12, 誰もSHA-3なんてやらない。まだSHA-256が食べ頃なのだから。
捕食者の側から見た嘲笑。そうよ……。
「誰もSHA-3なんてやらない。まだSHA-256が食べ頃なのだから。」
そう。SHA-256だけは途中点がもらえる。つまり、完走がまだ難しい、限られた量子リソースであっても、途中点がもらえるため、研究が進んでしまった。そして――それが元凶。
それで……。SHA-256は西側の暗号でもあった。つまり……それは予想通り、東側は最優先で、いつでもこのSHAファミリーを狙っていた。
そんなのは、SHA-1粉砕の事例から自明だった……。その証拠に、SHA-1の亀裂を最初に発見したのは……東側よ。そして、SHA-256の部分的な量子アニーリング解析成功――つまり途中点についても……東側が成し遂げていたわ。
研究する者にとって、途中点がもらえるというインセンティブ。それは、途中点を得るたびに論文化できる、すぐれもの。それが、SHA-256でもあった。
もちろん、RSAやECDSAだってインセンティブは高めよ。ただ、そのような暗号を量子で研究するには、途中点の概念はない。だから、限られた量子リソースでは、スモールスケールによる完走しかないわ。
でも……やっぱり、何か物足りない。
途中まででもいいから、フルスケールで対応してみたい。
そうなると……SHA-256に絞られるのよ。
「フルスケールで挑みたい」という、研究する者たちの本能が、SHA-256という名の――「途中点だらけの巨人」をターゲットに選ばせた。
そんな感じ……。そう……。
これらが、SHA-256は食べ頃という、本当の意味だった。
それなのに、わたしは……。
SHA-256は256ビット。量子グローバーでも√Nだから128ビットにしかならない。そんなの、量子で干渉するなんて無謀。つまり、何の問題もないと……。勘違いしていた時期もあったわ。
うん……もう隠さないわ。本当だもん……。
こんなのが女神だった。
それもまた事実よ……。




