あっれれーおっかしいぞー
最悪読み飛ばしても問題ないかもしれません。現代を魔法で彩った世界だったよという話です。人によってはストレスに感じるかもしれませんので。
グフッ!
「ミュール!ミュールミュール」
「マジやばくね。かわいすぎ。元気すぎっしょ」
ここから始まるのか.....というか現世での母、なうでヤングな言葉使い過ぎじゃないか!?穏やかで清楚そうな顔してなんて言葉遣いなんだ。ちょっと、この感じキツイな。チェンジで。まあ、チェンジでって言っても母親チェンジ出来るわけないよな。
こういうのは悪いが見た目と真逆のちょっと頭が悪そうな母の下に生まれてきたのは割とショックである。俺の凄さとか理解してもらえるか心配だし、最初のスタートが貧民のスタートだと人生は厳しいからだ。賢い人は見た目ではなく頭の良さを重視する傾向にあるため、貧民スタートの可能性は高い。
「抱きかかえてーわ。大丈夫?」
「だいじょーぶっしょ」
タオルで拭かれた後、抱えあげられたので朧気にしか見えない目で周りを見渡すともう一人居た。会話の内容的にあの人は産婆かなにかか?今の産婆は白一色の服を着るのか。やはり時代が変わると服装、制服も変わるのだろう。
気のせいかもしれないが周りがやけに白いように見えるのだ。気のせいというか目の問題か。生まれた赤子の目では白くぼやけてしまうのだろう。もどかしい限りだ。俺は金属と謎の石材を中心に構成されている建物にいるという仮説は捨て、寝落ちした。
起きた。起きるとあの産婆と目があう。産婆はにっこりと笑っていた。というか産婆って出産の助けをするだけで、その後も見張る役割があったか?どちらかといえばそういうのはメイドの役割だったような。あれはメイド?いや、メイドを雇えるような経済力があの母と結婚するような人にあるとは思えない。
というか気づいたら透明な容器に入れられてるし、これ大丈夫か?チープなガラス製容器に入れられてるのは商品として展示されているとかかもしれない。実際、横をみると同じ赤子とおぼしき物が見える。赤ちゃんの状態で売られて始まるのはハードすぎる。
と思ったらなんかあの産婆が俺を取り出した。もう売れたのか.....
結果としてはなんか身体測定のフルコースみたいのを受けただけで売られることはありませんでした。目に水を二、三滴かけられてビビったのは内緒だ。
一週間がたち、出ることになった。母親と一緒なので売られそうになったわけではないようだ。あの容器は赤ちゃんが見やすいように透明だったようである。出されたときに気づいたのだが、この建物非常に大きい。前世ではこんなに大きな建物は見たことがなかった。
ただ赤ちゃんを産ませケアさせる施設なだけではなく、病院も兼ねているようで様々な患者がいた。まあ、ここに暮らしているのは光魔法である治癒魔法で治せないような患者しかいないので痛ましい患者しかいなかったのだが。
それと、発音器官ができていなかったので完全無詠唱でAnalyzeをチープなガラス容器と白い謎の石材に使ったのだが、衝撃の事実がわかった。未知の素材で出来ていたのである。俺が使う完全無詠唱のAnalyzeはある物質の触感、色、名前がわかっていれば物質がわかるというものなのだがわからなかったため、未知の物質と判明したというわけである。
石材ですらない謎の物質で構成されている建物、ガラスではない大量にある透明の容器。これ、ひょっとして衰退していないのでは?いやいや、気のせい気のせい。きっと建材のグレードが落ちただけだな。建物の構造で魔法陣が構成されて強固な《超級》結界が貼られているのもきっと気のせい.....
「じゃあ、ぶーぶーに乗るよー」
母親に抱えられて俺は金属で作られた自動馬車に乗り込む。これは前世にもあったものだ。なんかこっちの方がスマートなデザインになっているようだが。まあ、時代と共に洗練されただけでスペックに差はなさそうだ。
家に着くと運転手に母が別れを告げ車からでた。「パパは家で待ってるよー」とのこと。言い方は悪いが隔離されていたため今世の父とはまだあったことはない。少し楽しみだ。
俺は家に帰るとみすぼらしい家ではなくちょっと立派かなぐらいの家が建っていて一安心した。相変わらず、謎の建材で出来ているし結界も貼られていたが。
前世で言う上級の結界が貼られていることを体感しながら俺は抱きかかえられて家に入っていく。あれ?鍵穴がついていない。と思ったらなんか壁と同化させている様だが四角い物体があるな。四角い鍵穴なのだろうか
俺がそう思っていると母親がそこに手をかざした。するとそれだけで扉はカチャリという音を立てる。鍵が開いた、ということだろう。マジか.....うちのセキュリティー雑すぎる。隠してる場所を覚えていればそこに魔力を流せば開くのか。
俺みたいに魔力感知に長けていればすぐに場所わかるじゃん。やっぱり衰退しているわ勝ったな。俺は心の中で勝ち誇っていると、強大な魔力を感じた。これは父の魔力か?
「おぉー息子やんけ。わいかーだわ」
「私たち二人の子供だからね!」
「だいてもえか?」
「気を付けてね」
父は強そうだがやっぱり言語が乱れてるな....衰退しているか真剣に考えている時に思ったのだが、ひょっとして言語が乱れているんじゃなくてこれが標準か上品な言葉にあたるのではないだろうか?
時が経ったら俺が言うなういヤングな物言いも古臭い物言いになるのではないだろうか。マジか.....正直一から言語を取得するほうがマシである。違和感バリバリだから勘弁してほしい。
更に一か月経った。
そろそろこの滅茶苦茶な言葉遣いに慣れてきた。魔力量まで引き継いでいたので正直する必要はないのだが俺は暇なので魔力を練り上げ、放出する訓練をして過ごしている。ハイハイはもちろん、視界も朧気なので暇で暇で仕方がない。
あ、出た。
「ミュール≪おぎゃー≫、ミュール≪おぎゃー≫」
無意識に俺は声を発する。情けねぇ......
それから七か月後
やっとハイハイができるようになったし鮮明に見えるようになった。ようやく文献を漁りに行くことができる!これであの謎の建材の正体や魔法のことがわかるぜ!俺の書斎を探す旅はスタートした。
まず注意すべき点はメイドである。実は我が家にはメイドがおり、俺を監視している。好意的な解釈をすれば見守ってくれているといえるだろうが。
まあともかく今居座っているあのメイドがお花を摘みに行く時や母親と交代するときを狙って俺は抜け出さないといけないのである。あのおばさんめ。あのおばさんは俺の数少ない暇つぶしである。魔力鍛錬を邪魔する存在でもあるので憎らしい。
一時間後、遂にその時が訪れた。<Haste≪ヘイスト≫><Power≪パワー≫>無詠唱で俺はバフをかけて一時的に立つことを可能にした上で疾走する。恐らく、メイドは魔法の活動を感知できる為、一目散にくるだろう。だから非常に短い時間で見つけなければならない。俺は片っ端からソナーを使い本棚と思わしきば場所を探す。
ない
一切そういった場所がない。一体どうなっているんだ。俺は右往左往していると加速魔法を使ったと思わしきメイドに捕まった。本棚がないってどういうことだよ......
俺は魔法を使ったことがバレ、父親と母親に呼び出されることなった。