんな僕の頭を調は優しく笑ってから、撫でてくれる。


「いこ、桜」

 和もにこりと微笑んでくれて、僕たちは一緒にお菓子売り場へと向かった。


 通路いっぱいにカラフルなお菓子がたくさん並んでいて、わくわくする。


「桜は、何にするの?」

「んー……」

 僕は棚の前で悩む……。ひとつは、いつも買ってもらうグミ。

 もうひとつは……。ふと、目にとまったチョコーレートのお菓子。

 

 ――いつも、つづりがたべてるやつ。


 気付いたら僕は、そのお菓子を手に取ってた。


「それ、綴にあげるの?」

 そんな和の声に、どきっとする。


 ――なごみに、ばれちゃった……。


「……なんでわかったの?」

「顔に書いてあるから。桜、わかりやすいんだもん」

「……書いてないもん」

 ちょっと、むっとして言い返したけど、和は悪気なんてない顔で笑ってて、なんかずるい。


「綴、きっと喜んでくれるよ」 

「……うん」

 僕が小さくうなずくと、和はくすっと笑う。


 グミとチョコレートのお菓子を大事に抱えて、調のところへと戻る。


「しらべ、ぼくこれにする」

 二つのお菓子を調に、差し出す。


「そうか。いいの選んだね、桜」

 調の優しい声は、少しくすぐったくて。


「これ落とさないでね」

 お金を払ったあと、そう言って調は僕のお菓子だけ別の袋に入れて渡してくれた。


 帰り道。僕はずっとその袋を抱えるようにして、大事に持つ。


 ――つづり、よろこんでくれるかな。


 ありがとうって優しい笑顔を向けてくれるかなって、いっぱい考えてた。


 だけどお家に帰ってきて、ごはんの時間になっても、お風呂に入ってリビングのソファで待っていても……綴は来てくれなかった。


「……つづり」

 小さく呼んでみても、返事なんてなくて。その寂しさを誤魔化すようにブランケットに包まって、そのままソファへ横になる。


 いつも楽しみに見てたテレビ番組も、綴と一緒じゃないから全然おもしろくなかった。


「桜。眠いなら、部屋に行こう」

 そのうち段々とまぶたが重くなってきて、うとうとしていると、調の声が聞こえる。


 やっぱり綴じゃないのが寂しくて、じわっと涙が滲んできてしまう。


 ――つづりに、あいたい。いつもみたいに、だっこしてほしい。

 

「……だっこ」

 こぼすように言ったすごく小さな声が聞こえたのか、僕は調にふわりと抱き上げられて、そのまま部屋まで連れて行かれる。


 ベットまで運ばれて、胸のあたりをとんとんされてしまうと、僕の体は言うことを聞いてくれなくて。


「……つづりに、おかし……あげるの」

「そうだね。明日は、綴が会いに来てくれるよ」

 なんとか起きてようと、頑張ったけど僕はそのまま眠ってしまった。

 

「おやすみ、桜」



 ◆

 

 

 次の日の朝――。寒さで僕は目が覚めてしまった。綴はやっぱりいなくて、目の奥が熱くなってくる。

 お布団の中に潜り込んで、枕を抱きしめた。


 ――昨日も会えなかった。


 ――寝る前に「おやすみ」を言いたかった。


 ――ぼくがんばったのに、待ってたのに。

 


 ガチャ――。


 その時、静かに部屋の扉が開いた。

 

「桜? 起きてるの?」

 今度こそは、綴かな……なんて少しだけ期待してたのに、聞こえた声は綴じゃなくて和のもの。


 優しい声なのに、心がすごくざわついた。

 

 ――なんで、つづりじゃないの。


 ――どうして……きてくれないの。


 和の気配が近付いてきて、それからベットの端が少し沈んだ。


「おはよう、桜。まだ眠い?」

 優しくそう言ってくれる和の顔を、僕は見られなかった。涙が込み上げて、喉がきゅっと詰まる。


 ――つづりに、あいたい……ただ、それだけなのに。

 

 会いたくて……胸が苦しくて……どうしたらいいのかわからない。

 和が悪いわけじゃないのに、どうしても「違う」と思ってしまう自分がいやだった。


 見ている世界がぼやけて、目の奥が熱くなる。


「……つづ、りに、あいたい……よ」

 掠れた声でそう呟いたら、和は少しだけ困ったように笑って、そっと僕の頭を撫でてくれた。


 その優しさに耐えられなくなって、僕は小さく声をあげて泣いてしまう。

 和は僕の泣き声を聞いても慌てたりしなくて、だけど少し悲しそうな表情を浮かべる。


「……桜」

 呼ばれる声はいつもと同じはずなのに、何かが違って。


「つづりに、あいたいの」

 涙でぐしゃぐしゃの声がいやで、小さい子みたいに泣くのはもうやめたい。


「うん……あいたいよね」

 和の声は優しいのに、どこか寂しかった。何も言わないで、ただ背中をゆっくり撫でてくれる。

 それだけで、少しずつ呼吸が落ち着いていくのがわかった。


「綴もきっと、桜に会いたいよ」

「……ほんと?」

「うん、ちょっとすれ違っちゃっただけ。……だから、大丈夫」

 そう言う和の言葉を信じていいのか、僕にはもうわからなくて。


 本当はもう一生会えないんじゃないか、なんて思ってしまうほどには、不安が心の中いっぱいにたまりすぎている。

 和には抱っこしてなんて恥ずかしくて言えないから、和の服の裾を掴んで、静かに涙を流す。


 自分の感情がぐちゃぐちゃで、もうどうしていいのかわからなくて苦しい。


 そんな僕の涙が止まるまで、和はずっとそばにいてくれた。

 

「少し落ち着いた?」

 僕は小さくうなずく。


「ごはん、食べられそう?」

 そう言われても胸の奥がまだ痛くて、何も食べたい気持ちになんてなれなかった。


「……おなか……すいてない」

 そう言ったら和は少しだけ眉を寄せたけど、すぐにそれを隠すように笑う。

 

「そっか、じゃあもう少しこのままね……」

 その一言になんだか余計に苦しくなって、優しいのに優しすぎて……ようやくおさまってきた涙がまたでそうになる。

 

 手をのばすかどうかを僕に任せてくれる、静かなやさしさ。


 いまはその優しさが嫌なのに、綴や調みたいに抱っこしてほしいともいえない。

 ただ心の奥に「さみしい」気持ちが広がっていくのを、どうすることもできなくて。


 僕は和に背を向けて布団の端をぎゅっと握って、小さくつぶやいた。


「……つづり、どこにいるの」

「……弥のところにいるよ」

 和は少し間をおいてから、静かに言った。でもその声の奥に少しだけ迷いがあるのが、わかってしまう。


 ――また、あまね……。


 ――ぼくのところには、きてくれないのに。


 心がきゅうーっと苦しくなって、僕は枕に顔をうずめた。

 ふれているところがじわっと濡れてきたけど、そんなのどうでもよくて。

 

 いつもはあったかい朝の光も、今日はなんか眩しすぎて目が痛いし、心が苦しくてどうしたらいいのかわからない。


 お布団に潜って、繋いでもらえない手をぎゅっと握った。

 

 ――綴の手は、いつもあったかかったのに。


 ――ただ、そばにいてほしいだけなのに。


 ――どうして……あまね、ばっかり。


 ――ぼくのとこ、きてよ……つづり。


 そんなことを思っている自分が小さくて、情けなくて。だけど、やっぱり寂しかった。


「……僕、先に降りてるから、桜も気が向いたら降りておいでね」

 そう言って和はお布団越しに、ぽんぽんとしてから部屋を出ていく。


 ――おりたら、綴いるのかな。


 ――でも僕が今行っても、邪魔になるだけかもしれない。


 それに弥に優しくしてるところを、見てないといけないかもしれない。


「桜、ゆっくりでいいから、頑張って起きようね」

 そんな大好きな声が、今は聞こえない。


 胸の奥が、きゅっと痛んだ。喉の奥が熱くて、またぶわっと涙が込み上げてくる。


「……なんで……しらない子、なのに……あ、とからきたのに……」

 言葉がそこで途切れて、また枕に顔を埋める。


 ――綴は僕のこと、一番に見てくれてたのに。


 ――泣いたときも、眠れないときも、ちゃんとそばにいてくれたのに。

 

 ――なんで……。


「……しらないこなんかより、ぼくのとこきてよ」

 誰にも届かない声。それでも言いたかった。泣くのは悔しいけど、止まらなくて。


「……つづり……つづり」

 ぽそっと呟いて、枕に顔を埋めた。ぐるぐると思考は同じところをまわり続ける。

 

 ――ぎゅってしてほしいだけなのに。

 

 そんなこと言えないまま、僕は静かに目を閉じた。



 ◆

  

 

 ガチャ――。


 静かにドアが、開く音。ぼんやりとする意識の中、僕の耳は足音をひろう。


 ――だれ……?


 知らない間に眠ってしまったのか、頭が重くて仕方がない。

 

「……桜?」

 ずっと待ち望んでいた、綴の声がした。


 一気に目が覚めて心臓が、びくって跳ねる。


「桜、起きてる……よね?」

 布団越しに聞こえる綴の声はやっぱり優しくて、聞いた瞬間に涙が出そうになってしまう。


「……つ、づり」

「来るのが遅くなってごめんね、桜」

 綴はベッドのそばにゆっくりと腰を下ろして、静かに言った。


「……うん」

「ずっとね……桜のところにこないとって思ってたんだけど、うまくいかなくてね。俺が来たときには、桜はもう寝ちゃってて……でも、こんなのは言い訳だね……ごめんね」

 その言葉を言う綴の声は、どこか苦しそうで。


 お布団の隙間から小さく顔を出すと、少し悲しそうな顔をしていた綴と目が合う。


「……つづり、だっこして」

 綴に向けて両手をのばすと、すぐに優しく抱きしめてくれて、髪をそっと撫でてくれる。


 ぎゅっと首のところに手を回して抱きつくと温かくて、安心できる大好きな匂いがした。

 心の奥にあった、もやもやが少しずつ溶けていく。


 どくん――。どくん――。


 心臓の音が近くで聞こえて、僕は嬉しいのに涙がとまらなくて。


 ぎゅっと抱きしめてもらいながら、離れてた分を取り戻すみたいにいっぱい甘える。

 

 ――ずっと、こうしていたかった。


 しばらくそうして、少し息が落ち着いた頃。枕元に置いていたお菓子のことを思い出して、綴の膝の上から退かずに目一杯、そっちに手をのばす。

 

「……あの、これ、ね……つづりに、あげたくて……」

 少し緊張しながら、手の中の袋を差し出した。


「これ、俺がもらっていいの?」

「……うん。これ……つづりが、すきなやつでしょ……?」


「ありがとう、桜……俺、これ大好き!」

 綴は一瞬、少し驚いた顔をしてからふわりと笑って受け取ってくれた。


 僕はお菓子を渡した手をそのまま綴の首元にまわして、またぎゅっと抱きつく。

 肩のところに顔をうずめて、服の布越しに感じる体温に、ほっと息を漏らした。


「……さみしかった」

 そう小さくつぶやいて、さらに腕に力をこめる。

 

「さみしい思いさせちゃって、ごめんね……」

 綴はそんな僕の背中を、優しくゆっくりと撫でてくれる。

 その声にまた胸がいっぱいになってしまって、僕は綴の膝の上で小さくうなずいた。

 

「……つづり、だいすき」

「俺も大好きだよ、桜」

 首元に頬を寄せたまま小さく呟いたら、ちゃんとかえってきたのが嬉しくて。


 綴の腕の中はあったかくて、ずっと会えなくて寂しかった分、こうしてるだけで涙が出そうになる。


 ぎゅって服を掴んだら、綴が小さく笑って優しく背中をとんとんしてくれた。

 その手のあたたかさは、心の奥まで染みていくみたいで。


「……桜、眠いの?」

 耳元でそう言われて、首を振る。


「……ぼく、ねむく……ない。まだ、だっこ……」


「ふふ、いいよぉ。このまま、だっこしてようね」

 そう言って綴は優しく撫でてくれながら、ゆっくりと身体を揺らす。

 綴の腕の中は心地よくて、安心できてまぶたが重くなっちゃう。


「つづり……」

「なぁに?」

 小さく呼ぶと、すぐに返ってくる声。


「もう、どっかいっちゃやだ……」

 僕がそう言った、瞬間――。さっきよりも強い力で、ぎゅーっと抱きしめてくれた。

 

「行かないよぉ……俺は、ちゃんとここにいるからね」

 その声が少しだけ震えているような気がして、くっついたところから綴の感情が流れてくるみたいだった。


 ――あったかい。


 眠りたくなんてないのに、綴の匂いとぬくもりに包まれてると、どんどん意識が遠のいていく。


「……つづり、すき……」

 僕は、最後にそれだけ言ったのを覚えてる。


 後は綴の手が髪を撫でてくれる感覚だけが残って、僕はそのままあたたかい夢の中へと沈んでいった。


 今思えばあの頃の僕は子供だったし、自分でも驚くほど我儘な子だったと思う。

 だけど綴はそんな僕に、溢れるほどの愛を伝えてくれていた。


 だから今の僕があるのは、綴のおかげ――。



 ◆



「弥、大丈夫だったの? 昨日、発作起こしたんでしょ?」

「……うん……大丈夫」

 どこか歯切れの悪い返事。視線を彷徨わせた後、綴は少し迷うように躊躇ってから言葉にした。

  

「……弥がいた施設に、人を溶かす能力の子がいた可能性がある」

 僕は、思わず目を見開いてしまう。弥のいた施設は、他とは比べものにならないくらい残酷な実験を行なっていたと記録が残っている。


 被験体同士を争わせ、俗にいう蠱毒のようなことをしていたと……。


「……それは、弥と同時期のこと?」

「いや……そこまではわからない。あくまでも話を聞いただけらしいから……」

「……そう、なんだ」

「それに、あの時は……弥と叶、それからもうひとり……亡くなっている子しかいなかったんだ」

 綴の表情が、陰る。


「……だから……少なくとも……あのときにはいなかったはず」

 

 ――綴は弥の過去の話をする時、いつも辛そうな顔をするんだ。

 そしてそれはきっと、自分の記憶と重ねてしまうから。

 僕は殆ど、綴の過去を知らない。聞けばきっと教えてくれると思うけど、あえて聞かなかった。

 下手に聞いて嫌な記憶を思い出して欲しくないし、悲しそうな表情を浮かべて欲しくない。


「……朝から暗くなっちゃったね、ごめんね……桜」

 そう言って、眉を下げる綴。

 

「ううん。僕から聞いたし……それに、話してくれてありがとう」

「ふふ。桜はいい子に育ったねぇ……」

「もぉ……何なの、急に」

 少し恥ずかしくて、僕は視線を逸らしてしまう。

 

 そんな話をしていた時。リビングの扉が開き、和が入って来た。


「おはよ……」

「おはよう、和……まだ、眠そうだね」

 そしてそのまま和は、僕と反対側の綴の隣へと座る。寝起きのはずなのに、和は髪も整っていて服もきちんとしていた。


 ――これが、性格の違いなのか……。


「眠いよ……」

 そんな諦めにも似た感情を抱いていた僕の横で、そう言った和は綴の肩へもたれ掛かる。

 

「……ちょっと」

 僕はそれが、少し面白くなくて。

 

「んー? どうしたの、桜」

「寄りすぎ、それやだ」

「えぇ……別にいいじゃん」

 和の声音は、どこか楽しそうに弾む。


「それともまた、僕のだから取らないでって言うの?」

「なっ……」

 和に反論したいのに……悔しいけど何も言い返せない。


「ふふ。懐かしいね、久々に聞いた」

 僕と和に挟まれた綴は、その間でなぜか嬉しそうに笑っている。


 ――というか、今でも綴は僕のだし……。


 そんな言葉は流石に子供すぎるから、心の奥に静かに仕舞ったけれど、僕のことを誂ってくる和はちょっとだけむかつく。


 だから僕も、綴の肩に頭を乗せてやった。


「二人とも、重いよぉ……」

 口ではそんな事を言ってたって、本当は綴だって嬉しいくせに。

 意外と綴は、わかりやすいんだから。


 和のおかげで少し陰っていた綴の表情が明るくなったから、それだけは感謝してあげる。なんて――。

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