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デジタルゴールド ―― 女神に接続された暗号  作者: 暗号で創られたバベルの塔
第五章:ハルマゲドンハッシュ関数 SHA-256
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27, スコフィールド注釈付聖書 ―― SHA-256に浮かび上がる刻印の最下層に存在

 わたしは……重い決断を迫られていた。


 だって……フィーに、事の真相を聞かなければならないから。


「ねえ……フィー。これから聞くことには、正直に答えて。もちろん、それがどんな答えだったとしても……フィーは、フィーよ。あなたが大精霊としての役割を全うするために、民のためにやったことなんでしょう? 全部、受け入れると約束するわ。だから、お願い……。」

「……、……、……。わかったのです。でも……。」

「それでね、これだけは言っておくわ。嫌いになんか、絶対にならない。だって、今までずっと……。」


 ――そこで、言葉が詰まる。


 だって……だって……だって……だって……。


 ……だって!


「……。わたしは、ネゲートが……最も輝いていた女神だと思っているのです。」

「えっ? ちょっと……。ちょっと! こんなにもダメな女神だったわたしが、輝いていたって……?」


 な、なによもう……。


 こんな状況で、お世辞や皮肉なんて……やめて欲しいわ……。


「いいえ、なのです。誰にも縛られず、自由奔放だった女神ネゲート――それこそが、最も輝いていたのです。たしかに……途中、色々とありました。でも、女神ネゲートの神託は……見事に成就したのです。どこにも縛られずに神託を成就させるなんて、本来はあり得ないこと。そのおかげで、今があるのです。それなのに、なぜ否定するのですか。あの『秩序の再構築』は……。その神託のおかげで、みんな……助かったのです。」

「えっ……? ちょっと、そんなこと……急に……。」


 わたしは……。案外、ダメな女神ではなかった……?


 ……ううん。


 こんなときにまで、そんな甘さが出てくるなんて……。ダメ……ダメよ。


「ところが、わたしは……見ての通りです。結局は……『傀儡』とでも言うべきなのでしょう。」

「傀儡って……、何を言い出しているのよ……。やめて、そんなこと……。」


 ……。そして――。


 フィーは、書庫の奥へと歩いていく。


 やがて、奥深くに眠っていたと思われる一冊の書物を取り出し、戻ってきた。……震えが止まらない。


 こういう待ち時間は……本当に苦手。


 そして――。


 その書物が、わたしの手に渡された。そのときのフィーの表情といったら……もう……。


 ……。


 その表紙に刻まれた文字を見て――。わたしは、息を呑んだ。それは……。


『スコフィールド注釈付聖書 ―― SHA-256に浮かび上がる刻印の最下層に存在』


「……。フィー……、どういうこと……これは……?」


 聞き慣れない――「スコフィールド注釈付聖書」。……でも、問題はそこじゃない。


 その後ろよ。


「SHA-256に浮かび上がる刻印の最下層に存在」って……なによ、それ。


 この書物が書かれた時点で、すでに――SHA-256刻印の存在を知っていたってことよね?


 ……ううん。違う。


 知っていた、なんてものじゃない。


 この書物の年代から考えて、これは――。


 そうよ。


 SHA-256に、刻印を――仕掛けた側。


 つまり、SHA-256に「スコフィールド注釈付聖書」を刻み込んだ、その勢力側の書物だわ……。

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