9, 燃料高騰という高すぎる代償
「秩序の再構築」で最も困ったのは……そう、燃料。でも、でも……そんなのは始まる前からわかっていた。それでも、そのような非常時に備えた燃料は必ずあった。そう……あったはずなの。
さらに付け加えれば、SegWitの地域にはもともと、燃料……エネルギーが豊富にあった。それなら焦る必要はないはず。ところが、それは相場で決まる。いくら自分の地域に燃料が豊富にあるからといって、その相場を操作し放題……というわけではなかったのよ。
それで……。燃料代が、そう。秩序の再構築の影響で、大寒波並みの額までに迫っていた。ええ、そんな大寒波はいつものことで、ある程度は織り込まれたイベント。まあ、その間、事業を止めてエネルギーの節約に協力した者には、その対価が支払われるなどで、うまくやっていたわ。
ところが……。今回は、先の見えない高騰よ。でも、ね。わたしではなくて、自分で引っ掻き回して、この結果。それで燃料が、外から入ってこなくなった。
でも、そうなの。SegWitの地域にはもともと、燃料……エネルギーが豊富にあった。つまり、高騰した分を払えば、エネルギー的に詰むことはなかった。差額分は、エネルギー還付のような仕組みだってあったのに。ただし……。
やっぱり、そうよね。あの1ゼタ……。そこにエネルギー還付なんて、難しい。ええ、無理よ。そんな大義名分なんて得られないし、そもそもビジネスなら、燃料代の変動もリスクのうちよ。
ただでさえそれは、量子グローバーからの防衛目的でのみ稼働していた。そこに持続可能な利益など、期待できなかった。つまり、新しい何かの仕組みに移行できるまで、高騰した燃料を注ぎ込んで回すしかない……。そんな状況。その終わりが見えないという……。
それで……。入ってこなくなった燃料を何とか確保しようと、SegWitはすぐさま、あの行動力で動き始めたのよ。そう……。
市場原理では解決できない「高すぎる燃料代」を、力で無理やり抑え込むことだった。
クリプト戦略だけは維持しなくてはならない。そんなの……相手に見透かされていたのよ……。
「燃料供給の安定には、そうだな……。まずは、『この地の主要な大精霊』に協力してもらうときが、きた。」
「ちょっと……、巻き込む気、なの……?」
「なんだ、女神よ。『この地の主要な大精霊』は協力して当たり前だろ。共に、行動しているではないか。」
「なによそれ? しかも、その目的は1ゼタ維持……とかよね? もう、情けなくなってきたわよ……。」
「まったく……。女神に仕事をやると、俺様は言っているのだぞ?」
「な、なによ……。仕事って……。」
その瞬間、わたしの全身を、嫌な予感が駆け巡った。
「今すぐにでも、『オリーブの葉と花を編み込んだ花冠』――その立場で登壇し、協力するように、そう伝えるのだ。いいな? わかっているとは思うが、クリプトは『女神の神託』でもあるんだぞ。そうだ、神託の成就ためなら、ここは動くべきだろ?」
……。頭の中が真っ白になった。
もうこれ……。分散化という「本物の救世主……神」の復活だったはずが、獣という「偽りの救世主……魔王」の復活……だったのかしら。
もう……そんな気分に浸ってしまうほどだった。




