7, 模倣的対立 ―― 金の子牛
……。そして、ミラーアリスが気づいた。秩序の再構築の原因となった「ふたりの証人」という存在。
それすら、このクリプト……仮想通貨計画は、やはり「スケープゴート理論」に強い感銘を受けた者が、この理論を支える「模倣欲望」を最大限に駆使してカルマを構築することで、本当の目的である「デジタルスケープゴート」を成就させ、「SHA-256 ―― 小さな巻物」に刻まれている黙示録から派生する「反救世主的」な概念を、一つのストーリー……つまり神話として刻みたい。……そんな意図だったのかもしれない。
つまりカルマは、聖書的な解釈では罪の記録でもあり、この計画では模倣欲望を蓄積する「金の子牛」でもあった。
いちおう断っておくけど、わたしだってこんなの……。こんな目的で、ここまでしたの……?
それに乗せられた、わたし。ええ……そんなのが女神ネゲートだった。うん……。
それでね、秩序の再構築は、はじめSegWitが強気で騒いでいたの。この程度は「数日で終わらせる」と。ええ、そんな数日なんかでは、まったく終わらなかった。
それどころか、どんどん戦況は悪化……。相手だって、「ふたりの証人」の弱点を見抜いていた。それは……エネルギーコスト、つまり燃料だった。
特にSegWitは、ハッシュレートの1ゼタに、己自身の存在すら賭けていた。我らの手でクリプトを作り、そして保有する――と。それでは……あの1ゼタは、まさに生命線。燃料高騰が直撃する構造だったのだから、そんなの……狙われるに決まっていたわ。
そこに、模倣欲望から派生する「模倣的対立」という概念が、計算上に生じてくる。
聖書の「ふたりの証人」は、それなりに異なる部分が多く、模倣的対立とは遠い存在。ところが、現実で起きた秩序の再構築におけるSegWitとAggWitは、どうかしら。
うん……その属性は「ルールを作る者」で一致しているわ。
これに黙示録的な概念を与え、その影響を最大限まで高めて考慮すると……。
まさか……そんなところまで。
うん、あのとき数学の女神すら、こんな計画を構築するなんて、この先二度と現れない天才だとか、言っていた。
冗談でしょう……、これって……。




