四十八話 神の裁き
6月7日からタイトルを
俺以外みんななろうかよ
〜陰キャオタクには重荷の異世界召喚について知りたい〜
に変えます。
今まで通り『ついて知りたい』で調べてもらえると出てきますのでご安心下さい。
……これで増えないとどうしよう……
魔法を可視化させたストーカーは真っ先に蒼の手を狙って光魔法の斬撃を飛ばす。
止めに入って貰おうとチラリとカピュアを見るが、唖然としていて戦えそうにない。
俺はなにもすることが出来ず、斬れ味のよい攻撃がただ手首から切り落とすことを無抵抗で眺めるだけだ。
斬られた本人は、驚きが勝って状況を理解出来ていないようだ。
だが、確実に傷はできているし、血も出ている。痛みを感じるのは時間の問題だろう。
「暴力なんて、本当に最低だよね! 」
「お前、自分でやってる事分かってるのか? 完全なる暴力だぞ。」
「あはは! おかしなことを言ってるね! 僕が直々に手を下すのは粛清なんだよね。つまりこれは粛清だね! 粛清は暴力じゃないんだよね! あっはははっ! あの神が! カピュアちゃんを守るあの神がいないから僕が守らなきゃいけないんだよね! 」
俺はあんまり人を悪く言うことは無いけど、これはさすがに……。理論がめちゃくちゃだし、なによりも世界を自分中心に考えてるよ。世界の中心はカピュアなのにね。
俺からすればそんなに変わっていないが、学園?の頃とはあまりの変わりようなのだろう。カピュアは目を見開いて注視している。
しかし、驚いている割には口があまり動いていない。ということは認めたくないのか。彼の性格があまりにも違っているのか、はたまた友達に対して決闘でもない時に攻撃したことを認めたくないのか。俺には推測すらできない。
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痛い。痛い痛い痛い。
気づいたら斬られてた。血も止まらない。マジでヤバい。
なんで私が。
一成に告白を無理やりさせようとしたから? 私が無理にさせなかったらよかったの?
もっと自由にさせてたら? 私の右手がなくなることも、こんな危険な目にあうこともなかったの?
……一成には怪我して欲しくない。一成もフェルも。私が無理にくっつけようとさせたから。危険な目に。
だけでもいいから、私はいい。一成とフェルを助けて。
『汝、奇跡を信じるか? 奇跡を望むか? 』
なんだか、幻聴まで聞こえてきた? 私、そろそろ死ぬのかな。
『奇跡を望め。さすれば助けるぞ。』
考えなくても、頭を空っぽにしても声が聞こえる。聞いたことがない声。
もうなんでもいい。一成が助かるなら、助けてくれるなら。
目の前が白くなってきた。気絶するみたい。
「よぉ、あおっち。」
聞き慣れているはずなのに、今とても頼りになる声が耳から聞こえる。
いっ……せい…
この姿を一目見ようと――
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俺は男の体を借りて、現世へと降り立つ。
「よぉ、あおっち。
呼ばれて参上、神成様のお通りだ。さぁさぁ、道を空けぇい。」
いやぁ、久しぶりすぎてテンションがおかしいな。
ま、宿主もこんなんだろ。……流石のあいつでも俺の精神量じゃ隅に追いやられるか。
あー。くじょっちの意識が飛びそうだな。出血量的には妥当か。
俺回復魔法苦手なんだよなぁ。カピュたんも動けそうにないし、傷口だけでも塞いでおくか。
とりあえず回復魔法で傷口を癒す。その後、久しぶりな生身の体に慣れるために軽く準備運動。
慣らしている間に天眼を発動させて容姿を確認する。
あー、まぁそこまで侵略はしてないっぽいな。ちょうど薄い茶色に黒メッシュ、灰色の目と黒目のオッドアイみたいになってるし。
てかよ! こいつが全部白選んでおけばコントラストで綺麗に見えたんじゃないのか? うわぁ。やらかした〜。
やっぱ、こいつダメだわ。
「急に黙り込んで変な髪色と動きをして降参だね? 」
「あぁ? 何言ってんだ。俺はこれから戦闘態勢だってのにな。それとも前回完敗したのがトラウマってるのか? 」
「そんなこと言って、ボコボコにしていいんだね。」
「あー、久しぶりに全力で暴れたいからな。回避の権利を切るが、慣れてないこの体だと手加減できるか怪しいぞ? 」
「なに自分の方が強いこと前提で話すなんて傲慢にも程があるね。あぁ、弱いから傲慢になって自分を励まさないと生きていけないんだね。あははっ! そもそも、努力した僕に勝てると思ってる? そんなこと思いながら死んでいくなんて全く可哀想だね。」
「なら、始めるとするか。」
俺は宙から蒼茨剣を引き抜き、構える。
あ、痛い。こいつに呪いかけたの忘れてたな。うーん。痛覚切断の権利でも使っとけば問題ないか。
「『特極・断罪之ひk――』」
「全く。俺がお前に範囲攻撃を撃たせると思ったのか? 」
背後まで回り込み、首元に剣を当てる。
本来ならTの発音を始めた時点でここまで動くつもりだったんだが、なによりもこの体が貧弱だな。
『おい。さっきから黙って聞いていればずいぶんと好き勝手言ってるな。』
「はははっ。君ってこんなに強いんだね。」
俺の背後にはたくさんの弾幕が照準を合わせて用意されている。
「蒼茨剣の弱点に気づいたか。だが、所詮は人間だ。俺ならかき消せる。」
:おい待て。なんか声が交じってたぞ?
『俺のことか? なら気にするな。勝手に人に寄生している自称神の無能さにうちひしがれておくからな。』
:お前もまあまあ好き勝手言うな。
「見えるんだね。ま、死んだ後にあの世で後悔するがいいね。」
:そうそう。なんで前回のこいつとの戦いの時の吸血鬼にツッコミしなかったんだ。吸血鬼じゃないだろ、妖怪だろってな。待ってたんだぜ?
『あの状況でそんな余裕があったと思うか? 察しろ。』
弾幕の多くが俺の放った背後への威圧でかき消される。
残った攻撃は剣に魔力を込めて断ち切る。
「前々から思っていたが、…腕が落ちたな。」
:ここで反語とは今は余裕あるのか。
『まぁ、今は意識だけがあるような感覚だからな。五感を全部神成に持っていかれた感じだな。』
:お前、意識保ててるだけでもかなりヤバいぞ?
「はぁ、そんな煽って楽しいって思うんだね。君はそんな人を傷つけることでしか快楽を得られない可哀想な人間なんだね。」
冷静を気取っているのかもしれないが、明らかに苛立ちが見える。その証拠に慌てたように頭を掻きむしっている。
『語彙力を、捨ててきたのか、神成は (川柳)。どのようにやばいのかを説明しろ。そして、戦闘に集中しろ。』
「いや、少なくとも全世界の人がお前にだけは言われたくない言葉ランキング同率一位だと思うぞ? 」
:そろそろこの二重会話疲れたんだが辞めていいか?
『いいんじゃないか? 別にそれは神成の自由だろ。』
:ならそうするか。
「そうやって人を馬鹿にして、楽しいんだね! 」
「楽しいなんてことは一言も言っていないが? まぁ、本気を出させてもらうとするか。」
ちょっと地形が心配だな。ここが世界で5番目に深い渓谷になるぐらいで済むといいんだが。
『なろう系主人公か、お前は。』
:心を読まれるって厳しいんだな。俺のは誇張表現でもなんでもないから安心してくれ。
『逆にどう安心しろと? 状況が分からないのがものすごく怖いんだが。』
カピュたんの方を見る。俺の登場によりさらに混乱しているようだ。
これなら口封じの必要もないか。
「義務、 『生きること』達成。権利、 『無限即時回復』付与。義務 『即死不可』強制。
義務、 『存在』達成。権利、 『材質可変』付与。」
特殊な詠唱でスメイトに小細工をする。そして、剣を精神ではなく、肉を傷つけられる真剣に変える。
「廃人になるなよ? 」
「そんなによくも自信があるね。こんなになるまで育った環境をみてみたいね。」
「伊達に世界最強と崇められた存在じゃないんでな。」
こいつと話してるといつまでも煽りあいになりそうだな。
:本気出そうと思うんだが、地形ぶっ壊してもいいと思うか?
『辞めて差し上げろ。伊能忠敬が歩いて測った苦労を水泡にするな。』
:この世界じゃほとんど俺が作ったんだが?
『なら壊してもいいんじゃないか? ギルドの人に自分で壊したって謝るならな。』
:まるで窓ガラス割ったぐらいの軽さだな。頑張って軽く書き換える程度に留めておいてやる。
『頑張れ。そしてカピュアに影響を出すな。』
:おっと? 熱愛報道か?
『戦え。』
一成に怒られたので、仕方なく全力で潰しにかかる。
ここままだと周りを巻き込んでしまいそうなので、まずは距離をとって軽く渓谷を創る。
『いや、なに普通に神の御業を成し遂げてんだ。』
斬撃を食らって再生したスメイトを渓谷の底まで叩き落として被害が少なくなるようにする
またつまらぬものを斬ってしまった。
『なにカッコつけてんだ。』
渓谷の入り口を空間魔法で隔絶して
『Q.神成って予想以上に強いのか? 』
:A.控えめに言ってチート。
『Q.某赤髪作者公認チートとどっちが強い? 』
:A.千日手。
俺は全力の連撃を繰り出す。
『Q.1秒間に何回の斬撃? 』
:A.この体だと全力で6億回程。本来の体ならば軽く20億はいける。
いくら刃が鋭いとはいえ、それほどの速さでものを動かすとどうなる?
なんだ知らんのか。空気が圧縮されてとんでもないことになる。
スメイトは斬撃によって体を切り刻まれ、音によって脳が破壊され、衝撃波によって体を壁に叩きつけられる。
『もうやめろ。! ストーカーのライフはほぼゼロだ。』
:大丈夫だ、無限回復する。
『なら良し。
……どっちが悪役か分からなくなってきたんだが。』
:悪役なら 《あーさん》でいいだろ。
『突然の風評被害が蒼を襲う。』
そろそろ地上に戻るか。
尋常ではない速度で地上まで駆け上がり (魅せプ)、スメイトも宅配する。そこら辺に横に寝かせて、宿主に守れと言われた人の近くまで移動する。
カピュたんは理解することを諦めたのか、俺に駆け寄ってくる。
「イッセイ。なんですか、その姿は。」
俺のメッシュ+オッドアイにかなり違和感を感じているようだ。
ここは神成として振る舞うべきか。
「よっ、カピュたん。久しぶりだな。」
「…カピュたん……。」
カピュアは恍惚している。
……こいつらはよ付き合えや。
「俺はあの時の神成だ。一成の体はちょっと借りさせてもらってる。」
「そう…なんですね。」
とてつもなく流されたような気がするんだが?
『カピュアは頭がキレるからな! 神成と絡むだけ無駄だと思ったんだろ。そろそろ体返せよ。勝手に奪っておいて文句言ってたんだからな? カピュアの恍惚している姿が見れないとかなんなんだよ! 自称神ごときがみていいものじゃないだろ! 』
カピュアを溺愛している宿主がうるさく体を求める。
この言い方危ないな。体の主導権……。操縦権か。
「そうそう。一成からの贈り物があるんだが、欲しいか? 」
おい待て! 何するつもりだ。ちょっ!
反抗する一成をよそに、俺はスキルを使って作ったプレゼントを渡す。
ついでにスメイトに付けた義務と権利を全て剥奪しておく。
「えっ、本当にイッセイがこれを私にくれるんですか? 」
「あぁ、そうだ。本人が渡したがってたぞ。黒メッシュが消えたら、また感謝を伝え――」
あ、やべ。ちょっとやりすぎたな。切断され――
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ホントに神は何をしでかしたの? なにを渡したの? わざと考えないようにして俺に伝わらなくしてたし、なにか考えてるうちに忽然と消えたし。ついでに渓谷直して!
自由になった五感全てを使ってカピュアの可愛さを堪能する。その後、渡したものを確認する。
え〜と、ハンカチ? それも薄い紫をベースにした名前入りの。しかも名前はアルファベット。
Capture felt god fleetだとフェルト神艦隊を捕獲するになるが、微妙に綴りが異なっている。
ていうか、なに渡してるんだよ! ハンカチには別れの意味があるんだよ! うーん。打開策。打開策!
「黒い髪が消えてますが、イッセイですか? 」
「あぁ、朝霧一成だ。」
「このハンカチをありがとうございます。」
丁寧に感謝してくれるカピュア可愛い。
「それなんだが、ちょっと工夫させてもらってもいいか? 」
「いいですけど、何するんですか? 」
「ちょっとな。結ぶなら腕と髪どっちがいいか教えてくれ。」
「なら、腕にお願いします。」
カピュアの手から預かったハンカチを名前が見えるように左腕に結ぶ。
緑の髪とも合ってカピュアのかわいさが+7上がった。
カピュア かわいさ9999 うつくしさ9999
これ以上あがらない。
一成と神成 (仮称)が集まるとここまで読みにくい渾沌になるのか…




