三十九話 39なのにツインテールじゃないんだ…
前書き、後書き、()、タイトルは作者が自由に書けるところだと思っている。
反省はしていない。
何故かかくれんぼをすることになった次の日、俺はカピュアと草原に来ていた。
蒼? あの人ならお金が有り余ってるからって買い物に出かけたよ。
……後で説教しよう。小金貨が山になってただけだからそんなに増えてはないのにね。
多分白金貨は在庫がなかったのかな。ここってどうしても初期の街っぽいし。物価も安いし。でもまぁ、賞金用の白金貨くらいは用意しておいて欲しかったけど。
話を戻すと、カピュアがいつもとは違っていて動きやすい格好をしている。
「今日は動きやすそうな格好だな。」
「私も接近戦で戦えるようにしたいと思ったんです。なので、体を動かして少しでも慣れておこうかと。」
「そうか。ちょっと待ってくれ。」
俺は少し小細工を施した短剣を交換してカピュアに渡す。もちろん鞘も、帯剣道具も一緒にして。
一瞬の出来事だった。
ふっ! 最近の暇な時間で交換スキルのことを研究していたのだ!
このスキルは最大5つまでストックできて、交換の材料を多くすればするほど早くダウンロードができる。
まぁ、このせいで魔力が1500程持ってかれたんですけどね。
ちなみに、五個のストックを超えてダウンロードすると、使っていないやつから順に消えていく。あとは日を跨いでも消える。
「えっ? これはなんですか? 」
「短剣だが。」
「貰ってもいいんですか? こんな式が織り込まれている短剣なんてかなりの値が張りますよ? 」
カピュアは小細工の中身を見抜いたようで、かなり不安げに聞いてくる。
「俺のスキルで作ったから安心してくれ。それに、これを売るとかはあの自称 【神】が許してくれそうにないしな。」
実質なんでも作れるスキルだけどさ、これの代償……つまりデメリットが分かってないのが怖いんだよね。
気づいたら寿命が無くなってたとか可能性あるんだよね。カピュアのためなら死ねるけど。
「ならありがたく使いますね。お返しといってはなんですが、ちょっと魔法をかけますね。」
カピュアは魔力吸収の体勢でなにかしている。俺は像と化す。
少ししてカピュアが離れる。
「これでおあいこです。」
「なら、魔法練習を始めるたいな。今日は空間の練習でいけるか? 」
「はい。空間の基礎魔法は 『座標指定』と 『座標認識』です。まずは指定から練習しましょう。」
いつも通り練習を始める。
座標指定は空間の一点に印をつけるようなものだ。
一通り練習が終わったあとは、カピュアの運動だ。
「次は私の練習ですね。」
「それより髪を結んだりしないで大丈夫か? 動きにくそうだが。」
「それもそうですね。イッセイ、リボンや結び糸を持って……いるわけありませんよね。」
カピュアは俺に髪を結ぶ道具を求める。
俺はポケットに入れた便利袋を取り出す。
しかし、無を掴むだけで欲しいものは出てこない。
あ、この世界に来た時に無くなってるんだった。
せっかくの便利道具セットがなくなったじゃん!
筆箱と便利袋のセットが便利道具セットとして持ち歩いてたのに。
筆箱には細長い紙を丸めて巻物にしたもの、のり、ハサミ、糸切りばさみが、
便利袋には絆創膏、タコ糸、輪ゴムが入ってたのに!
あの神許さん。
カピュアは空間を歪ませて自室らしき所から紐を取り出す。
空間魔法便利だなぁ。
取り出した白い紐を口に咥えて一生懸命髪をまとめている。
こ、これが咥え髪留め! 可愛い。健気で頑張ってるところがかわいすぎる!
ポニーテールに結んでいるため、首筋……特にうなじが見え隠れしていて、新鮮さとかわいさが交わって破壊力がとてつもないことになっている。
俺は手の甲で口元を擦るフリをして、口がにやけることを精一杯隠す。
人が一生懸命髪を結んでるところをにやけながら眺める人なんて最低だと思われるからね。
ポニテを結び終えたカピュアはこちらを向いて首を傾げる。
「どうですか? 変じゃないですか? 」
死ぬほど可愛いって言いたい! 褒めたい! うなじ綺麗! その髪を結んでる紐になりたい! 二通りの意味で!
これが二次元で嫌われたりしないなら褒めちぎっては投げ、ちぎって投げるよ?
「そんなことないな。似合ってるな。」
できる限り違和感のない言葉を選んで褒める。
「え、あ、ありがとうございます。」
カピュアははにかんだ笑みを浮かべる。
あの。美人は三日で飽きるって嘘だって。かわいすぎて現在進行形で死にそうだもん。もうこれ、美人を見る度に麻薬で興奮するのと同じ効果があるし (本当です)。
いい振る舞いはリラックス効果もあるらしい。
それよりも安全に気をつけて短剣の扱いを教えないと!
「まずは帯剣してみてくれ。自分で取りやすい位置とかもあるだろうしな。」
カピュアは腰に帯剣して、位置を調節している。
本来ならカピュアは背中とか心臓とかを守るようにするのがいいんだけど、細かいことを言っても混乱するといけないし、やめとこうかな。
「言い忘れていたが、短剣は基本的に逆手持ちで握るようにしてくれ。」
帯刀のように左の腰につけていたカピュアを見て、訂正をする。
それを聞いて右側に柄がくるように回して、背中側まで移動させた。
「これでいいですか? 」
「違和感があればまた変えればいいからな? 次に短剣の使い方だが、これは単純に威嚇や防御として使った方がいいと思うぞ。攻撃を捌いてから魔法で反撃の方が威力も上だろうしな。」
「そうですね。確かにその方が強そうですね。」
この戦闘スタイルだと、カピュアのかわいらしい腕で敵の攻撃を受け止めないといけなくなるなぁ。よし、捌く練習もしようかな。
「なら早速防ぐ練習だな。攻撃は素直に受けるより弾くイメージか、横にズラすイメージで防いでくれ。」
カピュアはコクコクと頷く。
「早速行くぞ。」
俺は大剣に交換する前の宝石で、攻撃を始める。
もちろん、カピュアが相手しやすいように右手で持って。
なんでこんなに詳しいのかって?
それはもちろん中二病時代の産物だよ?
短剣は基本的に片手にひとつずつ持つからどっちでもいけるんだよね。
速さを加減しているとはいえ、防ぐことは出来ている。防がれる度に金属音が鳴り響く。
動きに注目してみると、カピュアは攻撃を防ぐときに見てからそこに向かって短剣を移動させている。
「攻撃は点じゃなくて線で捉えるんだ。軌道を予測して、来るであろう場所で弾くんだ。」
この攻撃の予測がなんでできるのかって?
それは卓球部だもん。卓球なんてボールの軌道を読まないと間に合わないからね。ついでに反射神経も鍛えられたよ。
俺の助言で少し動きが良くなった。正確に言えば、手首のスナップを使って動かすようになった。
なんで手首を使えるようになってるの? 天性のカン?
これ、逆手持ちにさせない方が良かったかな。でも、逆手持ちって自傷しににくなるし……。
「かなり動きが良くなってきたが、まだ正面からぶつかってるな。横から力を加えてズラすか弾くかするんだ。」
しかし、今度は俺がアドバイスしても動きが良くならない。それどころか動きが鈍く、キレがなくなってきている。
1、2分動いただけだよ?
そんな体力のない女子らしさ満開のカピュアも可愛すぎるけど。
「ちょっと休憩するか? 」
攻撃の手を止めて、カピュアに聞く。
「ごめんなさい。」
「別に大丈夫だ。謝らなくてもいいんだが。」
カピュアは肩で息をしている。
「私、体力がなくて足を引っ張ってばかりだったんです。なので体力をつけようかなと思ったんですけど、そんなに上手くいきませんでしたね。」
カピュアは続けて言う。
「私が休んでる間に空間魔法の練習をしましょうか。」
そう言って、例の体勢に移行する。
カピュアは何かに気付いて声を上げる。
「どうしたんですか! 魔力がほとんど残ってないじゃないですか。どこでこんなに使ったんですか? ! 」
「それは……まぁ……うん。その短剣と帯剣道具で……。」
俺はなるべく聞こえないようにするために小声で呟く。
これで聞こえてなくても言ったって言い訳できる! 好感度下がるからそんなことしないけど。でも言いたくないのは事実だから!
「イッセイ。今日はもう帰りましょう。そして、夜に私の部屋に来てください。」
いや、脈絡どこ行った?
思わずそう思ったけど、よく良く考えれば説教コースだねこれ。
「はい。従います。」
丁寧語で返事をしてその日は帰ることになった。




