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この世の朝は未だ遠く 〜Zwischen Traum und Erwachen〜  作者: レンリ
一章 三千大異世界

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二十九話 初夜

いま、魔物の名前考えてるんだけど、全員検索結果に出てこないように工夫してる。

 早速夜が来て、カピュアが部屋に入ってくる。


 この宿には小さいながらも一部屋に一つお風呂があるので、パジャマ姿のカピュアを見ることができる。


 うわっ。やばい。いつもの違う新鮮なカピュアでやばい。採れたて鮮度抜群でみずみずしい。

 何言ってるんだろう。可愛すぎて混乱してたね。


「よろしくお願いします。初めてですから緊張しますね。」


 ういやぁぁぁぁうぅぅぉぉぉ。

 はぁ、はぁ。初めてだからはダメだって。初めてだから緊張はダメだってぇぇ。

 可愛すぎて襲うとかはできないけど、脳がショートしそう。


「俺は適当に時間を潰しておけばいいか? 」


「はい。寝て本を読んでいてもいいですよ。」


「流石にそれはな。」


 女子……特に超特大級に好きな人の前でそんなだらしない姿を晒すなんて無理だって。


「そんなこと言わずにくつろいでください。」


 弱い力で……しかし、しっかりと押し倒してくる。


「なんでこうなるんだ。」


 うつ伏せでその上にカピュアが乗っかっている。

 その体は全く重くない。むしろ背中が軽く思えてくる。


「重くないですか? 」


 不安そうな声色で聞いてくる。


「全くもって重くないが、そう思うならなんでこうしたんだ。」


 心臓の音がカピュアに伝わりそうで怖いんだけど。

 それ以上に俺にまたがっているから柔らかい太ももがあたたかくて、幸せに包まれてるけど。


「この体勢が一番短時間で済むんです。」


 そういって胸を押し当て、抱きついてくる。

 おもわず、にやけ顔になったのを隠すためにシーツに顔を(うず)める


 ……そういう気はないんですよね。はい。積極的ですね。かわいいですね。


「顔を埋めてどうかしましたか? 」


 聞くために耳元まで顔を近づけてささやき声で聞いてくる。柔らかいなにか (分かっているけど認めたくない)が更に背中に押し当てられる。


 耳と背中が幸せすぎるんだけど。なにこれ。昇天しそう。天使?


「いや、発作が起きただけだ。気にしないでくれ。」


 なんとか冷静さを装って答えるが、少しボロがでている。


「発作……って、大丈夫なんですか? ! 」


「大丈夫だ。問題ない。」


 条件反射でほとんど無意識下で答えられる。


 一回落ち着こう。背中はただのあたためた大福。耳元はASMRだから大丈夫。脳がゾワゾワするだけ。大丈夫。そして、大好き。

 よし。コレで大丈夫なはず。


 顔を埋めたまましばらく経過した。


「ちゃんとくつろいでいますか? 」


 未だに人を喜び困らせている自覚がないのか、耳元で聞いてくる。


「女子とこんな状況ではくつろげないな。」


 やっと気づいたのかあっ、と小さく声を漏らす。


 自覚無しの距離近い女の子ほど、タチが悪くて可愛いものはないね。


「ごめんなさい。気づけませんでした。」


「別にそのままで良いが。……嬉しいしな」


 俺は最後のデレの部分だけ、消え入りそうなほど弱く言った。


「最後なにか言いました? 」


 予想通り聞こえていないようで、俺の顔を覗き込んで聞いてくる。


 ほら可愛い。疑問に思っている顔も可愛い。

 ここで攻めてもいいけど、その勇気があればなぁぁ。

 あればなぁぁ。


「言ったが、特に気にすることじゃないから安心してくれ。」


「そうですか。……! それより、早く退いた方がいいですよね。」


 カピュアは慌てて足をのけて俺から降りる。その勢いは止まらず、ベッドから落ちていくのが見える。


 いや、大丈夫? 怪我してたら罪悪感で確実自殺未遂になるね。


「大丈夫か? 」


 おでこを打ったみたいで、そこをさすりながら起き上がる。


「大丈夫ですよ。ちょっと痛かったぐらいですし。」


「よし。ちょっと、丈夫な縄と台の準備してくる。」


「何するのか分かりませんが、嫌な予感がします。危ないことはしないでくださいよ。」


 うぐっ。これで天国へ飛び立てなくなったじゃん。罪を償おうと思ったのに。


「止められたら仕方ないな。魔力回収は終わったのか? 」


「今日はこれでいいですよ。明日も頼みますね。」


「あぁ、分かった。」


 こう答えたけど、心臓持つかな。いざとなればタコになればいけるかな。心臓三つあるし。


 その夜は、背中の感触が頭から離れずに寝付けなかったので、もはや本編と化している黒本のおまけ小説を読んだ。


 へぇ、ここでこんな伏線回収するんだー。ありきたりって言えばありきたりかな。


 いや、これ伏線だったの? 作者凄いね。単に思っただけかと思ってたけど、それが意思疎通能力による思考を受け取ってたなんて。


 流石に眠くなってきたかな。寝よう。




 気づけば家に帰っていた。


 あー、早く帰りたいなー


 なんてことをぼんやりと考えながら帰宅する。

 家がもう目と鼻の先といったところで、白い 【なにか】を発見す――。


 まずいまずいまずいまずいまずい。

【アレ】は冗談抜きでやばい。顔を見てしまった。


 俺は見ただけで 【アレ】がなにか分かった。

 逃げられるわけがないと思いながらも、全力で走って必死に逃げる。


 一心不乱に走っているうちに、なんとか玄関まで辿り着く。

 慌てて駆け込み、ドアを閉めて鍵をかける。


 ふぅ。とりあえずは安心……。


 ここで後ろから光が差し込んでくる。


 やばい追いつかれた!

 あれ? ちゃんと閉まってなかったのかな。


 頭では振り返ってはいけないと分かっているが、どうしても、現実逃避をして興味で振り返ろうとする。


 振り返ると、白い 【アレ】がすぐ側まで迫っている。


 やばいやばい。殺される。死にたくない!


 急いで奥に逃げようとするが、背後から殺されるという恐怖で 【アレ】を見たまま逃げてしまう。


 違う。逃げきれない。前を向いて走れ!


 恐怖に打ち勝ち……いや、恐怖の塊から逃げるために正面を向いて走り出す。


 心臓が早鐘を打ってる。冷や汗をかいてる。息も荒い。

 死ぬってのはこんなに怖いのか。


 曲がり角を曲がる時、距離がほとんどなくまた恐怖に負け、 【アレ】の方を向こうとする。


 あ、死ぬ。


 向き切るまでに鋭い爪が背中を切り裂く。




 気がつくと、自室のベッドで汗びっしょりで寝ていた。

 汗で服は肌に張り付き、あの恐怖で心臓はまだ大きな音をたてている。


 落ち着くまで寝れそうにないね。ちょっとリビングまで行って休もうかな。出来ればシャワーでも浴びようかな。


 着替えをもって、一階まで降りていった。

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