第一章 第十六幕 牢屋
「うぅ…ここは…?」
薄っすらと意識が戻り始め、徐々に視界が戻ってくる。
そして、辺りを見回してみると石の壁に鉄格子があるのが分かった。
どうやら牢屋に入れられたらしい。
「くそっ嵌められたのか…メアリーが御伽七竜星だったなんて…そうだ、ミルは!?」
「僕なら此処だよ」
後ろを見ると、そこにはミルがいた。
「お前、全部見てただけなのか?」
「うん、そうだね」
「何で!!」
「勿論リュージを助けようとしたさ。でもハーツに止められたんだよ」
「ハーツ!?っは!!カリンは何処だ!!」
「私もここよ」
カリンは牢屋の端っこの方で体育座りをしてこちらを眺めていた。
「あぁ、良かった…それよりハーツ、何でミルを止めたんだ!!」
「実は…」
ハーツの話によると、俺達が倒れたすぐ後に、メアリーとは別の人物が入ってきてハーツにメモの様な紙を渡してきたそうだ。
その人物はクレグと名乗っており、後に合流する予定だった男の名前だ。
ハーツがそのメモを俺に渡した。
俺が渡されたメモを開いて見てみると、こんな事が書かれていた。
「劇場へ来い。全ての真相はそこにある」
「これってどういう事だ?」
「分かりませんが、クレグとメアリー曰く今はこうするしかないと。だから私にメモとこれを託しました」
そういってハーツが取り出した物は、古びた鍵だった。
「この牢屋の鍵か?」
「どうやらその様です。二人の目が覚めたらこれを使って劇場まで来いと言うことだと思います」
「なぁ、カリン。お前はどう思う?」
「罠だと思うわ」
「だろうな」
そこにミルが口出ししてきた。
「でも、罠だとするならわざわざ鍵なんて渡すかな?仮に罠だったとしても今僕達が巻き込まれているのが何なのかを知る為にも行くべきなんじゃないかな?」
確かにそうだと思う。
罠だとするなら鍵を託したのが不自然だ。
誰が俺達を狙っているのか。
メアリーか、クレグか、或いは…最初から全て仕組まれていた事だったのか。
そして、何故俺達が狙われたのかを知る為にも行かなくてはならない気がする。
「分かった、行こう。カリンもそれで良いよな?」
「いいわ、こうなったら何で私がこんな目に合わなきゃいけないのか、とことん追求してやろうじゃない!!」
カリンは怒りを顕にして拳を固めた。