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ハイデンハイムのローレライ  作者: 樹本 茂
第二章 Besucher -訪問者-
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会敵00-1 シュバルツバルト撤退戦 9

会敵00-1 シュバルツバルト撤退戦 8 の続きです。



 俺達が新フランスに横槍を入れた時は既にそいつらは2名になっていた。それから、俺を狙ってきた奴は……そこには、薬きょうが8発分落ちていただけで、何者もいなかった。いなくなっていた。


「隊長、新フランスが連れていた捕虜がいるのですがいかがいたしましょうか?」


「捕虜?」


俺は訝しく聞き返し、言われるままに100m程森を進むと、木の根の隣に無造作に転がっている担架を見つけた。担架は何かを包みその外側からロープで厳重に縛られていた。それを手下どもがナイフで切り、担架の布を開くと、


そこには手かせと足枷を付けられ、頭をけがしているのか包帯をグルグル巻きにされて目と鼻が見えているのと首から下に金髪の長い髪が見えて、口にも布切れを嚙まされていた女が包帯の隙間から鋭い眼光で俺を睨んでいた。


女は新フランスの奴らに担架に縛られて運ばれていたようだ。戦闘を避けるように運ばれていたのだろうが俺の手下どもにあっけなく見つかったというところだ。


口に押し込められている布切れを取ろうと手を伸ばすと、ムームー言いながら派手に暴れ出した。


「落ち着け、落ち着け。俺は敵じゃない」


足枷をされている両足を俺に向かってガンガン蹴り上げてくる。


「どうするか?」


気の短い俺はもう捨てておいていこうと思ったくらいだ。


「捨てるか?」


「いえ、オーダーには、この女も連れて帰る事も含まれます」


杓子定規な指揮官付きが無機質に俺に上申する。


「いいか? お前のその口の布っ切れ取るから暴れるなよ」


面倒くさいな、お!今度はおとなしくなった。俺が顔の前に手を出すと……ムームー言って暴れ出した。


瞬間、俺めがけてその女は突っ込んできた。丁度、下腹部当たり---イ、イテ、いて~よ。


刹那、銃弾の掠める音が俺のかがんだ頭上から聞こえてきた。


「敵襲!」


訓練されている俺達の間合いまで入り込んで狙撃してくるとは、何者だ?


ムームーに襲われた俺は、そいつを乗せたまま仰向けになり、俺の大切なところに顔を乗せたままのムームーの頭をそっと掴んで、


「お前、助けてくれたのか?」


包帯越しで、笑った気がした。

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