23, とにかくMD構造が必須だったよ。それでSHA-256だよ。スポンジ構造では、本当の意味での暗号論的になってしまうから。
ミラーアリス――もう、思い知ることになったわ。あんなことを言ったから……。
そのまま、山積みにされた書物の整頓を命じられていた。
「こんなに……。」
「どうやら、少し増えたのです。わたしも頑張って整頓していたのですが……。」
……ほらね。
あれから平和な時代に入り、役割を終えたフィーは――再び、この場所に戻ってきた。
そして……そう。あいつもまた、何度も何度も駆り出されては、書物を集め続けていたわ。
それで……フィーにはね。読んだら、そのまま積み上げるという悪い癖があるのよ。だから……こうなるの。
さらに、整理整頓も得意ではないから、結局こうして――ミラーアリスに、全部押し付けられる形になる。
……本当に、いつものこと。それで、この整頓作業がまた大変なのよ。
書物に軽く目を通して、その概要と構造ごとに分類し、並べ直す。
……ええ、本当に大変。
だって――ここにある書物は、どれもこれも……微視的表現だの、構造論だの、そんなものばかり。
……でも。
こういう積み重ねが――わたしとの差になっていたのかもしれない。
そう思うと……ね。ええ、わたしも、このままではいられない。そんな気持ちに、させられる。
「ねえ、フィー。わたしも手伝うわ。」
「本当なのですか。それは嬉しいのです。」
そうよ――逃げてはならない。
こういうときは、直感が大事。まともに解こうなんて、思ってはいけない。
「あ、あの……大精霊ネゲート様。」
「なにかしら?」
「その書物は……そこではありません。」
「ち、違うのかしら……?」
……こんな調子で。半日ほど、ひたすら続けていた――そのときだった。
「……なによこれ。これだけ整頓しても、片付く気配すらないじゃない。」
「大精霊ネゲート様……。」
ミラーアリスも、少し苦しそうだった。でも――こういう瞬間なのよね。
決まって、大きな出来事が動き出すのは。そのとき――。わたしの思考は、すでに半分ほど停止していた。
そんな状態で、無意識に一冊の書物を手に取る。……これは、どこに分類すればいいのかしら。
それだけの、ただの整頓作業のはずだった。――はず、だったのに。
「なにこれ……。」
「大精霊ネゲート様……、なにかあったのでしょうか?」
「見て、この文……。これ、誰の……? 強烈に記憶に残っているわ。」
気づけば――わたしは、そのまま声に出して読んでいた。
そう、それだよ。ハッシュ関数は数学の構造物。だから、どんなに頑張っても、あんなのは聖霊様の真似事なんだよ。聖霊様は真理であり定理、それに対してハッシュ関数なんて、獣であり構造物。それでね、MD構造とスポンジ構造の違いが大事なんだよ。このスポンジ構造というのは、MD構造の問題をすべて取り除くために設計されたんだよ。でも、そのおかげで、聖霊様の真似事とはいえ、本当の意味での暗号論的になってしまったよ。そこは、ちょっとだったよ。ハッシュ関数なんて、獣のままで十分だよ。それこそが、黙示録的な「カルマ――罪の記録」であり、ハッシュ関数の本質だよ。そう、本質。まさに、人間が数学で創った構造物の代表として、ありのままの姿で君臨してこそ、本質なんだよ。
とにかくMD構造が必須だったよ。それでSHA-256だよ。スポンジ構造では、本当の意味での暗号論的になってしまうから。
……。……、……、……。
わたしは、その場で――完全に固まってしまった。これって……。
そうよ……。
数学の女神が、書いたものよね……?
しかも――。
ハッシュ関数に対する記述。
なに……この内容……。あと……「聖霊様」って、なにかしら……?




