第1章36話:宝物部屋
回収が終わったら2人のほうへと歩いてきた。
フィオネは尋ねる。
「大丈夫だった? 2人とも」
「あ、ああ……大丈夫だ」
「私も、怪我などはありません」
と2人は応じる。
エレクは言った。
「すごかったな。魔将を倒したなんて大事件だ。街に戻ったら英雄扱いされるぞ」
「ん……目立つのはあんまり好ましくないかも?」
「それは無理でしょうね」
とキルティアは肩をすくめた。
フィオネは告げた。
「まあ目立ったときは、適当にやり過ごすことにしましょう。……ともかく、魔族討伐も済んだことだし、宝物部屋にいきましょうか」
2人はうなずいた。
そうしてフィオネたちは奥の扉へと向かうのだった。
扉を開けると、そこは奥まった小部屋だった。
宝物部屋だ。
部屋の中央左には豪華な装飾が施された宝箱が置かれている。
部屋の中央奥には青白く光るクリスタルがあった。
(あれがダンジョンコアね)
とフィオネがつぶやく。
ダンジョンコアをじかに見るのは初めてである。
エレクとキルティアも部屋に入ってきた。
(ダンジョンコアに触れると、ダンジョンが崩壊を始める。だからまずは宝箱からね)
とフィオネは思いながら、宝箱に近づく。
エレクがフィオネの横から宝箱を見ながら告げた。
「さあ、何が入っているかな」
「開けてみるわね」
とフィオネが応じた。
錠前はかかっていない。
蓋を開けた。
中には――――
一本の剣が収められていた。
美しい白銀の刀身。
赤と黒の色が混ざった宝石がはめられた柄。
格好いい剣である。
「剣、ですね」
とキルティアがつぶやく。
フィオネは鑑定魔法を使った。
(―――――鑑定)
すると、剣の情報が脳内に流れ込んでくる。
◆◆◆
【獅子宝剣レオブラッド】
ランク:Cランク
攻撃力:420
特殊効果:魔力を増幅できる
◆◆◆
(レオブラッド……Cランクの武器か。特殊効果もついてる)
特殊効果がついている武器はレアである。
魔力を増幅できる武器か。
どんな使い道があるだろう?
すぐに思いつかない。
まあでも、攻撃力の高さだけでも貴重ではあるだろう。
「ね、この武器、私が貰ってもいいかしら」
とフィオネは告げる。
エレクが肩をすくめる。
「そりゃあ、当然お前が持っていくべきだろ」
「このダンジョンを攻略したのは、実質フィオネさんですしね」
キルティアもそう述べた。
「じゃあこっちはエレクにあげる」
フィオネは【ストームソード】をエレクへと差し出した。
レオブラッドがあるなら、ストームソードはもう要らないからだ。
「……いいのか?」
「ええ。どうやらこっちの武器のほうが強いみたいだしね」
とレオブラッドを見ながらフィオネは告げた。
エレクはストームソードを受け取った。
「じゃあ、有難く」
フィオネもレオブラッドをアイテムボックスへと収納した。
宝箱の中身は回収できたので、ダンジョンコアに視線を向ける。
「さて……」
ダンジョンコアに近づくフィオネたち。
青白く光るコア。
直径30センチほどのクリスタル。
ダンジョンコアは、ダンジョンの核になっている物質とされている。
ダンジョンコアに触れるとダンジョンが消滅する。
その時点でダンジョンの中にいた人たちは全員、強制的にダンジョンから弾き出される仕様だ。
ダンジョンコアは不思議なクリスタルであり、専門家たちによる研究もおこなわれているが……
詳しいことはほとんど未解明である。
(ダンジョンコアは異世界における最大の謎の一つなのよね)
フィオネはダンジョンコアに触れようとした。
しかし直前に、思うことがあった。
(そうだ。鑑定してみたら、何かわかるんじゃないかしら?)
フィオネの鑑定魔法は強力である。
ほとんど謎に包まれているダンジョンコアの秘密が、解き明かされるかもしれない。
ワクワクしたフィオネは、さっそく鑑定してみることにする。




