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第一章 第三幕 少女救出作戦

ーーー現在


「じゃあ出るから、しばらく姿を消していてくれ」

「あいさっ」


そう言ってミルの姿は虚空へと消えた。

ミルは、と言うかこの世界の全てのドラゴンは共通で自身の姿をステルス化出来る能力を持っているらしい。

これは非常に便利だ。

何しろ外に出ても騒ぎにならない。

そうして宿屋を出て、王城へ向かって賑わった街並みを歩く。

此処は城へと続くメインストリート。

露店を開いて野菜や果物を売る商人も居れば、籠を持って買いにくる客もいる。

そして、しばらく歩くと円形の大きな広場に出た。

周りは草木で囲まれており、中央には噴水が設置されている。


どうやら中央広場らしき場所に出た様だ。

ふと、視界を右に向けると、噴水に設置されているベンチに女の子が座っているのが見えた。

金髪のツインテールで歳は俺と同じくらいだろうか?

だが、同時に問題も生じている様だ。

と言うのも、その女の子に複数の男が絡んでいるからだ。

どうやら少女に対してしつこく話し掛けている様に見える。

ナンパと言う奴だろうか。

少女の顔は明らかに困惑していた。

しかし、通り掛かる人々は皆同様に見てみぬふりをしている。


「リュージ、どうするのさ」

頭の中にミルの声が響いて聞こえた。

俺はそれに対して頭の中で言葉を返した。


「んー…正直関わり合いになるのはゴメンだな。あの子には悪いけど。急ぎの用事もあるし」

「へー、リュージってそんな薄情者だったんだ。見損なったよ」

「そこまで言うことないだろ。王様に呼ばれているんだから仕方ないじゃないか」

「でも、あの人達何するか分かんないよ?最悪連れ去られてあんなことやこんな事に〜…そうなったら誰のせいだろうね?」

「いや、流石にそれは…」

「可能性としては十分あるよ」

「・・・わかった、わかったよ。助けますよ。それで良いんだろ?」

「よし、それじゃ行こう!!」


ミルはそう言っているが、あの男達に突っ掛かって言い掛かりを付けられたら被害を被るのはこっちなんだと言う大前提はミルにとってはどうでもいい事らしい。


「あー、えっと…ちょっと宜しいでしょうか?」

なるべく物腰低く…。

問題はあまり起こしたくない。

すると、俺の問いかけに男の一人が反応した。

「あ?」

返答した男の一人が振り向くと、こちらを睨みつけてきた。

「えっと、何かあったんでしょうか?」

「誰だよお前。って言うか関係あんの?もしかして、この子の彼氏?」

「あ、いえ、そう言う訳じゃ無いんですけど…」

「じゃあ引っ込んでなガキ。お前にはまだ早い話だからな」


そう言うと、男はまた女の子に向き直って話しかけ始めてしまった。


「全く聞く耳持たないね」

頭の中で話し掛けて来るミル。

「そうだな…でもここまで来ちゃったからには逃げる訳にもいかないし」

そして俺は意を決した様にもう一度話し掛けた。

「あの!!その子困ってるじゃないですか!!」

すると、今度は男が逆上した様に言い放った。

「だからお前には関係ないって言ってんだろうがクソガキ!!それともこの俺様とり合おうってのか?」

「そ、それはちょっとこっちが困ると言うか…お互いの為にやめた方がいいですよ」

「喧嘩売ってきたのはお前だろうが!!」

男はそう吐き捨てると、ファイティングポーズを取ってみせた。

本気でおっぱじめるらしい。


「どうしたらいいと思うミル?」

俺は頭の中でミルに話しかけた。

「ん〜…このまま逃げるのも癪に障るし、あの女の子を見捨てることになるし何よりかっこ悪いもんね…」

するとミルは何か閃いた様に声を高くして言った。

「そうだ、良い方法があるよ!!女の子を連れて逃げるんだ!!」

その回答に俺は思わず速攻でツッコんでしまった。

「いや、それはもう考えてたよ!!でも、追ってくるに決まってるじゃん!!」

と、思った瞬間、閃いたものがあった。

「…って、そうか!!そのまま路地裏に逃げ込んでそこでコテンパンにしちゃえば良いんだ!!そうすれば大事になりにくい」

「それ、それを言おうとしたんだ!!」

「絶対違うでしょ」

「むぅ…本当なのに…」


俺はミルの反論を無視してダッシュで女の子に駆け寄ると、そのか細い腕を掴んで路地裏へ走り出した。

「こっちだ!!早く!!」

女の子は俺の突然の行動に小さく悲鳴を上げるだけで、訳が分からないまま路地裏へ共に走った。

当然男も追い掛けて来る。

そして、ようやく状況を掴んだ女の子は初めて口を開いた。


「ちょ、ちょっと、引っ張りすぎよアナタ!!」

「ごめん、でもそこまで気を使っていられる余裕が無いんだ!!もうすぐだから頑張って!!」

そして、人目の付かない路地裏へ男達の誘導作戦が成功したのだ。


「クソッ手こずらせやがって!!」

路地裏へ俺を追い詰めたと思い込んでいる男の一人が吐き捨てるように言った。

「だが、これでゲームオーバーだな。さーて、どう痛めつけてやろうかなー」

随分愉快そうに話す男だが、既に準備は整っている。

男達はこれから思い知る事になるのだ。

追い詰められたのは寧ろ自分達だったと。

そして、ドラゴンテイマーである俺とミルの実力を!!



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