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この世の朝は未だ遠く 〜Zwischen Traum und Erwachen〜  作者: レンリ
一章 三千大異世界

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六十二話 試験

 とうとう試験当日がやってきた。

 カピュア、蒼と共にギルドの一室に行き、事前に聞いておいた受験番号の書かれた席まで移動する。

 周りと番号で推測すると、二十人ほどしか受けていないようだ。


 そして、前から順にまわしていく。


 なんか、おかしくない?


 少し見えた問題は数学のようだ。


 順番おかしいね。


 開始の合図で皆一斉に問題に取り組み始める。


 ……正直少し眠い。昨日夜更かししすぎた。というか、伝えられたのが今日起きたときってなに?


 ……ん? そういえば、試験の前日だったのにあんな無意味な英語の授業したの?


 こんなことを考えているのも、目の前にある問題が酷すぎて軽い現実逃避をしている。


 まぁ、その事はいいとしよう。今この状況に比べればとても軽い。


 うん。なに? 初手の問題で10÷0って。

 解なしでいいの? それとも∞にした方がいいの?

 この世界の数学がどうかは知らないけど、0に符号ついてないし付けられないからもう解なしでいいよね。


 解答用紙に 【解なし】と書き込む。


 もうこんなゴミ問がでるなら試験受けたくないんだけど。

 レベル的には鎖に繋がれたライオンは何㎡の草を食べられるかって問題と一緒だよ?

 ※ライオンは草を食べません。


 残りの問題は案外まともだった。


 4×26とか−8+6とか−28÷14とか。


 そして出てくるゴミ問題。

 2の平方根の平方根……を無限回繰り返した数はいくつか求めよ。


 ……?

 平方根は二乗してその数に限りなく近い数になるし、そもそも2の平方根の時点で循環しない無限小数だから1で合ってるよね? あってるよね?


 ゴミ問題のインパクトが強すぎて他の問題が考えずに解けるレベルで簡単なんだけど?


 そして定期的にやってくるゴミ問題。

 最後の文章問題でこんなふざける問題がかつてあっただろうか。


 タカシ君は秒速340mで歩いています。ギルドから家を30回往復するのに5分かかりました。ギルドから家の距離はどのくらいか求めよ。


 この世界にタカシ君いるんだな!


 俺は()()()()をする。正確には問題用紙の余白にツッコミを書く。今回の場合は

【なんで人 (多分)が音速で移動してるの? なんなの? 戦闘機なの? 】


 ここで試験官から訂正が入る。内容を聞くには秒速340mの訂正らしい。


 そうだよね。人間が地上での一般的とされる音速を出せるわけないよね。間違えて時速にしたんだよね (これでも充分早い)うん。


 秒速340mから秒速4万kmに訂正っと。


 っおい! タカシなにもの? 光そのもの?


 もうカオスすぎる……。


 問題を解き終わり、見直しも済んだのので、ぼーっとしながらなんとなく考える。


 なんか、こうしてると学校を思い出すよね。あの超絶ホワイト企業の学校を。


 アットホームな自宅だし (家庭学習)、束縛時間丸一日だし、時間外勤務だし (宿題)、なにより給料安いし (お小遣い程度)……。


 わー凄いホワイトだー (思考放棄)


 特にこの後問題もなく、筆記試験は終わりを迎えた。


 もう数学の記憶が強く残りすぎて他がほとんどないんだけど?


 せいぜい俺の天然発動したことと、理科で数学と同じ製作者が作ったとされるゴミ問題が出てきたことかな。


 天然の発動は、ゴミ問題のせいで集中力が吹き飛んだ時に用紙をうしろにまわすとき。

 自分で紙を取らずに後ろにまわしたよね。


 理科の問題は

 ルナさんは時速3キロで歩いています。何を作ってますか?


 っていう問題はだったね。一瞬数学かと思った。というか、どれだけネタ好きなんだよ!

 まぁ理科だから一応生物かなと思って 【乳酸】って書いたけど!


 そんなこんなで山あり谷ありネタありの筆記試験を終えた。


 次は実技試験だ。説明を聞くにはAクラスの人と個室で模擬戦闘を行って認められると合格らしい。


 個室である必要性……。カンニングとか強化魔法とかのずる禁止?


 自分の順が来たので部屋に入り、武器を交換するとどこかで見たことある槍をもったランサーがいた。


 ……あ! あの人だ! オセロと花札で難なく勝てた人! そして俺を槍で完膚なきまでにボコボコにした人!


 剣を構えて戦う準備をするが相手は槍を構えず、気怠げな口調で


「はぁ? なんでアンタともっかいしないといけないの? 」


 と以前あったときと変わらない態度で言う。


「アンタとすると変な気分になるから嫌なんだけど? 」


「それでいいのか……」


「それにアンタ、右腕落とせたのに斬らなかったっしょ? 」


 俺の呟きが聞こえたのかどうか知らないが、RUNランサーは相変わらず苛立ちと気怠さの混じった声で言う。


 バレてたんだね。


「あの幻覚も自然だったからBは余裕だし、だるいからもうしなくていいでしょ」


 なんという自由勝手! でもまぁもうあの痛みは勘弁だし、そもそも部屋にクレーター作られても (ギルド側が)困るし。


 なんやかんやで実技試験は合格になってしまった。


 なんか締まらないなぁ。


 実技をすすめている間に筆記の答え合わせも終わったようで、見たところ順位順の並びで受験番号が一番上となっていた。


 あのゴミ問題。正解したのかな? どっちでもいいけど……。

 ていうか、この制度作った人絶対受験経験してないと思うんだけど。


 カピュアは特に苦もなく、蒼は筆記がボロボロになりながらも試験に受かったようだ。


 なんか締まらないなぁ!!


 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


 ギルドで合格書を見せて正式に任命してもらわないといけないのだが、順番待ちができていたので一度カフェで雑談でもすることにした。


「うぅ、なんだか今回の試験は難しかったです。前に取っておいて良かったです」


「お疲れだな……ん? 」


 机に突っ伏して珍しく疲れを表現するカピュアに労いの言葉を投げかける。

 少し引っかかることはあるが……。


「待って? フェル前に受かってたの?! 」


 蒼は俺の疑問を言葉にしてくれた。


 蒼、よくやった。


 カピュアは、はいそうですよ。となんてことのないように答える。


「それって試験受ける意味あったのか? 」


「それは……イッセイと一緒に勉強して受験したかったんです……」


 意図せず少し責めるような言い方になってしまったため、カピュアはもごもごしながら頬を染めて言う。


 嗜虐心をくすぐるようなのはやめて!


「カピュアがそうしたいって思ってくれたなら嬉しいが……」


 照れのために自然と目を逸らしてしまう。


 人前のためにお互いに暴走することができず、ただ沈黙がすぎる……。


 なにか! 話題!


「そういえば、魚に含まれる|DHA(ドコサヘキサエン酸)っていうのを取れば頭がよくなるらしいぞ、蒼」


「待って? 遠回しに頭悪いって言ってない!? 」


「魚を食べないがためにこうなったのか……」


「もうそれ確実に言ってるよね!? 」


 蒼をいじって精神安定を謀り、その目論見は見事達成される。


 落ち着いてきたところでBクラスの先輩であることが判明した魔法使いに話を聞く。


 Bクラスになることで得られる利点は護衛として国間を移動出来て、大きな都に行く時も税金も納めなくていい。

 また、職業を選ぶことができて、強力な魔物退治の時に組む大パーティで役割がわかりやすい。

 あとは、受けられるクエストが大幅に増加する。


 エントリーシートや履歴書みたいなものかな? あとは学歴。


 ……ほんと学歴で決めつける日本ってどうかと思う。

 まぁかなり頭良いところに行ってるから特に問題はないけど。


 聞いている間に列もなくなったので、元から冷たい紅茶を喉の奥に流し込んで任命されに行く。


 コーヒーはほんと苦いし無理。


 合格書を渡すと、昇進でしょうか? と聞かれる。

 頷いて肯定すると明るい声で


「おめでとうございます。まずは……」


 紫の受付嬢さんに冒険者カードを渡して質問に答えていく。


 職業選択では蒼は弓兵。


 ……弓兵? 銃って弓? アーチャー理論?


 カピュアは変化なしの魔法使い。

 俺は戦士とかの前衛職にしようかと思ったが、思えば剣使うよりも魔法やら罠やら使った方が強かったということで…罠師。


 ……前衛の罠師。


 一柱だけ緊張しなくて良い女神が居たが、なんとかBクラスになることができた。


 カピュア神は何を司るんだろ?


 ……本人に聞く自信満々、満面の笑みで


『イッセイです! 』


 答えそうだなぁ。

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