プロローグ
小さな、新しい芽。
あの日……。クリプトの塔の跡地で見つけた、小さな希望。そして、再起の象徴。
それから、半世紀……50年もの歳月が流れた。
あの頃は女神だった……わたし、ネゲートよ。ところが、終末の日の衝撃によって、わたしの神託は成就し――
女神としての役割を終え、大精霊へと戻った。
消滅しない限り、同じ容姿のまま生き続けるのが、わたしのような存在。50年でも、500年でも……そう、ずっと見守り続けることができるのよ。
それで、神託が成就したのなら、女神として成し遂げたのか。
……ううん、違う。
偶然、そうなっただけ。
その神託の内容は、非中央と呼ばれる仕組みで、民が互いに支え合うというもの。
それは、クリプト……デジタルなゴールド。
ところが……。
そう、その構造が。
中央の象徴とも言える「天に向かってそびえ立つクリプトの塔」を抱え込んでしまった。
……そこから、すでに間違っていたのよ。
そのクリプトの象徴は、この地の「カルマ――罪の記録」の身代わりとなる形で、ゼータの雷光によって粉砕された。
うん……。その姿は、まさにデジタルスケープゴート……贖罪の山羊だった。
その贖罪の山羊が、この地のすべての罪を背負い、カルマを清算したことで――
わたしたちは、あの炎に焼かれずに済み、助かった。
言い換えると、そう……。クリプトのカルマによって、わたしたちは……助かったの。
これこそが、わたしの神託の成就の真実。……。




