生きている
みんな死んだ。
俺は生きている。
2100年、世界は終わった。いや、人間の歴史は俺で終わる。
太陽が燃え尽きた訳でも無く、地球が爆発した訳でも無く、宇宙人の侵略でも無い。
世界は混乱に満ちた。皆は武器を取り、互いを殺し始めた。
俺も武器を取った。そして、戦った。
意味なんて無かった。ただ、人間は汚れ過ぎていた。
ある者は殺す事が快感となり、ある者はドラッグが無ければ生きて行けなくなり、またある者は金を手に入れたいがために数々の犯罪を繰り返した。
そして皆は気付いた。全員殺してしまえばいい。そうすれば好きなだけ殺す快感を楽しめる。そうすればドラッグがタダで好きなだけ手に入る。そうすれば金を好きなだけ手に入れられる。
もう人間に後の事を考える知性は無かった。欲求を抑える理性も無かった。
そして、全て始まった。
自分の欲しい未来を手に入れるため、そして自分の身を守るため、世界最後の最悪の戦争が今、始まった。
俺は必死で戦った。ドラッグが欲しかったのだ。
2ヶ月間、戦争は続いた。
そして今、地球上に残っている人間は俺だけだった。
「皆どこ行ったんだ?」
わかっている。全て。それでも俺は呟いていた。
ドラッグは好きなだけ手に入った。この戦争で只一人生き残った。
しかし、意味がわからなかった。地球一面にある死体の山を見ると、ドラッグの事などどうでも良くなっていた。
「助けてくれ……。助けてくれええぇぇぇ!!!!!」
禁断症状とパニックで過去に無い程の恐怖が俺を襲った。
「ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」
俺は生きている。
恐怖に襲われながら、この地球上に只一人、俺は生きている。
めちゃめちゃブラックです。俺の心並にブラックです。でも、実際に起こる可能性は微塵も無いでしょうが、ゼロではありませんよね?