五十七話 勉強会(強制)
「蒼、Bクラスの受験するぞ」
「えっ? なに急に」
「いや、カピュアに懇願されたらする以外の選択はないだろ」
「ラブラブじゃん! ほんとに何があったの?! 」
「関係ないな。一番の受かるかどうか怪しいのが蒼なんだから、俺が本気で教えるしかないんだ」
本当は俺がカピュアに教わりたいのに……。
教わったことをとても砕いて蒼に説明しないといけない……。
「待って! なんで私も受けることになってるの?! 」
「そんなのカピュアが蒼も一緒に受かりたいって言ったからに決まってるだろ」
ある程度は昨日のうちにカピュアに教わって、軽くリストにまとめてもらっている。
範囲的に小中学校の内容なので復習と魔法関係を教える位だろう。
地理? なにそれ食べられる? それとも可愛いキャラかなにか?
カピュアに借りた参考書 (※小中学生の内容です)を読みながら、嫌がる……ツンデレな蒼に問題を出していく。
「ある劇場の座席は6人がけ、8人がけ、12人がけの3種類の座席があり、全部で42脚あります。6人がけの座席と8人がけの座席の数は等しく、全員座ると404人座れます。
8人がけの座席は何脚ありますか。
xを使わずに過程を書いて解いてください。
っていう問題をとりあえずやってみろ」
内容としては、社会科は1から……ゼロから……ZEROから覚えないといけないから大変だけど、神話とかがほとんどだから覚えやすいと言えば覚えやすいかな。
地理は知らん。
ついでに言えば電気の内容が魔法に置き換わってるようなものだから理科の化学が魔法になってるって考え方かな。
……近代的過ぎない? 魔法が学問って……。
あー。懐かしいなぁ。
方程式のx使わずに方程式の問題解けっていうやつ。正しくはつるかめ算だっけ? 二次方程式とか出ないなんて……。
…全く、小学生は最高だぜ (キラッ)!
そういえば問題で思い出したけど年々年取る事に語尾がキツくなってきてるんだよね。
小学生……なんですか?
中学生……なるか?
高校生……を求めよ
最後に至っては命令になってるよ? それが人にものを頼む態度?
カピュアはなにやら今日は用事があるようで、外出している。
いやぁ、元の宿に戻さなくても良かったのに……。同棲したかったのに……。
私情なんて入っていないが、その怒りも込めて厳しく採点&指導する (私情って知ってる? )。
蒼の途中経過を見ると、
『6いす=8いす
6いす 8いす 12いすで42個
42個=404人
…』
うん。小学生かな? 椅子ぐらい漢字で書こ? 最近の若者特有の漢字書けない系女子? 予測変換ばっかり多用してるから……。
しかも情報を分かりやすくまとめただけで何も進展してないし、…なんてずっと鉛筆トントンしてるからついたあとだし。
「まずは一度に増える人数を求めろ。
六椅子と八椅子が1個ずつある場合、十二椅子が40個になる。
それで計算した場合494人が座れることになる。
次に2個ずつある場合、484人が座れる。
ペア椅子を1増やすごとに10減るのだから、あと8増やせばいい。
六椅子と八椅子で10個ずつ。つまりは八椅子が10個だ。
まぁ、六椅子と八椅子を七椅子として考えてもいいが」
「方程式作ればいいじゃん。わざわざなんで使わずに計算しなきゃいけないの! 」
「そういうルールだ。ルールブレイカーでも持ってないなら従え。
まぁ、この問題の場合屁理屈こねればaを使って求められるとは思うが」
こんなふうに問題を出してそれの解説をするという単純作業をしていると、
「ねぇイッセイぃ? 」
猫なで声の甘ったるい言い方で俺の名を呼ぶ。艶っぽい言い方とも取れるが、カピュアで抗体ができている俺には効かない。
カピュアのかわいさを日常的に浴びていると、そんじょそこらの女子じゃ動じなくなってくるよ。
是非とも陰キャオタクには薦めたい治療薬だね。
……薬の用途用法用量を間違えて尊死しなければの話だけど。
「勉強をやめるとか言うのか? その場合は蒼の大切なものを目の前で一つ一つ破壊していくが? 」
「鬼! フェルのこと好き過ぎでしょ!
そうじゃなくて、実技もあるんでしょ? ちょっと体を動かしたいだけだって」
自身の性格がかなり終わっていることには気づいているが、カピュアのためだ。仕方がない。
「室内の体操だけにしておけ」
「じゃあ、そこでじっとしてて」
おもむろに立ち上がった蒼を怪訝に思い、細胞の一つですら見逃さないように全身に意識を向ける。ほぼ直立不動で間合いを測っているようにみえる。
微かに足が動いた。その事実で胴を後ろに仰け反って下からくるであろう蹴りを回避。ついでに手の甲での裏拳を試す。
足の骨の部分に当たり、俺の手は痛む。
足の骨の部分に当たり、蒼は横に体勢を崩す。
「ちょっ、危な! なにするの」
危な!と言った時こそは焦りがみえたが、なにするのの部分では落ち着いていて責めているような雰囲気だ。
「当たり前のように夏塩を決めるな。そして勉強に戻れ」
正しくはSomer saultらしい。意味は宙返り、とんぼがえり。
「なんかこっちに来てから体が軽いから……。それにギリギリ当たらないようにちゃんとしてたのに」
♮に勉強についての話題を無視する蒼に呆れながら、今度は魔法の勉強を強制……すす…言い方が分からないので強制を突き通す。
「ほら座れ。魔法は俺も専門外だから分からなかったらカピュアに聞くんだな。基礎知識を教える程度なら俺でもできるからそこは安心しろ」
肩を下に押し付けて座学をさせる。ついでに右手で準備をする。
「まずは基礎属性魔法についてだな。基本的に魔法は複合だ。だがその基礎となる属性は火・風・水・土・電・空間・時間・無・光・闇の10属性だ。この全てをうまく混ぜることで今ある属性を完全に作れる。
例えばだが、氷と光を混ぜて氷光にすれば――」
俺は上手く詠唱以外をトリガーとして 『冷たい光』を発動させる。
「いや、冷たっ! なにこれ! この光に当たってるところがめっちゃ冷たいんだけど! 」
魔法っていうのはトリガーを頭の中でするか行動を起こすかっていう2択に絞られるみたいで、実際に大きくまとめるとなにか発動するきっかけさえつくれば発動できるみたいだよ……。
昨日カピュアに教えてもらった。ついでに氷魔法は一応火属性に分類するらしい。火を熱と捉えて、拡大解釈で……。
つまりは指揮をするような手の振りで魔法を操れるみたいだね。
……だから指揮棒みたいな魔法の杖で指揮するだけで動く描写があるのか……。
まぁ、口で言うのが一番楽で発生妨害されにくいからみんな詠唱してるんだけどね。
「要はこんなところだ。これが氷と光を混ぜた属性だな。あとは火を極めると炎と言ったふうに属性が進化することもあるな」
そういや、空間を進化させると次元になるらしい……。一次元下げて二次元に行くって可能かのかな? オタクの生息地に変化が起きるけど……。パソコン前からパソコン内に……。
「それよりも肌寒いまま終わらされたんだけど! 」
蒼に勉強のことを無視された腹いせで、少し前にやめた氷光の代わりに火魔法で室内温度を軽く上げて蒼の発言を無視する。
……無視ってなんだっけ?
「魔法は属性を作ったあとは色々なオプションを追加して最後に発動のキーを追加することで魔法が現れるといった仕組みだ。
まぁ、数式みたいなものだと思えばいいな。
+-×÷()とかを使ってもとの数字に追加して最後に=で答えを出す。そんなところだ」
「待って?! 例えがものすごく理系なんだけど! 」
「これが一番覚えやすいだろ。擬人化法もあるが……」
「この擬人化は意味わかんない! 」
だって+-×÷()をキャラとして考えれば……。
+は陽キャなプミラちゃん。人と人を合わせて仲良くさせる子。
-は陰キャのマルスくん。ネットでリア充を叩いて別れさせる子。
×は教師のカレルニ先生。それぞれの個性を引き出してかけあわせてくれる。
÷はヤンキーのワルワル。萎縮させて個々のパフォーマンスクオリティを低下させる。
()は双子のフミレちゃんとカミレちゃん。2人が挟んだ子はとても仲良くなる。
xはヒロインx。謎に包まれててよく分からない子。多分カピュアか騎士王。
ワルワルだけテキトーだなぁ。でもこれ以上のいい擬人化が思いつかないなぁ。
これだと係数や累乗、-を足すとかが説明できないし、因数分解とか展開とかもかなり無理だし……。
改良の余地あり (諦め)!
俺の苦悩 (勝手な擬人化)もありながら、蒼にひたすら勉強を教えた。




