八話 ここは内陸?
上手いこと切れない案件
「こちらの量ですと、小金貨二枚と銀貨一枚となります。」
袋いっぱいに詰めたリストロ草の値段が付けられる。
二人で一回2500円ぐらいか……。どうしよ。昨日の買い物がどのくらいかかってたのか分からないけど、とりあえず毎日仕事しないといけなさそうなのは分かるね。
出来れば、もうちょい高いクエストをこなしたいところ。
俺はリストロ草を受付さんが出してくれたカゴに移して、代わりに小金貨二枚と銀貨一枚を貰う。
「もし、クエストの途中でモンスターを倒した場合は冒険者のカードを見せてくださると、その分上乗せ出来ます。」
「あ、ありがとうございます。」
ふぅ、不意に話しかけられたけどなんとかやり過ごせた。危なかった。
カードを見せると上乗せされるんだね。今日の分を明日見せても大丈夫かな? というか、仕組みを知りたい。
「それと、レベルが上がった場合は報告して頂くとクエストをいくつも受けなくともランクをあげることが出来ますので。」
「丁寧にありがとうございます。」
とりあえず、一礼をしてギルドの中に建てられているされているカフェか酒場かなにかで休んでいる蒼と合流する。
「なんで俺に報酬を受け取りに行かせたんだ。」
「それは、やっぱり一成が行った方が報酬が上がりそうだったから。」
どうゆうこと? 俺は値上げのプロかなにかなの? そんな陽キャのしそうなこと出来ないよ?
「変わらないだろ。」
「ほら、一成の圧倒的な美貌でどんな女性もイチコロだから。」
「言葉の意味を色々と間違えてんぞ。美貌じゃなくて暗いオーラ、イチコロじゃなくて…いや合ってるな。暗さについて来れずにイチコロだな。それに、同級生に見た目が怖いって言われたこともあるしな。」
あとは、真面目そうとか勉強・卓球できるとか、物知りとかかな。
それと異世界に来てから蒼が俺の事をかっこいいとかでからかうことが多くなっているんだけど、なんなのこれ? 陽キャで流行ってるの?
「はぁ。相変わらず、自己評価が低いのなんなの。」
蒼が頭を押さえて、悩むように言う。
「そりゃあ、自意識過剰よりはマシだろ。それにこの考え方のほうが楽にハチャメチャ出来るし。」
「その考え方がよくわかんない。」
「まぁ、俺以外がこの考え方したら確実にネガティブになるな。」
「一成、やっぱ変わってる。」
「変わり者って言いたいなら、合ってるな。変わり者の自覚あるし、変わり者であることを自負してるからな。」
「まぁ、うん。それでこそ一成だよね。」
うんうんと一人で頷いて納得する。
「とりあえずは昼ごはんの材料買って帰るぞ。」
「分かった」
俺たちはカフェか酒場かなにか……もうカフェでいいや。カフェを出て、町を歩く。
「どこにどこら辺で昨日の食材買ったんだ? 」
「えーと、ホテルからあーいったから……。ここの角を左に行って、そのあとは真っ直ぐ行くとパン屋があったはず。」
蒼の言う通りに進んでいくと、本当にパン屋や八百屋を見つけて買っていく。
「今日こそはさしすせそを揃えたいんだが。」
「さしすせそって何? 」
「女子ならっていうか、人間ならこのぐらい知っておいて欲しいんだが……。さしすせそっていうのは 『さ』が 『砂糖』。 『し』が 『塩』。 『す』が 『お酢』。 『せ』がせうゆ…まぁ 『醤油』だな。で 『そ』が 『味噌』。味噌だけそが最後に来てて謎だけどな。」
「人間ならって範囲広すぎない? ! それと、そんなの覚えなくてもいいじゃん。付けたいなーって物を付けたら。」
「違う! さしすせそは調味料を入れる順番なんだよ。これに従わなければ、風味が失われるんだよ! 」
「一成、まさか女子じゃないよね。」
「俺が女子だったら、女子だったら……。やばい、案外しっくりきたんだが。」
なんか、空気読めない系のキャラとしていじめられてそう。それかいじられキャラとして仲良くなっていたい (願望)。
蒼が通行人に調味料がどこら辺で売っているか聞いている。
「調味料はこの道を真っ直ぐ行った後に服屋を右に曲がったとこにあるらしいよ。」
「どこで習ったんだ。そんなコミュ力。」
相変わらずのコミュ力で羨ましい。どこで習えるの? どこぞのゼミ? これゼミでやったやつだ?
「どこでって自然と? 」
「ズルすぎるだろ。」
「いや、一成の頭の方がずるいと思うけど。」
「どこら辺が? 」
女子力が蒼よりも高いところ?
「だってテストであんな高得点取れるんだよ。羨ましいって思わないわけないじゃん。ほんと頭交換して欲しい。」
「頭交換すると、俺が女子になるだけだがいいのか? 」
頭を交換したところで、体が入れ替わるだけなんだよね。
そう話しているうちに調味料屋に到着する。
塩や砂糖、お酢はある。香辛料らしきものもある。
味噌と醤油どこ行ったの? ステイホーム中? それかゴートゥートラベル?
それに、塩があまりにも高すぎる。なんで一瓶で小金貨一枚もするの?
「蒼、塩どうする? 」
「どうするって言われても、買うしかないんじゃない? 」
「日本円で千円だぞ。仕事きつくなるがいいのか? 」
塩が高い理由はなんだろう。普通に考えれば、供給量が少ないのと需要が高いって事だとしたら、この町は内陸にあるということかな。それか、魔物が海の近くにたくさんいるとか、強敵の縄張りとか。国と国の争いは魔物という共通敵がいるからマシになっている可能性はあるけど、仲が悪いとかであまり貿易してないとかかな。可能性はいくらでもあるけど、一番は製塩技術があまり発展していないとか? 憶測でしかないからなぁ。
この世界に人類が出来てから何年程経っているかっていうのが一番知りたいけど、魔物がいる世界だから、魔族とかもあるんだろうね。もし、魔族がいるのであれば、ずっと戦争をしていると考えられる。戦争をしている時が最も文明が発達すると考えられるけど、それは戦闘系の技術だけだから、生活の水準が高くなることもなく、むしろ下がるまであるところがなぁ。
いや、長年戦争が続いていればある程度の冷戦状態だったりするかもしれない。その時にお互いの体制を立て直す時期になるんだけど、昔の日本のように自身の力を過信して魔族に自分から喧嘩ふっかけてこうなってるみたいな可能性も無きにしもあらず。
うーん、やっぱり情報量が少なすぎる。
ここまで考えて俺はハッとする。
やばい。つい伏線の考察の癖で考え込んでしまった。それに蒼にも……。蒼に迷惑はいっか。
「一成、ずっと動かずにどうしたの? 」
「いや、考え込んだだけだ。とりあえず今日は帰るぞ。」
「さしすせそ買ってないけどいいの? 」
「値段が高い。いざとなれば茹で野菜にして生で食べられる。」
「えー。嫌だけどもう死にかけるのは嫌だから、受けるクエストは少ない方がいいし仕方ないよね。」
蒼は不服そうに眉をひそめるが、なんとか妥協してくれたようだ。
君、死にかけたことあるっけ? 現実世界であったの?
とりあえず、調味料は買わずに宿に戻ることにした。
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