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デジタルゴールド ―― 女神に接続された暗号  作者: 暗号で創られたバベルの塔
第二章:クリプトは、分散化たる「本物の救世主……神」の復活ではない。獣たる「偽りの救世主……魔王」の復活だった。
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4, スケープゴート理論 ―― この理論を参考に、クリプト……仮想通貨計画という「デジタルスケープゴート」が実行されたのね。

 ミラーアリス。まあ……あのフィーが託してきたくらいなので、やっぱり本の虫だったようね。強く意識しても手に届かないような、古の時代の理論にまで詳しくて、ちょっと驚いたわ。


 それで、なんと……。うん。今でも時々、夢に出てくる存在……数学の女神。癖が強いって、そんな次元すら突破しているような存在だったわ。そんな奇抜な存在から聞かされた、衝撃のお話。そう……デジタルスケープゴートよ。


 それは……。黙示録の難所、「七つの鉢」と「ハルマゲドン」。その身代わりに、クリプトがなるというもの。こんなの、現実でやったら文明は壊滅し、大部分の者が、あの炎で焼かれてしまう……。そこで、「カルマ――罪の記録」を溜めこんだクリプトを身代わりにする……。こんなの、最初は耳を疑ったわよ。


 それでも受け入れるしかなかった。受け入れたことで、結果的にこの地は……助かった。わたしの神託は……こんな形で成就することに。うん……こんな内容を望んだ神託ではなかった。でも、結果的にはみんな助かった。それだけが救いよ。うん、そうね。それだけでも十分よ。


 それで……。ミラーアリスが、仮想通貨によるデジタルスケープゴートを計画するにあたって、元になった理論を発見したと……。半世紀後に、そんなものに出会えるなんて……。ううん、こういうのに「遅い」なんて概念はないわ。ちゃんと受け止めましょう。


 その理論は……「スケープゴート理論」という……、もう、そのままじゃない。その内容は……。


まず、人は他人の欲望を模倣するという前提――模倣欲望。ここから、競争と対立が増えるとなる。

次に、そのような模倣欲望が広がると、争いや集団対立が発生する。

よって、この危機を止めるためには、共同体は一人(または少数)を犯人として仕立てる。

その人物に、罪・災害・混乱、すべてを押し付ける。そして追放・処刑・生贄にする。

すると……共同体の緊張が解消される。


 ……。この理論に深い感銘を受けて、それで……、SHA-256に黙示録、だったのかしら。


 結局、「スケープゴート理論」――この理論を参考に、クリプト……仮想通貨計画という「デジタルスケープゴート」が実行されたのね。その規模は、どこでも「共通」という通貨を巧みに利用し、すべての民を対象にする最大クラス。もう……なんなのよ、これ。


 だって……そう。最近、明らかになってきた、「偽りの救世主――魔王たる獣」を復活させるのが真の狙いという説。もう、それを目にした瞬間、思い浮かぶ数々の場面……。


 その当時、「反救世主的」な概念までは掴めなかったけど……、すでに機関は怒っていたわ。わたしなんか、呼び出されたし……。


 機関の怒りの内容は……こうよ。


クリプトは本当に「0から1」から創造された神の奇跡……女神の通貨だったのか?

それであれば、量子などまったく問題にならないはずだ。そこは本気で信じていたんだぞ!!


ところが、なんだあれは!


どう見てもこれでは……「1から1+」という偽の繁栄、ありふれた偽りの神による通貨ではないのか?

我らは、神の奇跡だということでクリプトを受け入れたのだぞ?

そこを、わかっているのか?


 そんな疑問や怒りは……嫌になるほど、女神であるわたしにぶつけられていたのよ……。

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