表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハイデンハイムのローレライ  作者: 樹本 茂
第二章 Besucher -訪問者-
46/68

会敵42 偵察オーダー 5

見つけた……ミアの目と鼻の先、ミアの900m先の林の中。


瞬間、そこの奴らは中隊に向けて撃っていた。中隊の様子を見る限り初撃を外したようだ。しかし、すぐに修正弾を入れてくるはずだ。今どき、スポッタ-込みでユニットを組むとは随分と裕福なご家庭なのだな。


『プリンセス、お前の12時方向、900m、1ユニット視認、位置データ送る、ブラボー』


“見つけた”


まだ、こちらには気付いていないようだが、スナイパーなら900mなんてのは必中距離だ。先に撃ったものの勝ち。ファーストルック・ファーストキルが大原則だ。


最初に視認した泥虫が時々、無駄弾を打ち込んでいるようで、襲われている中隊を見る限り、それが見て取れる。少し、かき回すか。


『中隊へ、お前達の12時900m前方、林の中、1ユニット発見。9時方向700mに1ユニット発見。回避行動しろ』


既に、リーダーを狙撃の的にされている中隊を俺は動かして、3ユニット目のアテを探る事にする。


中隊が一斉にバラバラに逃げ始めやがった。しかし、やはり、敵からの銃撃は、狙撃は、二方向からしか、確認できていない。


見事な逃げ具合だぞ、お前達。

決まった。


『プリンセスはブラボーのスナイパーをやれ、俺はアルファーのスナイパーをやる、続けてスポッターだ』


了解カーピー


ミアのターゲットは900m、俺のターゲットは1700m。銃のセフティを外し、息を整え、優しくトリガに人差し指の中ほどをあてがい、


『2,1、撃て(ファイア)


優しく人差し指を滑らせた。


轟音と共に生じる反動を水たまりに埋もれる俺の上半身が、瞬間浮かび上がるほどの衝撃を伴うが下半身を巧みに固定することで、狙撃銃の動き自体を最小で収めた俺は、素早く右手でボルトを引き排莢を促し、効果を見ることなく、そのすぐ横、0.5mにいるスポッタースコープを覗く男に狙いを定め、撃ち込んだ。


弾が通った跡に飛行機雲ならぬ弾道航跡を濁った空気の紐のように残し、それが、1700m彼方まで2本たなびいていたが、次第に消滅し始めている。


ミアの方からも2発の銃声が聞こえてきていた。


“排除した”


ほどなく、ミアから効果確認の報告が来る。お前ならそんな距離外さねえだろ。

その頃、俺の方は二発目の弾丸がスポッタースコープごとスポッターの頭部を粉砕していた。隣のスナイパーを確認すると同じような具合で頭部はめちゃくちゃだ。


俺は、ミアの撃った方も確認したが、二人は仲良くおねんねしていた。地面に血を流しながら。


『こちらも二名排除した。撤収だ。プリンセス、後方へ後退し、迂回しながら俺と合流しろ』


“カーピー”


仕事をしたら、速やかに撤収。同じところに居ても良い事はない。


『スナイパーは排除した。諸君らに幸運を』


1km先でかくれんぼしている中隊に送信したが、リーダーと通信使がやられたようだ。どうするんだか、これ以上は契約外だ。


俺達が先に斥候を撃っていたら、もしも、敵本隊が先に来ていたら、俺達はそいつらを攻撃していただろう。そして、その後、俺達がスナイパーに撃たれたかもしれない。撃ちやすい場所は誰にでも絶好のポイントなのだ。


今回は、偵察オーダー+4名だ。まあ、ボチボチか。ミアに泥で汚れたお洋服を経費で落とせって迫られそうだが、そのくらいは面倒見てやるか。俺は姫には甘いからな。


月~金 17時過ぎ更新です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー cont_access.php?citi_cont_id=167451645&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ