第1章25話:罠
3人はすぐにジャランの背中に追いついた。
ずかずかとジャランは通路を歩いていく。
ジャランは先頭を歩きつつ、思った。
(ふン。俺が先頭を歩くことになるとはな。こいつらがモタモタしてるからだ。本当はこいつらを盾にしながら進みたいところだが、さっき同じようにして痛い目に遭った)
ジャランはロウの反逆を思い出した。
(しょうがないから、このまま俺が先頭を歩いてやる。まあ俺の実力なら、魔物が出てきても楽勝だ。怪我も治ったしな!)
ジャランは不敵に笑いながら、自信満々に歩き続ける。
歩く。
歩く。
歩く。
しばらくは魔物のいない一本道だ。
歩きながらフィオネは思った。
(そうだ……念のため、ジャランにもマップを共有しておいてあげるか)
と。
これから一緒にダンジョンを攻略するなら、マップを共有したほうが動きやすい。
そう思ってマップ共有しようとする。
(【マップ共有】対象はジャラン……あれ?)
しかし。
『味方ではないので、マップ共有できません』と表示が出てきた。
ふむ。
どうやらジャランはパーティーに加入したという認定がされてないようだ。
いまだにピンクマークだしね。
(味方じゃないからマップ共有できないのか)
とフィオネは納得しつつ。
(まあいいか。共有しなくても)
と思った。
やがて分かれ道に差し掛かった。
正面に続く通路と、左の道だ。
フィオネはマップを確認した。
(左の道が正解ね。正面には罠が2つある)
フィオネが口を開こうとしたとき。
スタ、スタ、スタ……
と、ジャランが足を止めず正面の道を勝手に進み始めた。
「ちょっと待って。左の道のほうがいいと思います」
とフィオネは忠告した。
するとジャランが歩きながら応じた。
「は? んなもん、どっちがいいとかわかるわけないだろ?」
さらにジャランが嘲笑しながら続けた。
「むしろお前みたいな無能が左と言うなら、それに逆張りしたほうが正解―――――」
しかし。
そのときだった。
ガシャッ。
床の石板が沈む音がした。
「ん?」
ジャランが首をかしげた瞬間。
ヒュンッ!!
壁から30センチぐらいの鉄球が飛び出してきた。
その鉄球がジャランの横腹に直撃する。
「ぐぶほあっ!!?」
ジャランが吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられて倒れた。
痛みにジャランが悶絶する。
ジャランがよろよろと起き上がる。
フィオネは言った。
「大丈夫ですか? だから左が正解だって――――」
「うるせえ! 俺に指図するんじゃねえよ、無能女が!!」
とジャランは叫んだ。
フィオネは押し黙る。
ジャランは続けて告げる。
「もう罠は踏んだから、なくなったはずだ! だからこの道で合ってるんだよ!!」
ジャランはふたたび正面に進もうとする。
「ちょっと……!」
まだ罠はもう1つある。
フィオネが止めようとするが、ジャランは聞かない。
ずかずかと正面の通路を進む。
そして。
カシャッ。
ふたたび床の石板が沈んだ。
「……え?」
ジャランが顔色を変える。
次の瞬間。
ゴゴゴゴッ!!
今度は魔法陣が壁に発生して、魔法弾が炸裂した。
5発の魔法弾だ。
「あががががが!!?」
全て直撃。
全身を魔法弾に滅多打ちにされて、ジャランはひっくり返った。
しかもその拍子に後頭部を床に打ち付ける。
「ぐ……ああ……」
ジャランがうずくまる。
涙目になりながら、頭を押さえている。
「だから言わんこっちゃないでしょう」
とフィオネは呆れたようにつぶやいた。




