エンドロール
はじまりがあればおわりがある。
永遠はかりそめの夢。
歓喜で世界が彩られ鮮明になった。
この命が確かに燃えた。
憂いで世界がぼやけて明日が見えなくて。
この心は引き裂かれた。
そんな日々も、幕引きの時間。
笑って別れの挨拶を。
涙はもういらない。
キミとボクの物語はあと数ページでなくなる。
いつかまた出逢えたら、それは新しい物語だ。
これまでのことは決して無意味なことなんかじゃない。
思った通りの筋書きはひとつもなかったけれど、とても楽しかった。
一瞬でボクの世界を変えたキミは誰よりも神さまみたいで、そんなキミを慕うボクは熱心な信者のようだった。
何も残らなかった。
何も残せなかった。
お互いの思い出の中にしか存在しない二人のキオク。
忘れない、忘れないよ、きっと。
キミのことで酷使した感情たちと共にボクとキミの出来事、すべて。
キミとボクが同じ気持ちじゃなくても、笑い合った時間を信じてるから。
何か言いたそうに、でも黙るキミの繊細さを分かってるから。
明日が来る前に、来てしまう前に、さいごをゆっくり眺めよう。
もう今を共有できないキミとボクのさいごを。
新しい明日はきっときっとキミとボクの背中を押してくれるはずだ。
別々の方向へ、別々の思いを抱いて、はじまったキミとボクはようやくおわるのだ。