会敵19 攻撃
国境の西側に位置する新フランス共和国、大戦中にクーデターによって政権をひっくりかえして誕生した国で俺達から見れば敵勢力だ。この国のおかげで俺達は海以外の三方を敵に囲まれる状態になって、はや50年。こいつらが越境攻撃してくるのは珍しい事では無いが、しかし、こんな田舎の村を包囲して何をしているんだ。
連中は4人一組で四方から村に迫っている。
“クイーン。南と西側から侵入する。フォロー願う”
ミカド達は2班に分かれて背後を狙うようだ。
「カーピー、西側、南側、各々ナイトA、B二班視認した。フォローする」
俺はミカド達が新フランス共和国軍の南側と西側の背後250mまで各々2名でストーキングしているのをスコープ越しに確認した。敵は気配に気づく素振りすらない。やるなあいつら。残りは……集落から500m離れた林を迂回して周囲を取り囲むようだ。
俺達のいるところから一番近い家屋まで970m。俺の測距用モノスコープのディスプレイに表示されている。
「ミア、俺達は手前の東群4名を殲滅後、北群4名を狙う。まず、東群北よりA、俺はAからお前はDを狙え。北側一群も同様だ。ミア、東群のすぐそばの民家の煙突を見ろ、煙がたなびいていない。風は1ないし0m/sだ。センサは無いが初弾から外すなよ」
俺達から一番近い東群4名をまず手堅くいただく。奴らは俺達が背後からスコープで狙っているなど考えもしていないようだ。
直ぐ脇でお気に入りのシートを引いて寝そべり射撃体勢を整えているミアがサムズアップで答えた。
「キングへ射撃準備よし。カウントくれ」
“3、2、1、攻撃”
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