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無益な思考

作者: 小野寺京子

 死のうと思っている。

 このところずっとである。

 話し言葉は自分の雰囲気というか、どうしても中立的な物言いをしてしまうところに引きずられるので好きではない。私は女の高校生である。オシャレとスイーツが好きで、ティックトックを見ていて、頭の悪いという高校生ではない。ただの女の高校生である。高校生という属性を抜いては私を語ることができないように、女という属性も抜いては私を語れない。あまりにも当たり前で、しかし吐き気がするほどに気持ちが悪い。生物学的にも社会的にも私は女であり、そのことが不愉快なのでは決してない。私は確実にセクシャル・マジョリティーである。だが、気持ち悪いのだ。周りの多くの大好きな女の友達はそんなことはきっと考えていないし、多分男も考えていない。

 わたしには彼氏がいる。初めの頃はよく世話を焼いてくれたが、私が精神的に頼りすぎたせいで負担をかけてしまった。それでも一緒にいる。私のどこが好きと訊いても答えてくれないのに、私のことを全部受け入れてくれているわけではない。

そもそも、人の全てを受け入れるということは、人にとって不可能である。しかしその義務があるものもいる。それは親であり、親だけである。親以外にそれを要求するのは間違いであり、傲慢である(傲慢である、というのは彼氏の言葉の引用である)。しかし辛いものはつらい。親が不倫してるから?えへへ。不倫してても愛情は注いでくれているのに。

 そのような経緯で精神科を勧められ、敷居が高かったのでスクールカウンセラーを訪ねることにしたがあまり上手くいかなくて、次の予約は保健室からしますと言って、年度の変わり目でフェードアウトすることにした。自分がどう苦しいか、またなぜ苦しくてこれからどうしたいか、そんなことを全部自分で言わないといけなかった。骨折が検査で分かってもその指が痛むかは医者には分からないし、どうして折れたのか、ましてや希望の治療法など知る由もない。それで外科の先生を責める患者はどうかしているが、私はカウンセラーを責める気持ちでいる。ただ苦しいのだ!治せ!治せないなら頷くな!聞き出すだけ聞き出して黙るな!解決法を教えろ!と思いインターネットで調べると、アドバイスというのはしてはいけないらしい。ごめんなさい先生!でもあなたの話し方はちょっと嫌でしたよー。

 誰の気持ちを満たそうとしてこの恋愛を始めたのだろう。彼氏だろうか、いや、きっと私自身だろう。何かをして満たされたいと思ったのだ。私が始めた物語、である。少し好かれていると思ったのは間違いではなかったと思うけど、それを無視しさえすれば付き合うなんてこともなかっただろう。

 ああ、死にたい。

 しかし生きるしかないのだ。

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