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この世の朝は未だ遠く 〜Zwischen Traum und Erwachen〜  作者: レンリ
一章 三千大異世界

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三十八話 かくれんぼ

挿絵完成しない。やばいかもしれない。まぁ、土日を一個投稿にすればいけるかな。

 さて。蒼が鬼になったけど、どこに隠れよう。


 ……鬼になるってなんか、水色髪が出てくるんだけど。


 ともかくどこに隠れよう。


「イッセイ。あまり時間がありませんよ! 」


 そう言ってカピュアは自室まで手を引いていく。


 ・・・。女子の部屋とか無理無理無理無理無理。


 いや、でも、冷静になって考えてみたら俺の部屋と変わらない?

 だって仮部屋なわけだし、そんな私物とか、壁紙とか、ベッドとか違うわけじゃないだろうし。


 カピュアに引っ張られるがまま部屋に向かう。部屋の中が視界に入った途端、言葉を失う。


 え? 何この部屋?

 なんでピンクの丸型カーペットが敷いてあるの?

 なんでベッドがこんなに白くて綺麗なの? 俺のはまんま木だよ?

 ここでカレーうどん食べたら大変なことになりそう。


 白を基調として置かれた家具の所々に桃色が交じっていて女子らしさを感じる。

 壁紙もどうやって変えたのか、かなり薄い桃色に変わっている。

 そして何より、机やベッドの上にはクマやネコなどのキャラクターをもとにしたぬいぐるみが置かれてある。そのなかにメカワモフらしき魔物もある。


「散らかってるのであまり見ないでください。」


 ならなんでこの部屋に入れたの?


「俺は別に他の所でも良かったんだが。」


「イッセイの部屋になんて隠れる場所がないじゃないですか。私の部屋はものがたくさんあるので隠れやすいかなと思ったんです。」


 なんで俺の部屋に隠れること前提?


 蒼が扉の向こうから歩き回っている音が聞こえる。


「早く隠れないと見つかりますよ。」


 カピュアも聞こえたのか、急いで隠れるように促してくる。


「とは言ってもな。隠れる場所が分からないんだが。」


 隠れた先になにかやばいものがあったりしたらどうするの?

 例えば秘密の日記とか、好きな人に送る予定の手紙とか、なにかのグッズとか。


 俺がまごまごとしていると、見かねたカピュアがクローゼットの中から手を掴んでくる。


「ならここに隠れましょう。」


 クローゼットに引き込まれた後は、カピュアが魔法を使ってしっかりと閉める。


 少しして暗闇に目が慣れてきた今は、隙間から差し込む光だけが、今は視覚の頼りになる。


 待って? ここは天国かなにか?

 狭い空間にカピュアの甘い匂いで満たされてるし。

 心がじょうかされるぅぅ。


 その代わりにカピュアとの距離が今までにないほど近くになり、首筋に柔らかい風がかかる。

 心臓が張り裂けそうな程に大きく鼓動を打っている。


 そんな状態で、つい身動ぎ(みじろぎ)をしてしまう。

 肘が壁にぶつかり、コンと音を立てる。


「アオイさんに見つかったらどうするんですか。」


 触れると握るの中間のような力で優しく引き寄せられる。

 心臓がより大きく、より小刻みに鼓動する。


 カピュアに注意されたことを意識して、なるべく体を縮めて待機する。


 そろそろカピュアに聞こえたりしそうで怖いんだけど。


 なるべく息を潜めて耳をすましてみると、心臓の音がかなり響いている。


 こんなに響いててカピュアにバレてないのかな。


「ごめんなさい。ふたつのことで緊張して心臓がドクドク言ってるんです。」


 カピュアが小さく謝る。


 二つのこと? 二つのこと? ! 二つのこと! ?

 それってどういうこと?

 一つは蒼に見つかるかもしれないという緊張でしょ?

 二つ目はなに?

 確か、心臓がドキドキするのは自律神経が乱れてる時だし、疲労や心身のストレス……。俺といるのがストレス? !


「俺もかなりバクバクしてるんだ。安心してくれ。」


 小声でカピュアを励ます。


 ん? なんでこんなこと言ったの? カピュアのおかげで冷静さが消し飛んだ?


「ありがとうございます。」


 僅かに差し込んだ光で、カピュアの顔が赤く染まっているのが分かる。その顔で微笑んでいる。


 うぎゃぁぁぁぁああああ。可愛すぎる!


 1日目 神は天と地をつくられた(つまり、宇宙と地球を最初に創造した)。暗闇がある中、神は光をつくり、昼と夜ができられた。


 2日目 神は空(天)をつくられた。


 3日目 神は大地を作り、海が生まれ、地に植物をはえさせられた。


 4日目 神は太陽と月と星をつくられた。


 5日目 神は魚と鳥をつくられた。


 6日目 神は獣と家畜をつくり、神に似せた人をつくられた。


 7日目 神はお休みになった。


 8日目 神はカピュアを作った。


 ってレベルで可愛いって!

 むしろ

 0日目 カピュアは神をつくられた。

 でも信じるよ?


 カピュアが全ての産みの親なんて……。マザコン直通コース……。マザコンであることに誇りを持てる世界……。


 どうしても顔が赤いのが気になるんだけど!


「顔が赤いがどうかしたのか? 」


「え? 赤いですか? ……そ、その、ちょっと暑いですよね。暑季(しょき)なだけはありますね。」


 しょき? 文の流れ的に夏みたいなもの?


 確かに()()()()()でこんなに狭い空間に居たら暑くなるよね。うん。


 永劫にも思える程長い時間が経過する。

 しかし、いつまで経っても蒼が探しに来ない。


 そろそろ場がきつくなってきたんだけど。

 俺の心臓が持ちそうにないんだけど。ずっと鳴りっぱなしだよ? そろそろ死ぬの?


 緊張しているせいか、時間の感覚が全くなくなっている。

 数時間経過したのか、それとも数十分の出来事なのか、判断がつかない。


「イッセイ、このまま見つけられなかったらどうしますか? 二人きりで死ぬんですか。」


 カピュアが不安げに聞いてくる。


 あの、その時はここから出ればいいからね?

 別に閉じ込められてるわけじゃないからね?


 かなり緊張しているが、なんとかここまでの思考力は残っているようで、しっかりと心の中でツッコミを入れる。


「その時は蒼を監禁罪で訴えれば勝てるぞ。」


「それは……できればしない方向でお願いします。」


 カピュアは俺の提案をやんわりと断る。


 ていうか、ずっと気になってたんだけど、この距離でずっと小声で会話してると、耳元で囁かれているみたいになって一言ごとに緊張が高まるんだけど。


 ……なんだろう。この密着状態を無理やり入れてラブコメ要素を追加するためにかくれんぼをしたような感じがする。


 しばらくカピュアの顔を赤くなった顔を眺めて緊張しつつも癒されていると勢いよく扉が開けられる。


 驚いてつい両手で顔を覆う。

 その時に左肘が、なにか柔らかいものに当たる。

 ……

 瞬時に理解した俺はクローゼットから急いで出て、片膝をつく。そして、そこを支点にして回転運動を行う。最後に正座の形に整えて、頭を下げてつくばる。


「申し訳ごさいません! 」


 俺の謝罪に、カピュアの困ったような声が聞こえる。


「そんな。顔をあげてください。元はと言えば私がクローゼットに引き込んだんですから。」


 カピュアの声でふと我に返った俺は、この状況のカオスさを理解する。


 あー。やばい。混乱してて素が出たねこれ。

 いつもは親しい男子同士の間柄じゃないとしないけど、カピュアとの二人きり状態でかなり慌ててたね。


 えーと? 状況を整理すると?

 美少女がクローゼットの中に居て、それに対して土下座している高校男子。その二人を見ている壁条(かべじょう)さん……。


 なんというおかしな状況なの? ここ、なんていう地獄?


 とりあえず立ち上がって何度も謝った後に、蒼に文句を言う。


「なんでこんなに時間かかってるんだ。監禁罪で訴えるぞ。」


「監禁罪って、閉じ込めてないじゃん! 」


 いや、監禁罪って特定の場所に留めていると適応されるんだよ? かくれんぼで鬼が帰ったら監禁罪。


 蒼は続けて言う。


「それに、時間がかかったって言っても5分も経ってないよ? 」


「えふぃな? 数十分ぐらい経ってないのか? 」


 母国……母星語が出てしまうが、気にせず質問をする。


「探し始めてそんなに経ってないもん。リビング探してから直ぐに来たもん。」


 ? どういうこと?


 俺は意見の賛同を求めるべくカピュアに視線を向ける。

 カピュアは申し訳なさそうに顔を下に向けた。


 ???


 カピュアはゆっくりと重い口を開ける。


「ご、ごめんなさい。そそ、その、見つかりたくなくて、時魔法を使ってました。」


 頭を下げて謝罪する。その体勢のまま続けて言う。


「た、単純に怖かったんです。な、なので時間を引き延ばせば少しは恐怖が和らぐかと思ったんです。」


 時魔法を使っても見つかるまでの時間は変わらないよ? 鬼の時をいじって遅くしたり止めたりしない限り。

 まぁ、そんなカピュアも可愛いから許す!


「ちなみにその魔力はどこから出したんだ? 」


「少しずつイッセイから吸収していました。ごめんなさい。」


 これ以上下がらないようになるまで頭を下げ続けるカピュアを、そろそろ止めに入る。


「そんなに謝らなくたって大丈夫だ。」


 なんか、客観的にみたら謝り続けるのって逆に気を使うね。


 その後カピュアが鬼となった時は、階段の柱で足音から居場所を推測して柱戦法を仕掛けて、結果的に10分程潰した。


 柱戦法とは、基本的には三人称視点(TPS)のゲームでできる柱にキャラを寄せて、敵からは見えない、自分は三人称だから相手が見えている。の状況を作り出して生き残る術である (一成考案)。


 この方法だと、ある程度離れているプレイヤーには有効だが、近くまで来られると相手も三人称の為、バレることが多い。

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