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この世の朝は未だ遠く 〜Zwischen Traum und Erwachen〜  作者: レンリ
一章 三千大異世界

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四十七話 一成、絶望の巻

 4日目。


 今日はしっかりと狩りに来ている。蒼は抜きで。


 蒼さん。働いてください。


「今日はどうするんですか? 」


「ちょっと新しい戦法を試したくてな。」


「そうですか。私が守りますから安心して戦ってくださいね。」


 自然と守られることになってることが情けないよ。


 あの小さなサル相手に使えるように、空間魔法を軽く教えて貰い、森へと入っていく。


 前回のようにキィキィと鳴き声が聞こえる。


 ちょっと今回はふざけてる余裕がないし、さっさと布陣を完成させようかな。


 腰にいくつもつけているポーチから極細で強度がある糸を取り出す。


 いやぁ、交換と買い足し (よく迷わなかった)で着々と準備してて良かったよ。


 空間魔法で狙っていたことをして、後は自然とそこに立つ。

 種族名を忘れたサルが俺に向かって飛びかかってくる。しかしそれは見えざる力に防がれて届かない。


 ふっははは! 俺はそういうトラップ仕掛ける方が強いのだ! なのだ!


 見えない糸に引っかかったサルは驚きもがくが、それすらも計算通り。伸ばした手足にも糸が引っかかりとうとう身動きが取れなくなっていく。


 魔法で助けられる前に倒さないとだね。


 戦闘用便利ポーチの1つから爆発(ぎょく)を取り出して魔力を込める。


 なんか、俺は大剣使わない方が強いような気がするね。


 下投げでサル達の中心に宝石を投げて、小石の散弾を投げて爆発させる。


 爆発に呑まれたサルは抵抗虚しく体力が全損する。


 やっぱり大剣使わない方が強いよね……。

 最近レベルアップしてても大剣の重みが変わってないし……。ん? 大剣が重くなってる?


 疑問に思うこともあったがこの方法で数回一網打尽にする。


 この効率化を見つけたかもしれないよ。

 糸張るときに宝石に魔力を込め始めて、投げた時にはもう片方の手で小石を掴んでおく。そして、投げたらそれを追うように投げる。

 これが1番効率がいいかもしれないね。


 残りの魔力を確認してみる。


 数回だし、俺の保有魔力量も多いし、2/3は残ってるかな。


 しかし、残っているのは1/8もない。


 8分の1だから赤いゲージかな (某モンスター同士を非情にも命令して闘わせるあまりにも残虐なゲーム)。

 ……この量だと、普通に150もないんだけど? 宝石ってそんなに魔力吸うの? 空間魔法使うとはいえ、初級だよ?


「なんか、魔力がかなり少なくなっているんだが、なんでか分かるか? 」


「き、きっと回復しなかったんですよ。」


 急に聞かれたカピュアは驚いたのか動揺して答える。


 回復しきらないとかあるんだね。RPGゲームみたいに自然と全快するのかなと思ってたよ。


「なら残しておきたいし、今日はもう帰るか。」


「そうしましょう。」


 4日目だよね。後3日で告白しなきゃだから……。

 ……伝われこの想い!


「その前に1ついいか? カピュア、I love you(イロヴェヨウ)


「えっ? イロヴェ……なんですか? 」


 やっぱり伝わらない……よね。


 俺は一人、脳内で膝から崩れ落ちた。




 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


「一成、最近ストレス溜まってない? 」


「いつも思うが、なんでこんなに唐突なんだ。それに、ストレス溜まったことがないから安心しろ。特にいじめを乗り越えてからはな。」


「逆にストレス溜まらない?! 」


「全くだな。それでメンタルが鍛え抜かれたからな。」


「じゃあ心理テストする? 」


「ストレスのか? 別にいいが、心理テスト覚えすぎだろ。」


「ならさっそく。あなたは、猫カフェに行きました。猫カフェに入って、すぐにそばに来た猫がいました。どんな猫?

 A黒猫

 B白猫

 C茶トラ猫

 D三毛猫」


「三毛猫一択だな。」


「なんでストレス0!? 急にこんなところに移動させられてストレス溜まらない方がおかしいって! 」


「いや、普通に異世界ライフ満喫してるんだが。」


「それに一成はゲームとかよくしてるのにストレス溜まらないの? 」


「いや、ストレス溜めるためにゲームするやつがいるか? 少なくとも俺はマゾヒストじゃないんだが。それとも俺がゲーム依存だって言いたいのか? 」


 Mじゃないよ? 赤帽子のオーバーオールでも、靴のサイズがハンバーガー4つ分の人?でもないよ?


「いや、そうじゃなくて! ゲームしてたら煽ってくる人とかいるじゃん。ストレス溜まらないの? 」


「あー。死体撃ちされたら 『そうかそうかつまり君はそういう奴だったんだな』って思って受け流してるな。」


「ここでもネタにした! 」


「あと、相手を吹っ飛ばして撃墜するゲームあるだろ。」


「なんでそんな言い方?! 」


「一応念の為に、な。」


「なんの念の為?! 」


「で、そんな時は煽ってきた場合は復活した直後に高速屈伸で煽り返す。もちろん自分が復活したときだけだがな。」


「頭おかしい! 」


「俺に常識を求めるな。俺はネタを追求せし放浪の旅人だからな。」


「急な中二病?! 」


「まぁ、あの大根の夢には適わないが……。」


「確かにやばかったけど、一成も大概だって! 」


 そうこうしているうちにカピュアが戻ってくる。正確にはお風呂から上がってくる。


 温まり、ほのかに紅潮した肌はとてつもなく綺麗だ。


「あの……。2人に相談があるんですけど……。」


 カピュアが俯いてごにょごにょと言う。


「俺が力になれるなら相談に乗るが。」


 軽く蒼に視線を向けると心()しか目を輝かせているような、口角が少しばかり上がっているような……。

 要は嬉しそうに見える。


「相談って? 」


「……実は、その……私……。好きな人がいるんです……。」


 恥ずかしい気持ちを誤魔化すためか、徐々に声が小さく早くなる。


 カピュアに好きな人がいた……のか……。


「まぁ、恋に恋するお年頃だもんな。」


 俺は絶望を紛らわすために、誰にでも言えるセリフを吐く。声は震えていたかもしれない。


「恋に恋なんてしませんよ。」


「なんでなんだ? 」


「それはもちろん……恋じゃなくてイッセイの……。って、誘導尋問しないでください! 」


 ねぇ! 俺の何?!


 結局聞けずのわからずじまいになってしまった。


 好きな人の特徴を蒼が聞いていたが、カピュアに好きな人がいるという事実を認めたくない俺の中の一部が、完全に聞き流した。




 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


 今日は()()()蒼も狩りに参加している。そう()()()


 もうカピュアと結ばれる可能性が限りなくゼロに近いから絶望しかないよ。

 a÷x (x(ニアリーイコール)0)ってことはほぼ(無限)


 ……はぁぁ。ダメだ。いくらふざけても心が曇った状態から変わらない。


 ここはもう素直に応援するしかないかな。うん (しょぼん)。


 今日は大剣を使って流れ作業で魔物をしばいていきます。割れ物注意です (???)。


 そうこうしながら小一時間ほど時間が経ったと思える時、どこかで聞いたことのある声が聞こえる。


「やぁ、カピュアちゃん、前は少し酷いことを言ったね。ごめんね。」


 声の発生源を見てみると、頭にぼんやりとした引っかかりが生まれる。


 え〜と、誰だっけ?

 あと少しで出てきそうなんだけど。

 TOT現象が起きてる。ティオってる。


「でも、僕は悪くないよね。あのカピュアちゃんは少し変だったよね。どう変かって聞かれるとうまく答えられないけど、強いて言うならまるで何かに操られているような感じだったよね。でも完全な洗脳じゃないよね、あれは。」


 対話を試みるのではなく一人永遠と話すような、そんな協調性のなさが思える。


 うーん。このネ!ネ!うるさい感じ。


「だから、僕は考えたよね。カピュアちゃんに何があったのかってことをね。洗脳じゃないよね? でもなにか操られているような感じだよね。」


 あー! 思い出した! 神 (自称)にボコられてたストーカーだ! ブーメラン発言ばっかりする人だ!


「てことはやっぱり暴力で抑えつけてるよね。だから今度はあの神を気取ってる傲慢な人に負けないように、特訓してきたんだよね。

 だからもう安心だね、カピュアちゃん。強くなった僕に勝てる人なんているわけないからね。」


 おかしいよ。この人は傲慢で有名だったはずだよ?

 いや、おかしくないね。だって特訓しただけで最強だと思い込んでるし。


「ほんっと、暴力はダメだよね。だからそんな人は僕が直々に粛清してあげないとね。」


 スメイト(ストーカー)は魔力を可視化かせて威圧する。


 あまりにも早いブーメラン回収すぎるって。

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