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ハイデンハイムのローレライ  作者: 樹本 茂
第二章 Besucher -訪問者-
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会敵00-1 シュバルツバルト撤退戦 7

会敵00 シュバルツバルト撤退戦 6 の続きです。

俺達は、シュバルツバルト(黒い森)周辺で避難民の撤退作業に当たっていたチームZ第二小隊(セカンド)と合流、ほぼ同じタイミングで残り3ユニットも合流し、隊編成を速やかに終え、それぞれ持ち場に着かせたところだ。


このタイミングで、遥か北方の海岸付近から敵の主力部隊が一気に押し寄せたらしい。1週間前のこのシュバルツバルト周辺への侵攻はあきらかな揺動だったわけだ。わが軍も西に東におまけに南に敵に囲まれ余裕があるわけでは無い為、主力の通常戦力を北方西側の守りに割いて南側のシュバルツバルト方面はいずれ、新フランスも引き上げるだろうとの思惑の元に俺達をあてがったという訳だ。指揮官付の解説通りとなった。


シュバルツバルトは1000m級の山地で南北に150kmを超える針葉樹林帯の事で、中世ごろには異世界と見なされ、いくつもの御伽噺(メルヘン)の舞台になった場所だ。ただ、メルヘンの舞台としては一級でも戦略的な価値は見当たらず、また、ここを占領するには一個師団ではあまりにも少なすぎた。


司令部《HQ》の命令通り、俺は避難民をシュバルツバルトの北東100kmに位置する歴史ある谷あいの中核都市ハイデンハイムまで送る事になった。その手前40km程のところに防衛ラインを築いて奴らをお迎えし、伸びきった補給線の側面を断つことで、侵攻軍を包囲せん滅する。その舞台が整うまで俺達は遅滞作戦を継続し、そいつらの進行速度を落とせばいい。という塩梅だ。


避難民の逃げる段取りは付けた。そして、一切合切引き上げさせた。ありがたい事に途中で合流したミカド達の別動隊に避難民は任せて、避難民の逃げる時間稼ぎの為に最後尾で俺達は追撃してくる新フランス共和国軍に待ち伏せ(アンブッシュ)をかけた。半分はアンブッシュ、残り半分をさらに二分し、一方を遊撃の為に手元に残し、残る一方は、森に分け入って奴らを追い立てている。


そして、今だ。

既に手下共は黒いシュバルツバルトの広範囲にわたり防衛ラインを完璧に構築し、今か今かとお客さんの到着を待っているのだが、奴らは想像以上に(のろ)い。何でこんな奴らにこの一帯を奪われたのか不思議でならない。師団規模での侵攻と報告を聞いていたが、俺達はその師団を追い超してきたわけだが、そんな奴らを俺達は確認できていない。現状の敵勢を鑑みれば、このまま周辺を奪い返してもいいのだが、オーダーは避難民の保護、その為の遅滞作戦だ。戦略級の作戦は首都のHQのお偉いさんに任せておけばいいのだろう。せいぜい戦術級で楽しませてもらう事にする。


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