表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

0-1 滑稽な将

 本編、「リーズ提督3話」にて、ペイマ地方がウェンデス海軍に強襲されます。 その強襲に至るまでのウェンデス軍の思惑です。

「ペイマで騒動を起こしましょう」


 フェン提督は、フメレオン王に言った。

 ペイマは、ファラス国境にある港町で、そこで騒動を起こせば、必ずファラス水軍は出てくる。

 そこでノコノコでてきたファラスの船を徹底的に叩き潰し、ウェンデス海軍の華麗なる緒戦を飾る。

 世界にウェンデス海軍あり。 その事実を世界に知らしめるために……。


「ふむ……。 うまく行くのか?」


「これだけの船です。 事は容易い……」


「確かにファラス水軍ならいとも容易く下るであろう」


「陛下、お待ちください」


 フェン提督は内心、舌打ちをした。

 東の国から陛下に取り入って、近習まで上り詰めたこの車児仙と名乗る黄色い猿を、フェン提督は好きになれなかった。

 陛下も陛下だ。

 何を好んで、こんな汚らわしい猿を御前に置くのか……。

 ウェンデス王家には、ウェンデスの貴族だけを配置していればよいものを……。


「どうかしたか、車児仙?」


「このたびの戦いは陛下の大事な緒戦に当たります。 あまり無意味とも取れる軽率な行軍は控えたほうがよろしいかと」


「だまれ、こわっぱ!! 言うに事かいて無意味だと!? 言ってしまえばこのたびの出陣はウェンデスの勢いを世界に知らしめるための戦! 近習風情が国を語るとは何事か!」


「……く」


 確かに車児仙は近習に過ぎない。 方やもう一方はウェンデスにおける大貴族。 車児仙がいくら何を言ったところで、この男の発言に口を挟むことは許されない行為なのだ。


「陛下、その口が過ぎる猿を傍に置いておくのは陛下の品が問われますぞ!」


 王家にとっても、厄介なこの男の身分。

 王に堂々と意見を述べることができるだけの地位を有している。

 この男を無下に扱ったが最後。 何も準備できていない状態で、全ての貴族たちを敵に回し、王家は自壊しかねない。


 まだ、このフェンという男を処断するには準備が必要なのだった。


「それでは、陛下。 私は出陣致しますぞ。 ウェンデスにフェンありと、声高らかにファラス国民に知らしめてやるのです」


 そう言って、フェンは退廷していった。


「車児仙」


「は……」


「主らしくもない。 まだ決行の時ではないと言っていたのは主ではないか」


「すみません……。 ただ、いやな予感がしましたので」


「予感?」


「はい……。 我らにとっては事態を好転させられる機会かもしれませんが、そのためには犠牲が必要になることが……」


「どういう意味だ?」


「ファラスに我が国を警戒している男がいます」


「ほう?」


「名はリーズ水軍中夫。 あの国柄にしては妙に先見の明が備わっている逸材かと」


「だがな、車児仙……。 水軍中夫といえば、たがが一艦の艦長であろう? そんなやつに何ができる?」


「おっしゃる事、もっとも……」


「いくら無能なフェンといえども、この優勢に抜かりがあったらそれはそれを理由に奴の権力を削ぐことができるが……。 しかし、それはあの船が沈まない限り難しい問題だぞ?」


「御意……。 さすがにそれはあり得ませんね……」





 しかし、皮肉にも車児仙の杞憂は的中した。

 たった一艦の最後の突撃に、旗艦が沈没させられる。


 フェンは、この失態によってかつて先祖が築き上げた功績を、失墜させ、発言力を低下させた。

 これが元で、リーズがウェンデスに仕官出来る土台ができたのである。

 こうした土台の元、リーズはウェンデスに仕官できるわけです。 貴族の反対意見をフメレオンが押し切れた訳が、フェン提督の失態というわけで。

 語り損ねた伏線回収っと……。


 あんまり、よろしくない回収方法ですね。 反省反省。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ