第1章29話:ボス部屋前
そして。
階段を降り続け……
7層。
いよいよボス部屋まで辿りつく。
「ここが……最下層か」
とフィオネがつぶやいた。
目の前には巨大な扉がそびえ立っている。
石造りの扉。
そこには魔物の彫刻が刻まれていた。
「ダンジョンボスがいる部屋ね」
とフィオネがボス部屋の扉を見上げる。
キルティアが呆れたように言った。
「……結局ここに来るまで、ほとんど魔物と遭遇しませんでしたね。遭遇しても、フィオネさんが一瞬で倒しちゃいましたし」
「俺らの知ってる冒険と違い過ぎだな……まあ、ラクでいいけどな」
エレクが苦笑しながら応じる。
フィオネのマップスキルのおかげで、わずか1時間足らずで最下層まで到達できた。
体力や魔力の消耗も最小限だ。
あとはボスを倒して帰還するだけである。
「あ……そこの壁の裏に宝箱があるみたい」
マップを見ながらフィオネは気づいた。
ボス部屋の右に小さな通路があり、そこの奥に宝箱があるようだ。
ここに来るまで宝箱は全無視してきたが……
「すぐそこにあるし、さすがに回収してくるわね」
「おう」
フィオネは宝箱を開けに行く。
パカッと開いた。
中に入っていたのは一本の剣だ。
少し暗めの灰色をした刀身である。
(剣の種類がわからないわね。こういうときは……鑑定!)
鑑定魔法を使う。
すると鑑定結果がウインドウとして表示された。
内容は以下である。
◆◆◆
【ストームソード】
高い攻撃力と耐久力を持つ剣。
攻撃力が250アップする。
◆◆◆
ふむふむ。
最下層のフロアで手に入る武器だけあって、なかなか強そうな武器だ。
2人のもとへ戻る。
「ただいま。宝箱に入っていたのはコレなんだけど……」
とストームソードを見せる。
「2人とも……要る?」
「私は弓がメインなので要らないですね」
「じゃあエレクは?」
「うーん。まあ強そうな武器だと思うが……お前が使えばいいんじゃないか? ずっとショートソードで戦ってるだろ?」
「まあ、そうね」
ショートソードに魔力をまとわせて使用している。
「さすがにボス戦でショートソードのままってのはマズイだろ。良い機会だ。その武器に乗り換えろよ」
「ふむふむ。じゃあ……私が貰うわね」
「おう」
「異論はないですよ」
2人はそう言った。
フィオネはストームソードを右手に持ったまま、ボス部屋の扉に向き直る。
「じゃあ……ボス部屋、行きましょうか」
「はい」
「いつでも」
フィオネが扉に手をかける。




