第1章38話:宴
街に帰還したあと。
フィオネたちは、まずジャランを病院へ送り届けた。
そのあと冒険者ギルドに報告に行く。
ギルドのロビーに入ると、すでに多くの冒険者や衛兵たちが集まっていた。
スタンピードの防衛に参加した者たちだ。
「おお、戻って来た!」
「ギルマスが帰ってきたぞ」
冒険者たちが歓声を上げる。
ギルドマスターが受付に向かい、カウンターに背を向け、冒険者たちのほうを向いて報告をおこなった。
「ナナブロスダンジョンは攻略完了! ダンジョンコアに触れたことでダンジョンも消滅した!」
「おおー!!」
冒険者たちから歓声が上がる。
さらにギルドマスターはフィオネを紹介する。
「その最大の功労者は、ここにいる新人冒険者フィオネだ。彼女がダンジョンボスを倒し、スタンピードを解決したのだ! 皆、ぜひ彼女の功績を讃えてほしい!」
すると冒険者たちから拍手や口笛が飛んだ。
「新人冒険者だって?」
「やるじゃない!!」
「街を守ってくれてありがとよ!」
「Dランクダンジョンのボスを倒したのか。すげーな」
「大型新人だ!」
めちゃくちゃ褒められる。
フィオネは少し照れ臭くなった。
受付嬢が言った。
「ダンジョン攻略班のみなさん。本日は、本当にお疲れ様でした」
ギルドマスターが応じる。
「ああ。詳細な報告書は後日提出する。今日のところは、まず打ち上げをしたい。準備を頼めるか?」
「承知しました。では飲食スペースを解放いたします!」
受付嬢が準備を始めた。
そして夜。
ギルド内の飲食スペースで宴がおこなわれることになった。
料理や酒が運び込まれる。
テーブルには肉料理、パン、果物、野菜料理などが並ぶ。
大きな樽からはエールが注がれていく。
ギルドマスターが声を張り上げた。
「よし! みんな! スタンピード制圧の成功を祝って、乾杯だ!!」
「「「「うおおおおおおおおおおおお!!!」」」
冒険者たちが一斉に歓声を上げる。
樽ジョッキを掲げたり、仲間と打ち合わせたりした。
酒宴が始まった。
フィオネは、エレク、キルティアと一緒に端のテーブルに座った。
「フィオネは酒が飲めるのか?」
とエレクが聞いてきた。
「ええ。実は昨日ちょうど、20歳の誕生日を迎えたところよ」
「マジか。じゃあちょうどいいな。初酒だ!」
エレクが嬉しそうに笑った。
キルティアも微笑む。
「誕生日おめでとうございます、フィオネさん」
「ありがとうございます」
フィオネはジョッキを手に取る。
3人でジョッキを掲げる。
「じゃあ……乾杯!」
「乾杯!」
「乾杯!」
樽ジョッキを打ち合わせる。
フィオネはエールビールをごくごくと飲んだ。
ほろ苦く甘い味わいが口の中に広がる。
前世でも飲酒経験はあったが、この異世界では初のお酒だ。
「ふわ~……」
胃にじわりと熱が広がる。
まあまあ度数が高いんじゃないか、このエール?
でも味は悪くないね。




