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1.火継ぎ

 たくさんの命が奪われた。

私が死んでいないのは、

彼女たちが生かしてくれたから。


 この残された命、サルソウネなら

上手く使ってくれるだろう。


 幸福とは何なのか?

私にはわからない。


 彼女たちは、幸せだったのだろうか?


 限り無く無知な私は、

何のために、戦っているのかもわからない。


 双撃の花が散るときは、

静寂な中へ沈む。


 2159年の日本では、女性を狙撃手として、

育成することが義務付けられている。


 狙撃手は基本、ツーマンセルで任務を行う。

任務の難易度によって、

他のペアと協力することがある。


「私のパートナーはどんな人だろう?」


 狙撃手にとってパートナーとは、

任務を行う際、日常を共有する

かけがえのない友だ。


 二人一組の部隊を、

弐火と呼称されている。

 弐火は、一度決まってしまえば、

変えることが出来ない。


 昨晩は胸がざわつき、あまり眠れなかった。

今日から寮暮らしが始まる。


 日帝都花釘学園の入学初日、

正門で花の紋様のバッジを、

上級生からつけてもらい、

漸く入学したという気分になる。


 昇降口の壁へクラス分けが貼り出され、

教室の座席表を確認した。


 隣の席の人物が、私の相棒ということだ。

教室には、まだ誰もいない。


「一番乗りだ♪」


 今のうちに名簿を見て、

クラスメイトの名前を覚えるとしよう。


 私の隣の席の子は、

風宮サルソウネさん。

変わった名前なので、

直ぐに覚えることができそうだ。


 クラスメイトの名前を一通り見終わり、

他にすることもないので、

自分の席に静かに座る。


 忘れ物がないか、鞄のチェックを始めた。

タブレットPCにICカード、

ちゃんと入っている。


 必要な書類の束、忘れ物は無し。

入学式に忘れ物をしたら、

寮までダッシュする羽目になっただろう。


 ちらほら他の生徒が、

教室に入ってきた。

 その中の1人、人懐っこい雰囲気の女の子が、

私に話しかけてくる。


「早いね、アタシは鳥羽七海。あなたは?」


 黄緑色のベリーショートで可愛らしく、

柔らかい藍色の目が、私を捉える。


「初めまして、私は世川心咲。

 大変だろうけど、三年間よろしくね」


 声をかけられたから、隣の席の子かと思った。

鳥羽さんは、少しマイペースで猫っぽさがある。


「うん、よろしく。アタシ、堅苦しいのは苦手だから、

 何でも気楽に話してね」


 とても話しやすくて、会話能力が高い。

私の隣の席の子も、こんな子だったら嬉しいな。


 私も、鳥羽さんを見習って、フレンドリーに

話せるようにならなくちゃ。

 苦楽を共にするクラスメイトだから、

仲良くなれたらいいな。

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