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デジタルゴールド ―― 女神に接続された暗号  作者: 暗号で創られたバベルの塔
第二章:クリプトは、分散化たる「本物の救世主……神」の復活ではない。獣たる「偽りの救世主……魔王」の復活だった。
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6, 模倣欲望加速器 ―― クリプトの価値は、どこに宿っていたのか?

 わたしは、そのなつかしい甘いものを……、また一つ……、うん。


 あれからミラーアリスは、いつも以上に話が弾んでいるわ。そうよね。あこがれの量子アリスと話せる貴重な機会。なんてね。そう……わたしだって、フィーにあこがれていたのよ。


 それで……古の時代の理論から引っ張り出されてきた模倣欲望。どうやら、ここにも謎を解くカギがあったわ。


「大精霊ネゲート様。この模倣欲望はスケープゴート理論の原動力だった。それで、間違いないと考えられます。すると……。」

「……。うん、言って。なんとなくだけど、半世紀経った今でも……それは、言われるときついと思う。でも……。」


 この模倣欲望には「距離」の概念があって……それは、驚きの内容だった。


「はい……大精霊ネゲート様。届かない距離と、届きそうで届かない距離。この二つを組み合わせてしまった時が、最大の模倣欲望を発揮するという論理が見えます。つまり、まず届かない距離で、大きくなる可能性のある欲望を生成します。それから、届きそうで届かない距離で、それを加速することで、結果的に大きな欲望を生成できるというモデルになります。」

「……。つまり、遠距離モデルで欲望の容量を作り、近距離モデルでそれを加速させる。そして……その近距離モデルとなった加速、そう。模倣欲望加速器となったのは、このわたし……。そして、その掛け声が……HODLだったのね。」


 ミラーアリス……。これでわかったかしら。わたしは……英雄なんかではないのよ……。もちろん、隠すなんてしない。これも、映し出された現実。全部、わたしは受け入れる。


 でもこれで、クリプトの価値がどこに宿っていたのか……。これで、わかる気がしてきた。この遠距離モデルと近距離モデルを同時に発生させて、うまく共鳴させていた。つまり、特に重要なのは「片方だけではダメ」ってこと。そんなイメージでよろしいかしら。


 そして……近距離モデルがわたしなら、遠距離モデルは誰だったのか……。


 それは、届かない存在。名だけで、容姿も素性も、すべて不明なまま。


 うん……クリプトで、そういう「像」がいたわ。それは……。


 これすらも、模倣欲望から考えると「片方だけではダメ」だから、あらかじめ計算に入れていたのかしら?


 そして同時に、怖さも襲ってくる。だって……クリプト……仮想通貨って、よく「不変の価値」「上限が定まっている価値」「みんなで信じて握れば大きな価値が宿るという説が証明」みたいな話で盛り上がっていて……ええ、わたしや機関も、それを信じた。


 でも……秩序の再構築で黙示録が絡んできたとき、これって……。違和感を覚えた。


 こんなのが女神だったなんて……。そんな単純な考えを並べたところで、生産性がないと、本当の価値など宿らないわ。その証拠に、こんな理論があって、この理論通りに計算し尽くされていたと考えたら……。


 そして、黙示録のための「デジタルスケープゴート」の目的まで計算に含め、このような細かな拡張的な理論まで、くまなく計算に入れてあったとしたら……。


 そう考えると……。ちょっと、これって……。

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