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ハイデンハイムのローレライ  作者: 樹本 茂
第二章 Besucher -訪問者-
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会敵38 偵察オーダー 1

雨だ。


シトシトと雨は降り続けて、既に5時間になる。もっと言えば、ここに陣取り3日目で、本日の1800時を持ってオーダー終了だ。残り5時間。


俺は、モニタ表示18℃。体感、10℃の中で、珍しく現地迷彩を施した迷彩服ギリーを着込み、着込みと言えば聞こえはいいが、ボロとゴミと草を纏い来るか来ないかわからないお客を待ち構えていた。


俺とミアは、国境から数キロ敵国領、新フランスとの国境に入った丘の上にいる。周囲はライン川の作った、河岸段丘の最低部に平野が広がり、前方、3kmに渡って遮るものが無い、細かくいえば、樹高15m程度の胡桃の木が茂る林が点在するが、それ以外は畑があるのみの絶好の狙撃ポイントである。そこを数本、道が交差し、こちらに向けて伸びている。俺は、その一番太い街道筋を横に見て切通となる丘の上で偵察任務中だ。


そして、その絶好の狙撃ポイントというところが非常に危険なワードだ。絶好の、見晴らしのいい、遮るものの無い、つまりは敵にとっても同じことが言えるのだ。偵察をこなしつつ、俺は、俺達はその可能性についても警戒しつつ、雨の中、哨戒をこなしている。


今日のオーダーはここ、この周辺で新フランス領内の偵察と敵勢の動向を定時に報告を3日に渡ってするだけの簡単な仕事だ。言い換えると、三日間雨に打たれて、ナンボの仕事である。


俺達は、機動的に単車で動いて、遠距離の戦場フィールドにおもむく。それを売りに成績を上げている。その代わりに、油代は自分もちだ。だから、遠くまで行けば行くほど、お送りするお客さんの数を多くしないとやってられない。


一人いくらの狙撃オーダーで、遭遇したのが1名程度では、損益を超えなくなる場合もある。要は、一個小隊10名ほど相手にしないと、俺を心底喜ばせる事は無い。国境越えなどしても、ミアの名前を売るCM効果位にしかならないのだから。商売としては、とてもじゃないがやってられないのである。


そんな俺の愚痴はともかく、本日のオーダーは3日腹這いになってナンボ、おまけにお客を仕留めればプラスナンボだ。雨さえ降らなければ、まあ悪い話じゃない。今は冷たい雨に打たれて気が滅入るが、零細企業のユニット経営者としてはここが踏ん張りどころである。


前方の平野部から見ると比高150mの丘の頂上、草丈1m程度の藪の中で文字どうり待伏せ(アンブッシュ)中だ。そして、半身で雨のシャワーを浴び続けるという、ミア流に言えばブラック感マシマシの何ともな状況である。


月~金 17時過ぎ更新です。

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