第1章32話:魔将
ガドニウスは告げた。
「我はこのダンジョンの宝物を得るために、この最深部までやってきた」
とガドニウスは目的を説明する。
「その扉の先にある宝物は我がいただく。そして冒険者であろう貴様らは抹殺する。一匹も逃しはしない」
次の瞬間。
ガドニウスは凄まじい戦意と威圧感をにじませた。
エレクとキルティアが恐怖の冷や汗を浮かべる。
「なんて重圧だ……あいつ。明らかにデスファングより強えぞ!?」
「魔将は一般的にBランク以上とされることが多いです。その一匹で街すら滅ぼすことができる、災害級の化け物ですよ!」
険しい声音で告げる2人。
「まともに戦ったらいけません。逃げましょう!!」
「おう!!」
エレクとキルティアがきびすを返して逃亡しようとする。
しかし。
ズドォンッ!!
ガドニウスが魔法を放つ。
炎の壁が、エレクとキルティアの行く手を塞いだ。
「くっ!!」
「我から逃げられると思ったか、愚かな人間どもよ」
とガドニウスが冷たく笑った。
「一匹も逃さぬと宣告したはずだ。貴様らはここで無様に死ね」
簡単には逃げられない。
そう悟ったエレクたちは歯噛みする。
一方、フィオネだけは静かにガドニウスを見上げていた。
彼女は言った。
「死ねと言ったり、宝物は自分のものだと言ったり……いきなり出てきて、ずいぶん勝手なことを言うじゃない?」
フィオネは微笑みながら続ける。
「ダンジョンボスを倒したのは私たちよ。ならば報酬である宝物も私たちのもの。横取りは許さないわ」
「許さない……だと?」
「ええ」
フィオネは目を閉じ、そして開きながら言った。
「私たちを殺して宝物を奪うというなら、あなたも斬り殺してあげるわ。魔族さん」
「なっ……!」
「!!?」
その言葉に驚いたのはガドニウスではなく、むしろエレクやキルティアのほうだった。
「あんな化け物と戦うつもりなのかよ、お前!?」
「フィオネさんがとんでもなく強いのは、もう十分わかってます……でも、さすがに魔将を倒すのは無理だと思います! ここは一度、撤退したほうがよろしいかと……!」
「大丈夫よ。私は負けないから」
とフィオネは言った。
するとガドニウスがくつくつと笑った。
「くくく。負けぬと? 我を斬り殺すと? そうほざいたか、人間」
「ええ、そうよ」
「笑止だ!」
とガドニウスは大笑した。
「うぬぼれ、傲岸不遜。下等な生物に生まれると、己の力量すら理解できないようだな」
ガドニウスは右手に剣を取り出した。
まがまがしき闇のオーラに包まれた長剣である。
すさまじい魔力が込められている。
ガドニウスはその剣をバッと振り払いながら、告げた。
「ならば教えてやろう。人間ごとき劣等が、魔族には決して敵わぬということを……!」
ガドニウスが長剣を構える。




