表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハイデンハイムのローレライ  作者: 樹本 茂
第二章 Besucher -訪問者-
52/68

会敵46 オーダーZ.L.Aにて 4

あ、あれ?無線機に中央の4名ほど集まっている。それだけ?先頭の2名は無線機に集まる集団に視線を送る。最後尾の2名はまだ歩いている最中だ。


“皆〇しだ!”


アーメンだろ?ミアが主役姫とは思えない悪い言葉を吐いて、フォーマットを無視した。それをカワギリに俺はスタンのリモートを押す。


“1”


先頭の無線機に集まる奴らを遠目で見ていたリーダーらしき男の胸元から一条の赤い血しぶきが確認できた。ミアの初撃が確実にそいつの胸元を貫いた証だ。そいつが何の反応を示すことなくぶっ倒れて、無線機に集まる集団が、倒れた男を凝視している。


その瞬間、最後尾の男も同じように倒れた。俺の銃弾で。

無線機の集団は耳を押さえその場でうずくまっている。すでに目すら開けていない。

残り6名。


“2”


先頭の男が倒れたことを後ずさりしながら驚いて、そのまま、スタンで固まっていた二番目の奴がミアの餌食になったようだ。俺はその報告を聞きながら放ったばかりの2発目の行方をスコープ越しに観察中だ。そいつは薄目を開けて事の次第を見ていたようだが、同じようにスタンによって行動を阻害されているために出来る事など何もない。棒立ちの案山子を撃つようなものだ。そいつの喉元に俺の2発目はヒットして瞬間そいつはスコープの視野から消えていった。

残り4名。


次は無線機に集まる4名の不届きものだ。もう少し、リアクションの訓練をした方が良いぞ、俺の為に。


“3”


ミアの銃弾を喰らった奴が、集団の中に倒れ伏した。俺は背中を向ける男に狙いを定め3発目、ソフトにトリガを滑らせる。でかい衝撃と発砲音。---次弾装填。


次は……


狙いを定める俺の耳元に、突然、無線機から歌声が聞こえてきた。


こいつ、ミアは撃ちながら歌っているのか。まるで鼻歌でも、はやりの歌でも口ずさむように軽やかに楽しそうに……


“4”


……高揚感。ミアは今、快感を得ているのか?スコープを覗きながら、敵兵が自分の銃弾で、思う様に倒れる事で、脳内が多幸感に包まれて快感を覚えているという事か。まずいな……こういう状態になって、社会復帰が難しくなった奴を俺は山ほど見てきた。


ここまで、来てしまったか……限界かもしれないな。……しばらく……お休みさせるか。


“レオ? 手がお留守だよ。早く仕留めなよ”


コールサインすら無視している。


“5”


“5対3! ねぇ、首にするよ。まじめにやりなよ。ハハハハハ。ちゃんとやれ~! 嘘だよ~”


無線機越しのミアは楽しそうに俺に話しているが、どちらかと言えば、それはミア自身が自分自身と会話しているようで、会話の全てが自己完結していて、とても相手のいる会話と呼べるようなものでは無かった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー cont_access.php?citi_cont_id=167451645&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ