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この世の朝は未だ遠く 〜Zwischen Traum und Erwachen〜  作者: レンリ
一章 三千大異世界

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四話 宿探し

やっぱり、投稿すればするほど文字数が多くなってしまう呪いにでもかかってるんだなって。

 今後の方針が決まった俺たちはとりあえず宿を探すために歩きながら辺りを見渡す。

 宿屋のところは木の看板で『宿』って書かれてあるからわかりやすいのが少しだけありがたい。


「一成、この宿とかいいんじゃない? 」


 蒼がかなり、ちゃんとしている宿 (僕の考えた異世界基準)を指差して言う。


「こんなところに泊まって、何日持つんだ。冒険者になったあとのことも考えると一、二週間は暮らせるぐらいが理想なんだが。」


「でも、そんな安いところとか絶対ワケありだったり、ものすごくボロかったりするじゃん。」


 蒼は安いところには泊まりたくないようなので俺は説得を試みる。


「ボロはともかく、ワケありの場合良くないか? 」


「どうしてそうなるの! ? 」


「そりゃあ、異世界だから幽霊が出る可能性はあるな。」


「うんうん。じゃあ、ダメじゃない! 」


 蒼はうなずいて、俺の意見を否定する。人の話を最後まで聞かない蒼に幽霊が出る利点を説明する。


「あのな、幽霊がもし、めっちゃイケメンだったらどうするんだ。それに、幽霊が出たら逆に使えばいいだろ。幽霊のエネルギー源は謎だが少なくとも人よりはコスパ良さそうだしな。」


「確かにイケメンだと…って違う! イケメンだからって幽霊は幽霊なんだから未練が残ってるでしょ。もし、人を恨んで幽霊になってたら私が危ないの! 」


 俺の半分本気の力説にノリツッコミで蒼が答える。


 私が危ないって俺は危なくないの? なんなの? 俺は除霊師なの?

 蒼の要望はなるべく良い生活が出来る宿ということだね。仕方がない。


 俺は袋を蒼に渡しながら、一つお願いをする。


「じゃあ、その中のお金の量を数えてくれ。」


「まってこんな道の真ん中で数えるの! ? 」


「じゃあその辺に行くぞ。」


 俺は路地の方を指差し、蒼と共に歩いていく。そして、俺がすることを宣言して、サボってると言われないようにする。


「俺はこの本で大体、異世界貨幣が日本円でどのくらいになるか調べておくから任せたぞ。」


 俺は本を開いて九章までひたすらにパラパラとめくっていく。


 ん? そういや、こいつのこの本ってどこにあるの? 点Pに起きてきたりしてないよね。まぁ、そんときは点Pに動いて持ってきてもらおう。うん。必要じゃない時は動かないでね。点P。


 おかしい。かなりページをめくっているはず、感覚的にはラノベ一冊、三百ページ程めくっているのに、この本はまだ五分の一程で章はまだ一章のまま変わっていない。おかしいと思う。この本四センチぐらいしか厚さないのに。これが魔法か…。しょぼい。


 俺はページをかなり飛ばしながら九章を目指す。

 すると、やっと九章まで届き、九章の初めまでページを戻して読み始める。


 ふぅ、見開きのページの左上に何章か書いてあって良かった。じゃなきゃこれを探す時には絶望してた。


『この世界と向こうの世界を比較しても、そこには魔法やステータスがある程度であまり変化はない。

 なのでここには日本に換算しての値段などを書こうと思う。』


 あの、ならなんで章のタイトル比較してって名前にしてるの?


『この世界でも貨幣だが、この世界で一番大きな大陸の【ソーキ大陸】。その中で一番大きな国の【ウカツコ】。そこでの通貨は日本円に換算すると小銅貨が十円、銅貨が五十円、小銀貨が百円、銀貨が五百円、小金貨が千円、金貨が五千円、白金貨が一万円程になる。』


 小通貨 (仮称)ってものがあるってことらしいね。

 なんとなくは分かった。二千円札とか五円玉とかないだけマシだね。


 少しすると蒼も数え終わったようで


「小さな銅みたいなメダルが十枚とそれを大きくしたみたいなものが四枚、小さな銀みたいなのが十枚、大きい版が十一枚、小さな金のが十枚、大きいのが四枚入ってた。」


 という。


 あまりにも銀貨の枚数が多くないですか。銀とプラチナを同じに見たのかな?


 そのことを不思議に思った俺は念の為確認しておく。


「その大きな銀のメダルは本当に全部銀か? 全部白っぽいのか? 灰色が混じってないか? 」


「え? っあ! ほんとだ。白と灰色がある。分かりにくいけど灰色の方がギザギザしてる。」


 やっぱりあったんだね。まぁ、36800円でどうやって一週間生活するんだって話にはなるんだけどね。いやでもあの神の事だから有り得なくはなかったかもしれないなぁ。


 蒼は白と灰のメダルの数を数え直し、俺に報告する。


「白が四枚で、灰色が七枚だった。」


「わかった。それで計算するぞ。」


 一日一万円ペースか。とりあえず宿泊相場がわからないから日本での相場で計算すると、連泊三日で一日、一人あたり七千円になって、つまり、一日一万四千円。そして、何日持つかって言えば五日になる。しかもそれは生活費を考えなかった場合だから、実質は四日持つかぐらいか…。交換スキルを使えばなんとか五日は持つが、それでも一日に一万四千円稼げるかどうかはかなり怪しいから、一日一万円ぐらいには抑えたい。だから通常での一泊六千円ぐらいの格安に泊まらなきゃいけないな。


 俺のお得意技の一つ、《脳内演算》をして最適解を導き出す。


 他の得意技には、推しキャラを脳内で自由自在に操る《脳内編集再生》や、周囲の情報を盗み聞k…いや、情報を整理して危険を察知する《危機回避演算》などがあるね。


 俺は考えた値段を蒼に伝える。


「一泊六千円。出来れば連泊すると一日五千円になる宿がいい。日本で言えば格安だが、そこは仕方がないから頑張って探してくれ。」


「待って、どんな計算したのか分からないけど早くない! ? 」


 蒼が不意をつかれたような顔でなにをいまさらと言ったことを聞いてくる。


「まぁ、そこは俺の《脳内演算》かっこ、人の感情や動きは除くかっことじ、のおかげだな。」


 まぁ、俺はほとんど毎日脳内演算してるからだいぶ熟練度が上がってきたと思うんだよね。だからもうそろそろ、人間も計算に入れてできるようになってもいいと思うんですけど。


「もう、かっこを発音してることは突っ込まないよ。それで、格安を探せばいいんだよね? 」


「まぁ、そうだな。シラミ潰しに探していくしかないな。」


「いや、でもそういう宿とかだと町はずれに行くと安いところが多くなるんじゃない? 」


 蒼が天才的な意見を出す。


「なにそれ天才か? 」


「普通気付くでしょ。」


「俺に普通が当てはまると思うな。俺は異端中の異端だからな。実際卓球部で左ペン表だったしな。」


 卓球の左ペン表とは、卓球のラケットを左で持ち (異端)、ペンホルダーというタイプのラケットを使い (現在は異端。昔はペンが多かった。)、表ソフトというつぶつぶとしたラバーを使う (男子ではかなり異端。まだ粒ラバーの方が多い。)人のことである。

 なんだこのイレギュラーの言葉から生まれてきたのはみたいなタイプだしね。異端(イレギュラー)中の(オブ)異端(イレギュラー)の名をほしいままにしていたね。


 蒼が天才的な考えを俺にも分かるように言葉を付け加える。


「左ペン表がなにか分からないけど、ホテルとかってやっぱり都心とかに近くなると高くなるじゃない? それとおんなじで町の真ん中とかよりは端っこの方が安くなるって思うんだけど。」


 なるほど。その理論だと町の外にある宿とか二千円ぐらいで泊まれそうな気がするね。宿があるかどうかは計算に入れないものとする。


「なら、一回外側まで行くか? 」


「うん、そうだね。それと大通りとかから遠いところだと安くなると思うから頑張ってね。」


「おい、蒼も探してくれ。」


 俺と蒼は今来た道を引き返す。

 俺はその道にいる人たちの髪の色になにか法則性がないか探しながら歩く。


 緑、碧、青、蒼、金、赤、赫、黄、黄緑、銀、薄緑、ピンク、紫……。

 色には法則性は見つからないけどなんていうか黒色が全くいないね。確かにこのなかで黒髪は目立つね。


 そういや、点Pは無事かな? 移動してないよね。まぁ、平面移動は許そう。立体移動をしていたら絶望しますね。


 □□□□□□□□□□□□□□□□□□


 来た道を引き返し、町の入口付近まで戻ってきた。

 そして、蒼の提案の通りに外周に沿うように歩いて『宿』という字をひたすらに探す。


「あっ! ひとつあった。」


 蒼が左前方に宿をひとつ発見する。


 進行方向を左です。


 蒼がその中に入って行き、お店の人と交渉をする。

 俺は宿の入口付近の壁に寄りかかり、足を組んでかっこよく待つ。


 蒼には連泊で一人一日金貨一枚に抑えられなかったら、断るように伝えてあるから、きっと大丈夫なはず。こればかりは蒼を信じるしかないのが悲しいかな。俺は初対面の人と五回以上会話のキャッチボールができないのがほんと悔やまれるなぁ (他人事)。


 少しして、蒼が宿からでてくる。


「なんかね。連泊すると一日小金貨三枚で泊まれるらしいよ。」


「え? 安くないか? 」


 日本円にして一人三千円で泊まれるとか安すぎて怖い。


「私も思ったけど、なんか基本的にこの町は安いらしいよ。この町は冒険者になるのを応援してるみたいなことを言ってたよ。」


 つまり、この町は冒険者を育成するためにあるような町だから、全体的に安くして、冒険者でも食べていけるようにして、結果的に冒険者を増やそうっていう考えの町ってことか。


「じゃあこの宿でいいか。で、部屋はどうする? 出来れば二人部屋がいいんだが。」


 俺は最善の提案をする。


「え、やだ。一成と一緒の部屋とか絶対嫌なんだけど。」


「そんなこと言わずに頼む。俺が夜襲にあったらあの大剣じゃ何も出来ないからな。」


「まさかの身の安全をまもるためだった! いや、でも男子と一緒の部屋だと、私の身が危なくなるんだけど。」


「いや、蒼なんかに可愛いと思う俺はいないし、この俺だぞ。そんなこと出来るわけないだろ。」


 蒼が可愛ければ、推しレベル2のキャラでも天と地の程の差があるね。


「一成が勇気がないのは知ってるけど、そのレベル? ! 」


「いや、臆病とかじゃなくてそんなことをした後なんか、罪悪感と背徳感のダブルプレスで紙になる。」


「まって、罪悪感とはいとくかん? で神になるの?」


「ダメだこいつ。脳内文字変換がバグってる。とりあえず、生活出来る二人部屋で良いな。」


「なにかあったら、お金もって逃げるからいいよそれで。」


 待ってそれをされるといよいよ生活できなくなるんだけど。


 俺たちが宿に入ると受付らしい水色の髪が背中まで伸びて、パープルの目の大人っぽい女性が元気な挨拶をかけてくれる。


「いらっしゃいませ。泊まりますか? 」


 初手でその質問はおかしいと思うんだ。

 某ゲームで初手 《だいばくはつ》ぐらいおかしいと思う。

 多分、冒険者の宿を作りすぎて、どこも経営難だったりするんだろうね。それか、蒼がこの短時間に二回入店したかのどちらかだね。


 俺は受付に歩いていって、話し合って決めた内容を店員に伝える。


 これは、話しかけても問題ないやつだよね。迷惑にならないよね。やばい。緊張してきた。


「えーと、二人部屋の三日連泊っていくらします?」


「そちらですと、三日で白金貨しろきんか一枚と小金貨しょうきんか三枚になります。」


「じゃあ、それでお願いします。」


「ではこちらにお名前をお願いします。」


 店員さんは紙を手元の引き出しから取り出し、後ろの金庫からペンを持ってきて、追加で言う。


「こちらのペンは魔法のインクが使われておりますので、お名前はご本人がお書き下さい。」


 俺は店員さんから紙を受け取り、左手でペンを持つ。

 ペンはキャップ付きのボールペンのような形で、実際にキャップがついている。そして、キャップを取り、名前を書こうとした時にひとつ気付く。


 あれ? これって、漢字とか順番とかは日本語でいいのかな? 異世界ものだと完全な暗号みたいなものとして扱われるけど、この世界は異世界語が日本語に見えるから日本語も異世界語で読めそうだけど。


 gdgdグダグダ考えていても仕方がないので、店員さんへと三回目の言葉のボールを投げる。


「これって、漢字とか順番ってそのままで書いていいんですか? 」


「漢字ってことは、西の方の国で産まれたんですね。自分で分かるように書いて頂ければ構いませんよ。」


 記入欄に朝霧 一成と書いて、念の為に読み仮名を書いておく。


 話を聞いていたのか、俺が書き終えた頃には蒼が俺の右についている。


 ゑ? なにきみ、忍者なの?


 蒼は俺からペンと紙を受け取った後に素早く名前を書いて、店員さんへと渡す。


「白金貨一枚と小金貨三枚になります。」


 そろそろ、会計になる。と空気を読んで蒼が取り出しておいた通貨を店員さんへと渡す。


「白金貨が一枚、小金貨三枚でちょうどお預かりします。」


 三日で一万円三千円って安すぎるよね。

 いやでもこれは、考えたらダメな気がするね。


 店員さんはお金を受け取った後、お金を鍵付きの引き出しに入れて、後ろのたくさんの引き出しがある棚の中から203を選んで、その中に紙を入れて鍵を二つ取り出す。


「こちらが203号室の鍵になります。203号室は階段を上がって右に行ったところにあります。ふたつずつ渡しておきますので紛失等しましたら、ここまで言いに来てください。他にもなにか困ったことがありましたらお手数お掛けしますが、ここまで来てください。

 ごゆっくりどうぞ。」


 俺たちは鍵をひとつずつ受け取り、店員さんは最後にぺこりと頭をさげてもてなしてくれる。


 なんだろう。沸きあがる日本感。

 それに、ここ二階あったんだ。道理で高いはずだね。


 俺たちは203号室に向かうべく、アマゾンの奥地 (階段を上った先の部屋)へと向かった。そして、鍵を使ってドアを開け、部屋に入る。


 やっと住処が決まったね。それに、予想より安く済んだから大分ゆとりを持って暮らせるね。

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