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デジタルゴールド ―― 女神に接続された暗号  作者: 暗号で創られたバベルの塔
第三章:SHA-256(Secure Hash Algorithm 256-bit)に刻まれた刻印 ―― 黙示録
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10, SHA-256 刻印の構造

 あら……。ミラーアリスが、量子アリスに次々と質問を投げていたわ。そのうち、最も興味が高いと感じられたのが……そう、SHA-256 刻印の構造について。


 どうやらミラーアリスは、意味を解釈できる刻印が、SHA-256の「設計図……コード」に埋め込まれていたものだと勘違いしていたわ。ううん、そうではないのよ。


 仮に、SHA-256のコードに対して直接、黙示録という内容が誰の目から見てもわかるように刻まれていたのなら……そんなのはね、即座に使用中止に追い込まれているわ。なぜなら、SHA-256などの暗号は、その中身……コードがすべて公開されているからよ。


 そうね……。なぜ、使用中止に追い込まれるのか。それはね、これが暗号だったから、なのよ……。


 暗号とは、そのコード内部を含め、どんな状況においても予測不可能でなくてはならない。そういう掟があるわ。


 だから、コードに埋め込まれる各定数すら、素数の平方根や立方根などから、決められた手順によってのみ生成する。つまり、「袖に何も隠していない」――そこが最も重要なの。


 ミラーアリスは、そのことを知って……驚愕していたわ。それなら、SHA-256のいったいどこに、終末の日を連想させる「黙示録」が刻まれていたのだろうか。


 そんな目で……わたしを見つめてきた。


 うん……さすがはフィーが託した精霊だわ。それなら、出力ハッシュ値では……? それも聞かれたわ。


 でも、それも違うのよ。そんな出力ハッシュ値に刻印を刻んでも……それはただの確率論。だって、ハッシュ値の数字の並びなんて気にし始めたら、確率的にいくらでも作れてしまうでしょう。


 そうよ。これは、クリプト……仮想通貨計画としてのSHA-256だった。


 それらしく、そう簡単には絶対にわからないように仕掛けてあるわ。ええ、そうよ。


 いくらコードを眺めたって、絶対に出てこないのよ。そんな場所にね……刻むわけがないから。


 まあ……改めて見直してみても、刻印の刻み方として、よくもまあ、こんな構造を思いついてしまうあたり……何とも言えないわね。


 そうなの。それは……「構造」として刻み込まれているのよ。


 それでも、ハッシュ関数は決定論的。


 構造は変えられないから……そんな刻み方でも、手順さえ知っていれば、ずっと出続けるのよ。その……「終末の日」が。


 さらにね。工夫しないと辿り着けないようにもなっているの。


 それが……SHA-256の刻印……、黙示録だった。

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