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さいきょうのひみつけっしゃのさいご

作者: BrainOfKeios


「俺はどこで道を間違えたんだろう?」


その男は、人の死体の山に囲まれ、そして今、殺されようとしていた。


「もう間に合わないだろうが、俺を殺すことで溜飲が下がるのなら殺せ!!」


「人類を滅ぼす悪人め!!死ね!!」


パーンと軽い音がした。


男は、頭から血を流し死んだ。

男は死の間際に走馬灯のようにあの時を思い出した。


数年前


世界は、名前のない秘密結社によって影から征服され、

その結社からの圧力で大増税や人権を無視するレベルでの強制労働、

大気汚染、海洋汚染、ありとあらゆる問題が発生していた。


そしてその秘密結社に敢然と立ち向かう男がいた。

その男は、その秘密結社により宇宙開発用に改造されたサイボーグだった。


地球環境を守るための宇宙開発のためのというお題目で数百人もの若者が集められ、多くのものが適応できず死んでいきそして最後に残ったものだった。


彼は、卓越した適応能力で試練に勝ち残り、最後に首領との面談の前に、その隙を縫って脱走し非道な行いを行う組織に反抗すべく孤独な戦いを始めた。


彼に施された技術は組織でも最新、最高のものでそして地球上には一つしかない希少物質を利用したジェネレータにより過酷な戦いに全て打ち勝ちそして運命を変える今から一週間前に至る。


一週間前


空からは巨大な宇宙船の破片がバラバラと降り、

そして一人の白衣を着た男が、虫のような仮面をかぶった男に腹を刺され死にかけていた。


「大首領X、これでお前と悪の秘密結社、地球破壊作戦の最後だ!」


「ははは、まあ最後というのは間違いではないが、地球破壊作戦はちょっと違うな」


「何を言っている!!」


「後数分なら持つか、冥土の土産というのは逆か、まあ最後に一つだけいいことを教えてやろう

 あの船は、確かに惑星破壊兵器を内蔵している。」


「なら何が違う。」


「あの船が壊れたことをキーにして情報統制は解かれた、今ネットでもみてみるといい」


「何を言っている!!」


「まあどうせ俺は何をしても助からん、最後の時間を後悔せず生きるんだな、もっとも世界中からの祝福を受け止め生き延びれたのならな・・・」


「何を言っている。」


「ははは…」


男は死んだ。


仮面の男を改造し、悪逆非道を行なっていた組織は滅んだ。


「さあ勝利の凱旋といこう、悪の首領の最後の言葉が気になるが・・・」


男はふと携帯端末を取り出し、ネットを見た。


『巨大遊星 一週間後に地球に激突!! 地球を救う最後の希望が、軽率な男の行いにより失われる。』


「なんだ?これは?」


男はそこの記事にリンクされた、首領が遺言がわりに公開した動画を見た。


「私は世界を征服していた秘密結社の首領である。そして人類を救うために心を鬼にし人類を滅亡から救うために、悪事を働いていた大バカものである。」


男は乾いた笑いをしながら続けて言った。


「今からそう、【一週間後】 地球に、太陽系外から迫ってくる、遊星が激突し地球もろとも人類は絶滅する。」


一週間のところだけ音声合成で作られた動画のようだ、そして首領の後ろには太陽系外から迫る遊星の起動が描かれていた。


「やってくる遊星のサイズが、直径20km、そしてその半分が恒星の核の重合物質でできており、当たった場合のシュミレート結果がこれだ」


動画がCG映像に切り替わった。

その動画では、地球の表面に刺さったと思うと、次の瞬間地球が粉々になって吹き飛び後には何も残らない。

そして映像が男に切り替わった。


「まあ科学者の諸君なら、今からでも軌道をずらせばと思ったかも知れんがそれは無駄だ!!」


男の後ろに古い遺跡のようなものが写った。


「今から1万2000年前のもので、ここでは皿状のガラス片が多く見つかっている。そしてこれが全ての始まりだった。」


映像はそのガラス片に切りかわりズームしていく、そしてそこには、その中を埋め尽くすような形で

一定間隔の傷が入っていた。


「これは古代に使われ、破損したために捨てられたおかげで地球に残された貴重な記憶媒体だ、そして我が結社はここにある情報を解析し、一つの結論にいたった。」


「人類は狙われている!」


「どうやら上位種族に奉仕する知性体として人類は生み出され、そして1万と2000年前小さな反乱が起こった。そして反乱は収まったが上位種族はこう判断したらしい、命令に従わない奉仕種族は不要だ!そして彼らは母星に戻り、母星から兵器を投射し人類を滅ぼす計画を建てた。それがおそらくこの遊星だ。

つまりこの遊星は兵器であり、軌道をずらすことなど不可能!!」


男は、ドンと目の前の机を叩いた。男の手からは血が流れている。


「それに気がついた我々は、どんな手段を用いても、悪と言われようと残された情報から最悪でも人類を地球から逃がし、できる限り地球を救うための行動を開始した。それがこの組織の成り立ちだ」


男はそこで一呼吸置いて言った。


「そしてそのプランは全てこの男により無に返された。」


男の写真がそこには写っていた。


「彼は、遊星破壊のための最後の希望として、改造されそして、その話を聞かずに脱走し、我が組織との抗争に明け暮れている。おそらくこの動画が公開されたということは、彼を核として起動することで遊星を破壊しうる兵器を内蔵した地球脱出計画のための超巨大母艦が彼の破壊工作で破壊され、そして私も殺されたことであろう。」


男はここで狂ったように高笑いをした。


「彼が暴走した時点で遊星破壊プランは破綻し間に合わない。そしておそらく彼の短慮により人類が生き残る最後の機会も失われるだろう。さあみなさん、我々の組織の頸城から地球を解放した彼を褒めたたえようではありませんか!!」


男は最後に言った。


「最後に我が組織を打ち破った勇敢なる勇者に一言、君ののぞみは叶った!喜べ!世界は君を祝福しているぞ!!」


動画はそこで終わっていた。

ネットでは、その後まさか事実だったらという話と、悪の組織の嘘だという話で

二分して政府の公式発表まで大争論が続いた。


そして翌日各国政府からの公式な発表があった。


「かの人物が言った、遊星が地球に向かっているというのは事実です。現在各国で対処を行うべき協議を行なっております。」


それは事実であった。


その日を境に男は、哀愁漂う孤高のヒーローから一転、人類滅亡を企む悪の怪人

秘密結社は、人類存続のための必要悪の秘密結社と立場が入れ替わった。


そして男の逃亡生活が始まった。


三日がたった。


「ごくわずかの可能性ではありますが人類が生き残る可能性のあるラストプラン箱舟が発表されました。それは世界各地でかの結社によって作成されていた地下都市群で、運が良ければ惑星崩壊時に地下都市がそのままコロニーになるという壮大な計画です。ただし地下都市内蔵のジェネレータでは、十分なシールドや慣性制御ができず、中の人間が助かる確率は0.0001%未満というもので、そのためセカンドプランとしても挙げられていなかったのですが、かの悪人の惨禍から逃れ大首領の意思を受け継いだ組織の生き残りが最後の希望を見つけました。かの悪人の体内に埋め込まれたジェネレータを取り出し都市に組み込めば、80%の確率でその都市は助かります。」


男は世界中からも追われるようになった。


そして人類は滅亡した。


まあ、目的のためには手段を選べないってことはよくあるよね・・・

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