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10月11日、今日は俺の誕生日だ

作者: 堀熊雪

こんにちは!書いたのが結構前なのでタイトルが10月になっています。

今回は割とシリアスな話にしました。意味が分かっていただけるとありがたいです。

1ヶ月に1個くらいは投稿したい今日この頃

10月11日、今日は俺の誕生日だ。


朝目が覚める。ふと右側に置いていた携帯に目を向けるが何も通知は届いていない。今日は俺の誕生日だというのに誰もメールだのラインだのをよこしてくれないのか。


昨日は珍しく日が変わる前に寝てしまったため、休日だというのに早く目覚めてしまった。誕生日だという高揚感もあったのかもしれないが。


10月だというのに妙に冷える体をこの前買ったフリースで包み込んだ。新しいものだというのにすでに毛玉が付いている。安物は駄目だな。

友人は俺の生誕を祝ってくれなかったが、家族なら祝ってくれるだろうと俺は駆け足で階段を降りた。

「おはよう諸君!今日は俺のバースデーだぜ!」

勢い良くドアを開けると朝の鳥の声だけが聞こえた。どうやら家族はこんな朝早くから出かけているようだ。俺のテンションを返してくれ。


とりあえず朝食を食べようと冷蔵庫に向かう。

冷蔵庫の1番上の左側、そこにはいつも俺が朝に食べているソーセージとマヨネーズのハイカロリーなパンがあった。男子大学生というのはカロリーを摂取する生き物なのである。

カロリーの塊を手に取りレンジに袋のまま放り込んで1分。その間に一応野菜をとろうと野菜ジュースをコップに注ぐ。ペットボトルをしまったところでレンジが声を上げた。

レンジからパンを取り出してテーブルに向かう。パンを袋から出して袋をゴミ箱に捨てる。ゴミ箱には同じパンの袋が溢れんばかりに入っていた。


彼はそれには目を向けない、というか向けようとしていないだけかもしれない。


DVDのリモコンを手に取りこの前録画した漫才のコンテストを選ぶ。誰かが先に見たのだろうか。俺の好きなコンビのネタの後まで再生されている。

彼は特に気にせず巻き戻して再生ボタンに指を置いた。何度も見たことがあるようなネタばかりだが、BGMとしてはちょうどいいだろう。

しかし結局俺は飽きてしまい、好きなコンビのネタが終わったところで再生を止めた。


それから夕方まで俺は特に家から出ることもなく、部屋で読書をしたり寝たりして時間を過ごした。明日までの課題のレポートがあったのだがすでにそれは終わっていた。知らぬ間にするとは俺は何て優秀な人間なのだろう。


夕方5時、外を見るともう暗くなっていた。俺は明日の朝のパンを買いに玄関に向かった。一度ドアから顔を出して気温を確認する。寒い。10月だというのにコートを羽織ってコンビニに向かった。

今年の冬は冷え込みそうだ。何てったって10月でこの気温なのだから。


帰宅してパンを冷蔵庫の1番上の段の左側に置いき、部屋に戻って読書を再開する。

それから2時間経ったが結局誰も訪れてこなかった。家族すら帰ってこない。あいつらどこに行ったのだろう。まさか俺を抜いて一泊二日の温泉旅行にでも行ったというのか。それはあまりにも薄情すぎる。だって俺誕生日だぜ?本日の主役だぜ?


しかしその可能性以外考えられない。だって遅くなるときはいつも連絡が必須な過保護な家庭だ。おそらく俺が忘れていただけなのだろう。

そうだ、思い出した。確か誕生日は大学の友達が祝ってくれるに決まってるから家族での誕生日パーティーを断ったのだった。そうに違いない。


彼には本当にそんな記憶あったのだろうか。いや、自分の都合にいいように作り上げただけなのだろう。


家族にそこまで言ったというのに誰にも誕生日を祝ってもらえないなんて情けなさすぎる。

情けなさから項垂れていたとき、俺の腹がさらに情けない音をだした。そういえば、昼食も食べていなかったな。意識しだすととたんに空腹に耐えられなくなってくる。ちょうどさっきコンビニに行ったときについでに買っておいたカップ麺がある。湯を沸かしてそれを食べよう。

彼は台所に向かい、湯を沸かしてカップ麺を食べた。流しにある大量のカップ麺の亡骸には目を向けない。


その後、俺はシャワーを浴びて部屋に戻った。明日は1限から大学だ。朝からあいつらに文句を言ってやる。明日の昼飯は奢らせるしかないな。布団の中でそんなことを考えているうちにいつの間にか眠りに落ちていた。


ずっと置きっぱなしだった彼のスマートフォンには電気が送られていない。

午後10時半、彼は誕生日が終わる前に記憶を、意識を殺した。


2ヶ月前に起きた商店街無差別殺人事件の犯人が12月10日、精神異常であったと診断された。

〇〇被告は10月11日午前、△△県□□市の商店街にて、突然肩にかけていたギターケースから猟銃を取り出し、無差別に乱射した。被告は本屋、ケーキ屋、服屋等を回りながら銃を撃ち続けた。この事件により、山田さん一家を含むを3人の死亡者、5人の軽傷者が出た。


10月11日、今日は俺の誕生日だ。


今日も生気のないスマートフォンは彼に、山田に現実を知らせない

読んでくださってありがとうございました。最近アイデアはあるのに文章力がないのがなやみです。

誤字脱字は指摘いただけたら嬉しいです。


ちなみに作中の時間軸はクリスマス前です。

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