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この世の朝は未だ遠く 〜Zwischen Traum und Erwachen〜  作者: レンリ
一章 三千大異世界

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三十六話 エターナル、フォース、ブリザード

「魂に刻め! 永久なる(エターナル)氷結の(フォース)運命(ブリザード)


 魔力(ちから)が一帯に(ひろ)がり、気温を一気に下げる。

 植物には霜が降り、大ザルも凍りつき、一面真っ白な景色になる。カピュアの周りを除いて。


 ふぅ。上手くいって良かった。


 凍りついた大ザルの方を足をみると、裂傷が出来ている。


 これだけで体力全損とかさせられないかな。……流石に無理かな。

 これなら、蒼とのコンボで倒せそうかな。


 液体窒素に漬けたバラみたいに、ボロボロって砕けそうだし。


「よし。カピュア、俺を宙に浮かせられるか? 」


 いつも空気に溶け込んでるから、自力で浮くのってどうしても苦手なんだよね。


「風……いえ、無属性でいけますね。自由自在に飛べるような方がいいですか? 」


「できればそれがいいが、無理ならいいぞ? 」


「意識を繋いだ状態で動かしますね。それなら思った通りに動けますよ。」


 蒼は氷の大魔法に巻き込まれなかったのか、破裂するような大きな音が鳴り響く。


「蒼も行動を開始したか。なら、そろそろ浮きたいな。」


「じゃあ始めますね。」


 カピュアは手を離し、俺に向かって両手をかざす。


 うぅ。もっとあの柔らかい手の感触を楽しみたかった。


「気をつけてくださいね。」


 そういって体が浮き出す。試しに少し上に移動しようと思うと、その通りに動く。


 蒼の射撃の邪魔にならないように、音の場所から大ザルを挟んで移動する。


 なんか、ふわふわ浮くって変な気分だなぁ。まぁ、クラスで浮く程不快感は無いかな。

 浮いたことないけど。それか、浮いてても俺がそれを自覚してないだけかもだけど。


 何発も銃声が響くが、一発たりとも大ザルに当たらない。


 うん。そうだよね。素人が当てられるわけないよね。心拍で揺れるし、筋肉も揺れるし、呼吸でも揺れるし。


 大ザルにできた氷が少しづつ溶け始めている。


 うんうん。計画通りだね。


 俺は大ザルの顔の前まで行って、準備を始める。

 氷が溶けて、動き出せるようになった大ザルは顔の近くにいる俺には目もくれずに撃ち続けている蒼に対して移動を始める。


 まぁ、うん。そうなるよね。


 遠距離からの新たな敵を見つけた大ザルは大きな口を開けて、雄叫びで威嚇(いかく)か威圧しようとしている。


 口の前に待機していた俺は、温存していた魔力全てを代償に強力な麻痺毒・酸・毒を交換して、大きな口に注ぎ込む。


 だって、普通口の前にいる小さな虫の存在なんて気づきもしないもんね。今回はこの大きさがアダとなったね。体をできるだけ縮めて待機してたけど。


 蒼を(おとり)みたいに使ったし、後で謝っとこ。うん。


 麻痺毒が聞いたのか、後ろ向きに倒れ込む。


 足元にいたカピュアは大丈夫だよね? ! これで押しつぶされてたら、大ザル倒した後に自害するよ?


 できるだけ早く地上まで降りて、着地する。


「大丈夫だったか? 」


 木々の中に一際目立つ緑色を見つけて急いで駆け寄り、声をかける。


「はい。助かりました。倒せるなんて、凄いですね。」


「悪いが、多分まだ倒せてないな。」


 俺は大ザルの首まで移動して、宝石を交換する。


「お前は強かった。これ以上時間をかけると解除されそうだから手短に済ませるが、最後まで手は抜かない。」


 これが自己満足って分かってる。でもパック長の言ってたことが本当なら、このサルは人間の言葉が理解出来るかもしれない。


 俺は大剣を振りかぶって、


「対戦、ありがとうございました。」


 と言い、しっかり血管を、そして感謝を込めて大剣を振るう。

 斬れ味は流石の神製(メイドインゴッド)か。豆腐までとはいかないが、予想よりはよく斬れる。


 力が上手く乗ったからかな。それともあの酸とか毒が肉を柔らかくしたとか?


 破れた血管からは血が滝のように流れ出し、どんどんと体力を削っていく。流れた血は土に吸収され、それでも足りない分は地面を伝って、俺の靴まで届く。

 次第に流れる血の量が少なくなり、動かそうとピクピクしていた腕も動かなくなる。


 はぁ。なんとか勝てた。


 カピュアが倒れた木々に苦戦しながら近づいてきた。


「イッセイ、なんとか勝てましたね。それにしても、最後になにか話してましたが、なんだったんですか? 」


「あー。あれは戦ってくれた感謝と命を奪ったことへの懺悔に礼儀を込めて言っただけだ。気にしないでくれ。」


 どうしても卓球してたら試合後の……特に強敵との挨拶はしっかりとしたくなってくるんだよね (多分俺だけ)。


「確かに命を奪っておいて、何もしないって言うのは失礼ですよね。私も手を合わせておきます。」


 そう言うと彼女は腰を下ろして(かが)んだ体勢のまま、黙祷(もくとう)をする。


 こいつは俺の彼女だ! とか言ってみたいなぁ。


 少しして、標的が倒れたことを確認して移動してきたのか蒼が軽い身のこなしでやってくる。


 この中で一番前衛向いてるのは蒼説。

 もう蒼が銃と包丁で戦って、後ろから魔法部隊とか最高の構成じゃない? 特に俺が。

 手を繋いでずっと戦えるとか天国すぎるよ。


「一成、なんか倒れたけど大丈夫だった? 」


「あぁ。あれだけ血を流せば体力は全損してるだろ。」


 もうこれで生きてたらどうしようもないから。


「丁度いいところに来ましたね。ちょっと手を貸してください。魔力が足りないんです。」


 カピュアが蒼に向かって言う。


「別にいいけど、何を手伝えばいいの? 」


 カピュアに近づきながら、首を傾げて聞く。


 うーん。カピュアの方が可愛い。同じ仕草でもカピュアがダントツで可愛い。


「ちょっと手を繋ぎますね。」


「え? 手を貸すって言うのは、実際にってこと? 」


 蒼は肩透かしを食らった表情をしている。


「格納するための魔力が足りてなかったんですよ。これで足ります。」


 カピュアが手をかざすと、サルの巨体が手に吸い込まれるようにして消える。


 なに? 四次元なの? アオダヌキなの?

 それともスライムなの? 暴食なの?




 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□


「本当にこれだけのサッキキールとバキッキールを倒されたのですか? 」


 俺は頷くと、受付さんはまだ聞いてくる。


「バキッキールを本当にこの3人だけで倒されたのですか? 」


 またも頷く。


「カードにあるとはいえ、信じられません。どの辺りに生息していたかとどのように倒されたかを伺ってもよろしいでしょうか? 」


 かなりかしこまった敬語になってきてるのがなんか、違和感しかないよ?


「サッキキールに奥まで誘導された所で、そのバキッキール?に出会ったな。倒し方は、細かいところを省くと氷魔法で裂傷を負わせて、カピュアの掩護で浮いて口に交換スキルで作った麻痺毒・酸・毒を注ぎ込んで、倒れたところを首の血管を斬って終わったな。」


 蒼の活躍は当たりもしない銃を撃って (俺の命令)囮になっただけだもんね。省いて問題ないでしょ。


「そんな簡単に……。」


「いや、全然簡単じゃなかったんだが。正直いってカピュアが居ないと死んでたと思う瞬間が三回程あったし、そもそもカピュアが居ないと毒を流し込めなかったしな。」


 カピュアこそ天使。カピュア居ないと足元まで移動できなかったし、いじめの時に魔法も飛んできてたし、腕や足でペラッペラにされてたし。


「なるほど。攻撃を喰らえないからこそ、あまり怪我されてないのですね。」


 あの説明でなんで理解出来たの?


「まぁ、そんなところだな。」


「納得できました。賞金を用意しますので、少々お待ちください。」


 そう言うと、奥に行ってしまった。

 立ったまま待つのもなんなので、カピュア達が待っているカフェに移動する。


「それにしても、イッセイはよくあのサッキキールの群れから抜け出せましたね。」


「あぁ。あれは本当にいじめかと思ったな。

 ……そうそう。いじめと言えば俺の過去にあった話なんだが、中一の頃に何故かクラスの2名に嫌われてたんだよな。」


「え? それってアレ? 」


 蒼はこの話題に勘づいたのか、聞いてくる。


「アレだな。そのうちの1人に言われたことがあるんだ。それが、

「舐めとんか」

 と言われてよく聞こえなかった、というか聞き取りづらい言い方をさせたから

「なんて? 」

 って聞き返したんだ。そしたら今度はギリギリ聞き取れる声で

「舐めとんか」

 と言ってきたんだ。だから俺は舐めている自覚がなかったから

「舐めてないけど。」

 って答えると、その男はなんと、

「そういう態度が舐めんじゃ! 」

 って言ってきたんだよな。なら聞くなやって思ったな。」


 カピュアは反応に困るような顔で、少し笑っている。


 おかしいなぁ。友達に話したらかなり笑われたんだけど。


「毎回思うけどそのいじめをネタにするメンタルなんなの? 」


「まぁ、目指すはメンタルオリハルコン……は無理だから、ダイラタンシー流体のウーブレックだからな。」


 説明しよう! ウーブレックとは水と片栗粉を1:1で混ぜるとできるアレである。衝撃を加えると固体のように振る舞うが、通常時はドロドロの液体のようなのだ。

 要は見た目だけ良い風に見せてる陽キャである。


「だいやたんしぃ?ってなんですか? 」


「ダイラタンシーだな。水と片栗粉を混ぜればできるから、また今度作るな。」


 雑談しているうちに受付さんが呼んでくる。

 カウンターの上に山のように置かれた小金貨がある。


 何故小金貨!


 なんで? いくら小金貨と言えども、こんな山みたいになることはないと思うんだけど。

 サッキキールもそこまで倒してないし、バキッキールもそこまで高くなさそうだし。

 だって俺が倒せたんだよ? カピュア込みでも俺が倒せたんだよ?


「この量って、なにかの間違いとかじゃないのか? 」


「いいえ。サッキキールが五十三体、バキッキールが一体なので、この金額で合っています。値上げの交渉でしたら、ギルドマスターをお呼びしますが。」


 サッキキール五十三匹も倒したの? 俺はそこまで倒してないよ? なに? 蒼が四十匹ぐらい倒した?


「いや、呼ばないでくれ。」


 にしても、この量をどうやって持ち帰ろうかな。あの黒い袋は持ってきてないし……。


 俺が四苦八苦していると、見かねたカピュアが近づいてくる。


「持ち帰るの大変ですよね。良かったら、私が格納しましょうか? 」


 俺は断る理由もないので、カピュアに任せてその日は帰った。

 その後、蒼のサッキキールと俺のバキッキールがあるからか、4分の3が俺と蒼の取り分となった。

10章までの大まかな流れは出来てるのに

数人にしか読んでもらえない……。


てことでタイトル募集します。

いいなと思ったらあらすじのところに書いてから変えます。


ブックマークしてくださった6人。期待してます。

とりあえず色々と間違えたを消すか。

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