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デジタルゴールド ―― 女神に接続された暗号  作者: 暗号で創られたバベルの塔
第一章:クリプト採掘の跡地 ―― 燃料高騰の不覚。手の内は、最初から全部読まれていたなんて、ね。
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1, わたしはね……。「秩序の再構築」という危機から、この地を救った英雄なんかじゃないわ。ただの傲慢な女神だったのよ。

 今でも時々、思い出す……。ううん、忘れてはならない。そう……それは「秩序の再構築」よ。


 当時、暗号論的と呼ばれていたハッシュ関数SHA-256には、刻印が刻まれていた。そして、その刻まれていた内容は――聖書の終末概念……黙示録を、まるで再現したかのように現れた存在。Segregated WitnessとAggregated Witness。


 それは――「ふたりの証人」。つまり、預言者たちを示していた。


 ええ。暗号論的な関数として役割を果たすには、意味が解釈可能な刻印など論外よ。それだけでも、ゴミ箱行きのリストに入るでしょう。もともと、暗号とはそういうものなのだから。


 なぜって? 暗号学の教科書の1ページ目には、こう記されているからよ。


 「統計的性質を完全に消し去ること」と……。……。


 それから、もう半世紀が経った。あれから無事、平和は継続しているわ。


 もちろん今でも、なぜあんな非常事態に陥ったのか。その議論と研究は、最優先事項として続けられている。当然よ。


 危うく、すべての文明と一緒に、大部分の民が……。あの炎に包まれながら……。そうなりかけたのだから。


 あんなものは、二度と……絶対に……起こしてはならない。


 そして、そんな事態に民を巻き込んだのが――当時、女神だったわたし。こうして今でも、時々……思い出しては、怖くなるの。


 そこから、少しずつ分かってきたことがある。やはり、あの預言者たち……SegregatedというSegWitと、AggregatedというAggWitは、聖書になぞらえた存在だった。


 そのうちAggWitは、炎を操る預言者。するとSegWitは……誰だったのかしら。


 そこでクリプトをよく観察してみると、答えはそこに刻まれていた。なぜか、80を意識した構造。


 そう……。それは、1ゼタというハッシュレートだった。


 計算してみると、約2ゼタないと探索空間が80ビットに届かないようになっていた。


 そして聖書の文脈で80というのは……。あの預言者が、そのご年齢で「神のご計画」へと……。


 つまりそこから先は、神の領域という解釈になるわ。「カルマ――罪の記録」を抱えた獣など、絶対に立ち入りできない。それを見事に、ハッシュレートで再現していたなんてね。


 ううん……。それだけは今でも思うわ。よく、そんな構造を設計してきたなんて……。


 そういえば、ブロックヘッダと呼ばれる構造のサイズも、なぜか80バイトだったわ。前ブロックハッシュとマークルルートで64バイトは確実に取られるのだから、80バイトでは……なんだか小さい感じがする。


「大精霊ネゲート様。わたしみたいなのが……大精霊ネゲート様の従者なんて、本当に許されるのでしょうか? この地を救った英雄……女神ネゲート様。」

「ちょっと、もうね……。わたしはね……。『秩序の再構築』という危機から、この地を救った英雄なんかじゃないわ。ただの傲慢な女神だったのよ。」


 もう、ゆるくないわ。さすがに……。


 これだけ年月が経つと……ずいぶん変わるものね。わたしも、もちろん。そして、この大地も……。


 さて。フィーからお預かりした、この精霊。素直で、とてもいい子よ。こんなゆるくて傲慢だったわたしに託すなんて……もったいないくらい。


 わたしや、量子アリスに憧れていると聞いたわ。……うん。


 それなら……その憧れている量子アリスが頑張っている――「量子ニューラル」と呼ばれるエリアへと向かいましょうか。

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