17, ハッシュ関数は定理じゃない。神の創った構造を「真似た」ものよ。つまり、聖書的な解釈では獣。そんな構造に、聖母を刻むなんて……。異端な信徒。そんなイメージしか、持てないわ。
……。ふたりの証人に続いて、聖母。そんなものまで……。
「大精霊ネゲート様……。」
「ミラーアリス、あと量子アリス。聖母の件は、まだ公にはしないで。伏せておくのよ。これは……深淵に達するほどの、深い深い調査が必要よ。そこは、いいわね?」
「はい、大精霊ネゲート様。」
「もちろんです、大精霊ネゲート様。」
そう……。まだ、刻印の件は終わっていない。
たしかに……ふたりの証人は預言者よ。だから、あの採掘による計算を、聖書的に「祈り」と解釈したとき……それは少し……ううん、やっぱり違う。
そうなってしまうのよ。
なぜなら――預言者に祈るって、変よね。預言者が神に祈る、ならわかるのだけど……。それは、聖書においてもよくある描写だもの。
でも……。
デジタルスケープゴートとしての役割を果たすなら、ふたりの証人 ―― SegWitとAggWitだけで、十分だった。
見事にその役割を果たし、そんな別な解釈でも、わたしの神託を成就させることで……なんとか、こうして、あれから半世紀……。
それから――。
クリプトの塔の跡地に芽生えた希望。小さな、新しい芽。
それを、わたしたちは、ゆっくりと……皆で育んできた。
それは……わたし――傲慢な女神に対する贖罪でもあったわ。
だからね、言い切れることがある。確かなことが、一つだけ。
SHA-256 聖母の刻印 ―― ハッシュ関数は定理じゃない。神の創った構造を「真似た」ものよ。つまり、聖書的な解釈では獣。そんな構造に、聖母を刻むなんて……。
異端な信徒。
そんなイメージしか、持てないわ。
……。
まさか。
そういえば……心当たりがある。
でも……でも……。
秩序の再構築。あれは、あまりにも突然に始まったわ。
あれほど凄惨な状況だったにも関わらず、妙に落ち着いていて……。
さらには……クリプトの塔を土台から焼き尽くしたゼータの雷光すら、笑い飛ばしていた精霊が……。
たしかに、ひとり――いた。




