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第1章34話:魔将の技


やがて炎が消える。


ガドニウスは倒れていなかった。


全身から煙を立ち昇らせ、火傷(やけど)を負っている。


負ったダメージもかなり大きい。


「馬鹿な……上級魔法(じょうきゅうまほう)を撃ち返してくるとは……!」


ガドニウスが信じられないといった表情でつぶやく。


一方、フィオネはパリィカウンターが決まったことに、脳汁(のうじる)が出ていた。


(パリィカウンター……気持ちいい!!)


彼女はゲームでもパリィが好きだった。


パリィを主体とするゲームでなくても、あえてパリィを使って倒すなどをしていたぐらいだ。


『カキィィィンッ!』という効果音(こうかおん)が鳴るのも最高だ。


野球でホームランを決めたときの心地とは、このようなものではないだろうか。


だから彼女は言った。


「ねえ。もっと撃ってきていいわよ、ソレ」


「!?」


ガドニウスが目を見開いた。


「何度でも打ち返してあげるから」


パリィを決めるのが気持ちいい。


だからもっと撃ってきてほしい。


フィオネは正直な想いを述べただけだ。


しかしガドニウスにとっては、自身を愚弄(ぐろう)する言葉に他ならない。


「もっと撃ってきていい……だと?」


アドラフレイムは大魔法(だいまほう)


ガドニウスの切り札の一つ。


それを食らった人間は恐れ、泣き叫び、死すべきなのに。


追加の攻撃を望むなど……


「舐めるな、小娘ェエエエエエ!!!」


ガドニウスが憤激(ふんげき)しながら両手を広げる。


次の瞬間。


魔力が爆発的に膨れ上がり、空中に無数の魔法陣が現れた。


黒と赤の魔法陣。


その数は数十(すうじゅう)にも上る。


膨大な数の魔法陣である。


「あれ? さっきの魔法じゃないでしょ、ソレ」


とフィオネが気づいたように言った。


「アドラフレイムでは物足りないのであろう!? ならば、我が誇る最強(さいきょう)魔法まほうを味わわせてやる!!」


「えー」


アドラフレイムじゃないとパリィカウンターができないのではないか?


そう思ったフィオネはちょっと嫌そうな顔をした。


一方、エレクはビビりちらしていた。


「こ、これはさすがにまずいだろ……!」


無数の魔法陣。


凄まじい魔力が集中している。


「退避しましょうエレク! 巻き込まれます!!」


「あ、ああ!」


キルティアの言葉に同意して、エレクたちは大広間(おおひろま)(すみ)へと走った。


ガドニウスが叫ぶ。


「我を愚弄(ぐろう)したこと、死を()って後悔するがいい――――いくぞ。【ベルムント・ファズラム】!!」


詠唱とともに。


魔法陣から、魔法弾が発射された。


一発ではない。


50発、100発という魔法弾が、フィオネに向かって集中砲火を浴びせる。


ドドドドドドドドッ!!!!


轟音と爆発が連続する。


フィオネは結界を張って魔法弾を防ぐ。


ガドニウスのマシンガンのごとき絨毯(じゅうたん)爆撃(ばくげき)は10秒近く及んだ。


膨大な煙が立ち込め、フィオネの姿が見えない。


やがて煙が晴れていく。


フィオネはなんと、無傷で立っていた。


「馬鹿な……!!?」


ガドニウスは驚愕した。


――――【無敵(むてき)結界(けっかい)】。


前世のゲームで使っていた、最上級(さいじょうきゅう)防御(ぼうぎょ)魔法(まほう)だ。


あらゆる攻撃を無効化するチート(きゅう)の結界である。


それにより魔法弾の全てを無傷で防ぎ切ったのだ。


「あれだけの攻撃を受けて……無傷だと!? 有り得ん!! 貴様……本当に人間か!?」


たとえ勇者が相手でも傷の一つぐらいは負わせられる攻撃だ。


無傷でしのぎ切ることができる人間の存在に、ガドニウスは衝撃を受ける。







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