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この世の朝は未だ遠く 〜Zwischen Traum und Erwachen〜  作者: レンリ
一章 三千大異世界

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五十五話 真のデート

 カピュアと成り行きで付き合って数日が経った。


 本当にアレで付き合えたのが謎だよ。

 本来の俺なら

「いやいやいやいやいや、俺がカピュアと付き合うなんて滅相もない。そんな烏滸がましいこと出来るわけないだろ。同じパーティに入るだけでも無礼で釣り合ってないってのに。」

 とか答えるはずだから……。


 ……自分からチャンスを棒に振る大馬鹿である。


 そして、今はデートに来ている。もちろんお互いの合意と承認による正真正銘のデートだ。


 ……都市伝説じゃなかったんだね。


 都市伝説かどうかはさておき、いまものすごく発狂したい。何故ならば……カピュアがバッサリと髪を切ってショートになっているからだ。


 ん? 気のせいかな。


 俺は目をこすってもう一度カピュアを見る。


 何故かカピュアの周りにキラキラが見える。


 カピュアすぎてキラキラが出てきたの? それとも俺の幻覚?


 とりあえずはキラキラ邪魔! キラキラのせいでカピュアの顔が見えない!


 でもショートのカピュア可愛い!


「お、おおい。どうしたんだ? 失恋でもしたのか? 」


「付き合いたてなのに、縁起でもないことを言わないでください。

 これはアオイさんにイッセイはショートの方が好きと聞いていたので……。似合ってますか? 」


「似合ってる。ショートがカピュアのために生まれてきた髪型かって言うぐらい似合ってる。もちろんロングもゆるいカールもポニーテールもツインテールも可愛かったが」


 付き合ってからというもの、心に思っていた事を素直に口に出すようになった。


 まぁ、キモがられる心配が少なくなったからね。うん。

 ツインテールには苦い思い出も含まれてるけど……。


「そ、そうですか? ありがとうございます。髪を切ったかいがありました」


 しかも俺のオタク褒めに対してこの反応だよ? 褒めるしかないよね。うん。


「カピュアはもうちょっと自分に自信を持っていいと思うが」


「イッセイがそう言うなら……頑張ります」


 俺の言うことをなんでも聞く従順なところがまた可愛い。


 従順可愛いと命名しよう。


 そうこうしているうちに、劇場に到着する。


 なぜ劇場なのか。それはカピュアが闘技系は可哀想って言ったから。


 ねぇ? 可愛すぎない? 優しい心まで持ってるときたよ?

 純情可愛いと命名しよう。


 入場料を払って入り、劇が始まるまで座って待つ。

 劇場は現実世界で言うところのピアノの発表会で使われるような作りだ。


「楽しみですね」


「あぁ、楽しみだ」


 カピュアがどんな風に喜怒哀楽を表現するのかが。


 ガヤガヤと騒いでいた天井の照明が静かになり始め、それにつられて周りもヒソヒソと言った微かな話し声に変化していく。


 事前に伝えられていた情報によると、対立する2つの家の息子と娘による恋愛悲劇らしい。しかも2人は一目惚れ……。


 ……ロミジュリ?

 ロミオとジュリエットなら小説で読んだことあるよ?

 ラノベしか読まないと思ったら大間違いだよ?


 辺りが静まり返り、夜が来たかのように思える空間で、ステージだけに昼が訪れる。


 どうやら、舞踏会のような……いや舞踏会だ。ついでに言えば、舞踏会で一目惚れしてる……。


 うん。ロミジュリだね。これなら一生懸命カピュアを観察できる。


 一目惚れの部分ではうんうんと頷いて共感している。

 次の電撃結婚の辺りでは羨望の眼差しで見つめている。


 うん。なるべく早めに結婚しよう。うん。

 結婚式とかもちゃんとあげよう。……着物似合いそうだなぁ。和風の結婚式も有り?


 2人が結ばれてよかったと胸を撫で下ろすカピュアを見守っていると、舞台の昼で噴火が起こる。しかし、噴火と喩えるにはかなり威力が足りない。

 爆発にしても控えめな音と光だ。


 思わず二度……いや、五度見ほどしてしまった。カピュアの顔を眺めていたい一心で……。


 カピュア欲も好奇心を天秤にかけて僅かに傾いた舞台をとる。

 よく見ると俺が使ったような爆発する宝石を使って喧嘩シーンを再現しているようだ。

 宝石の応酬として魔法。その報復として……。


 こんなふうに戦争って起こるんだね。あー怖い怖い。

 ま、もっとよく見てみると攻撃が服を掠める程度に収まっているんですけどね。


 宝石と魔法の飛び交うステージを観ているカピュアを見る。かなり心配そうな表情で固唾を呑んで見ている。


 カピュアが心配するってことは本物の魔法を使ってるのかな?


 ……だって (こんどは)本物の魔法だもん!

 なに? 俺死ぬの? 体が完全に消失するの?


 それか単純に忘れてるor魔力操作が少し苦手になったせいで分からなくなってるぐらいかな。簡単に思いつく理由としては。


 というか、本物の魔法と宝石が飛び交う恋愛悲劇ってなに? 恋愛悲劇とは (哲学)シリーズ?


 一喜一憂しているカピュアを楽しんで (これが本来の楽しみ方だよね?)いると、あっという間に幕が閉じる。


 内容話し合おうって言われたらカピュア可愛いしか言えないよ? 後はどれだけ宝石にお金使ってるんだろうなぁとか。


 次の舞台が始まるまでに劇場から外に出る。


 宿に着くまで案の定内容の話をすることになった。


「最後は悲しかったです。でも、私もイッセイが死んだらしてしまうかも知れません」


「やめて? カピュアだけでも生きていて欲しいんだが。それだけ俺の事を好いてくれてることは嬉しいが……」


 ……ん? いま金髪の人とすれ違ったような?

 この世界における髪色って服装並に個性豊かだから被りとかしにくいんはずだけど……。


 少し離れていたため顔まではよく見えなかったが、胸は控えめ……というよりは男と思えるほどに無だ。

 カピュアの作ったお菓子を渡したいという気持ちから、耳打ちをする。


「カピュア、蒼らしき人を見つけた。いい仲直り方法と本人確認方法があるが試してみるか? 」


 蒼が俺のようなオタクとの関わり方をよく分かっているように、俺も蒼の行動心理や取り扱い方をよく知っているのだ。なんとなくの感覚で……。


 蒼らしき人を追い越しての路地裏の辺りでよく聞こえるように


「いやー、まな板が居たような気がしたが、気のせいだったのか? 」


 と大きな声で言うが、人々の喧騒にかき消されてそこまでの人には届いていないようだ。


 羞恥心? 卓球とオタクのコンボでとっくの昔で家出したよ。

 いつ帰ってくるのかな? できれば擬人化して帰ってきて。カピュアの方がかわいいって言って家出させるから。


「ま、まな板ってなんですか? 」


 今に始まったことではない俺の奇行に、カピュアは引かずに聞いてくれる。


 天使と付き合ってるってま?


 人違いだったときのことがやばいから念の為にこのセリフも付け足しとこ。


「あー、ウォールアオイって言った方がわかりやすいか? 」


 俺の声に寄せられてひとつの足音が、足早に近づいてくる。


 …………。


 …………。


 ………。


 ……ここぉ!


 直感に任せて振り向きながら右手で防御を試みる。


 直感は見事的中し、右腕に鈍器で殴られたような痛みが生まれる。


「俺の直感を舐めるな。」


 せっかくなので決め台詞。


 空いている方の手が動いたのが見えたので、反射的に痛みの残る腕でまたも防御する。


 チラリと見える表情は怒りか恥かで赤く染まっている。その色はさながらすももの様だ。


 もう一撃が見えたので迎え撃ち (痛い)、防御する。


 両手ガードしたし、決め台詞言っても大丈夫かな。隙を生じぬ三段構えでもわかっていれば対処はしやすい……。


「卓球部の反射神経を――ゴブアァ! 」


 お腹に横からの一撃を決められた俺は、膝を折りたたみ、全身を小さくまとめ追撃に備える。


 隙を生じぬ四段構えぇぇぇ。


 もちろんゴブアはふざけて言った効果音だ。


「一成は帰宅部でしょ! 」


 問題そこじゃない。ツッコミとしての職業病?


 殴る蹴るの暴行を加えた容疑で、16歳の少女が逮捕されました。

 とかにならない? 大丈夫?

 なお、「私はツッコんだだけ! 」と容疑を否認しているようです。


 ちなみに空手を幼い頃に習っていたみたいで、俺の防御がここまで早くなったのもツッコミを回避するためだったりする。


 それよりも、腕治ってないのによくもまぁそれで攻撃しようと思うよ。


「蹴りはずるいだろ」


「ダメじゃないですか! 」


 カピュアは……うん。付き合う前なら蒼の胸をいじったことに怒ったのだろう。

 今のカピュアは……ご想像にお任せできる。


「ほら、フェルも怒ってるじゃん」


 そうだよね。蒼は付き合ったこと知らないもんね。


「いや、多分違う――」


「もし、イッセイが怪我したらどうするんですか! 」


「えっ?! できてる? 」


 蒼は豆鉄砲を喰らう。


 ……鳩を虐めないであげてよ。


「経緯の説明はとても面倒だが、なんやかんやでこうなった」


 面倒なので説明は省く。


 ていうか、帰宅部じゃないよ?


「それよりも、俺は帰宅部じゃないんだが? 卓球部と帰宅部を兼部してるんだが? 」


 格好つけて言ったが、実は趣味として中学の仲間と卓球してるだけだ。


「いや、帰宅部に活動なんてないし……」


「確かに卓球部と兼部は嘘だ。見栄を張った。だが、帰宅部に活動はあるんだよな。これが」


「それも嘘! 」


「いや帰宅にもそれぞれ時速(タイム)・安全性・芸術点・技能点があるんだ。みんなインターホン目指して頑張ってるんだ。」


「インターハイみたいに言わない! 」


 もっとツッコミあるよね? インターホン目指すのだと家に入ってないじゃん! とか努力の方向性違う! とかさ。


「タイムは家に帰るまでの時速を、

 安全性はどれだけ交通ルールを守れているかを、

 芸術点は帰る途中の姿勢やパフォーマンスを、

 技能点は3年で追加されるがどれだけ最短ルートを選ぶ事ができるか、

 の4点を評価して総合点で優勝を決める」


「変にそれっぽいのなんなの……」


ネタが着陸気味だ! 繋がなきゃ!


「ついでに言えば、引退すると帰宅できなくなる。テスト期間中も部活動禁止だから帰れないな」


「帰宅部が1番大変だった!? ていうか、そんな無駄なこと考えるくらいなら勉強したらいいのに……」


 もちろんネタだけど、一年以上温めておいたネタだから、使いたかったんだよ。

 帰宅部に入る前から帰宅部ってできるよね?ってなって作ったネタだもん。


 蒼のテンションの低下で着陸……墜落したネタはもう二度と空に飛び立つことはないだろう。


 正直2回目で帰宅部ネタをする勇気はないね。うん。


 「それよりも、その手いいのか? 」


 「治ってないじゃないですか! すぐに回復魔法かけますから、動かないでください」


 カピュアの周りに見える (ずっと見え続けててすごく邪魔)キラキラが蒼の腕に移動していく。

 キラキラに癒された蒼の腕はにょきにょきと手が生える。


 なんか……発芽みたい。


 この日は同棲生活を楽しみたいがために、蒼にはもとの宿に戻ってもらった。


 致し方なし。全てはカピュア様のため……。

2章からシリアスになることは確定として、三人称になるかもしれません。


……まぁ、読むラノベが全部それなんですよね。神視点っていう。

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