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第一章 第十四幕 アカシックレコード


中に入ると、先程の図書館よりはこじんまりとした図書室が広がっていた。

あまり人が立ち入っていないせいか、少しホコリ臭い。

メアリーは無言で、すたすたと奥へ行ってしまった。

場所は分かっていると言っていたが、一体どういう書物なのか検討もつかない。


「えーっと…この辺ですね」


メアリーがある地点で足を止めると独り言のように呟いた。


「ありました、これです。私達はこれを『アカシックレコード』と呼んでいます」


そこにあったのは、台の上に魔力で浮遊している1冊の本だった。

本はしっかりと閉じられており、まるで封印でもしているかのように魔法の鎖で雁字搦がんじがらめにしてあった。


「因みに、許可のない物がこれに触れると手が吹き飛ばされて無くなっちゃうので私が許可するまで絶対に触れないで下さいね」

「う、腕が吹っ飛ぶ!?」

「えぇ、それくらい厳重に保管しないといけないものですから。何しろこの本は歴史その物ですので。悪用されれば歴史改変に繋がり、世界の崩壊を招く可能性すらある超危険な書物なんです」


それ程重要な書物をおいそれと簡単に見せて良いものなのかと困惑したが、普通じゃ絶対に閲覧出来ない物を見れる機会だ。

これを逃したら二度とお目にかかれないであろう物が今目の前にあるのなら見る選択肢以外は存在しない。


「でも、よく女王陛下もこれを俺達に見せる許可を出したよな」

「これ以外『七人の竜使い』の神話が実話だったと証明する手段が現状無いので」

「じゃあ、邪竜教団の話も…」

「えぇ、見れば分かります」


そしてメアリーはアカシックレコードの前に両手を差し伸べると、目を瞑りながら呪文らしき言葉を並べた。

すると、鎖が砕ける様に砕けて消えた。


「これで大丈夫です。手に取って、そして今自分が欲しい情報を頭に浮かべるんです。そうすれば本が全てを教えてくれます」

「う、腕は吹っ飛ばないよね?」

「吹っ飛びません」

「わかった」


そして俺は本を手に取って、七人の竜使いと邪竜ティアマトについて頭に思い浮かべた。

すると、本が勢い良くパラパラと捲れていき突然ピタリと止まった。

そこに文字が浮かび上がってくる。


『遙か遠い昔、アトランティスと言う国が栄えていた。

その国は幸福に満ち溢れ、民も王も幸せに暮らしていたのだ。

そんなある時、平和の国に一つの災厄がもたらされる事となる。

終焉の象徴と言われた『邪竜ティアマト』が攻め込んできたのだーーー


ティアマトの力は余りにも強大で人々はこれに為す術も無く、ただ絶望に染まり、神に救いを求める者もいた。


其処に、彼らは現れた。

7頭の竜を従えた7人の人間だ。

彼らは竜の背に乗り、竜を従え、竜と共にティアマトとの死闘を繰り広げていた。

永い死闘の末、7人と7頭の竜が勝利を収め、人々は喜びを分かち合い、彼らを英雄として讃えた』


「これって…つまり七人の竜使いの神話は実際に起こった話だって事だよね?」


カリンがメアリーに言った。


「えぇ、そうですね。アカシックレコードに書かれている事は歴史その物であり、証明であります」

「って事は邪竜教団って言うのも…」

「はい、邪竜ティアマトが実在した以上、復活させようと目論む教団が出来ても仕方がないでしょう」


そして俺は本を閉じて元の場所に戻した。


「そっか…分かった。一旦戻ろう。この件について女王陛下と話し合いたい」



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